ダブル不倫の慰謝料請求の基礎知識|相場や請求手順もご紹介

「ただの不倫だと思っていたら、不倫相手にも配偶者がいたことに驚きを隠せない。不倫相手には慰謝料を請求したいけど…」

配偶者の不倫は見過ごすことのできない罪深い行為ですが、ダブル不倫となるとあなたと同じ被害者がもう1人いる状況です。下図のようにあなたは慰謝料を請求したい側であると同時に、配偶者との婚姻関係を今後も続けていく場合には慰謝料を請求される家庭にもなり得るのです

ダブル不倫の相関図

A男とB子が不倫をしている場合、あなたが女性ならA子の立場になります。あなたはB子に慰謝料を請求することはできますが、B男が夫であるA男へ慰謝料を請求する可能性も否めません。

上記のようにあなたがダブル不倫をされていて今後慰謝料請求を考えているのであれば、なるべく早く、個々の状況に応じた適切な手段で対応をする必要があります。ダブル不倫は通常の不倫と異なり、適切な金額の慰謝料請求や、相手の出方に応じた臨機応変な対応ができなければ、場合によっては金銭的に損をしてしまう可能性があるからです

もしも不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされる場合には、こちらが慰謝料を請求したところで家計へのメリットが一切ないどころか、慰謝料請求にかかる時間と労力、慰謝料請求の過程でかかる諸費用が無駄になってしまうかもしれません。

そこで今回は、

  • ダブル不倫の慰謝料の基礎知識
  • 慰謝料を請求するための具体的手順4STEP
  • 慰謝料を引き上げるためのポイント
  • ダブル不倫の慰謝料請求で不利になるケース

これらについて、法律の知識がない方でも自分の状況を整理できるように、分かりやすくご紹介していきます。

ダブル不倫の慰謝料請求は通常の不倫の場合と比べて、交渉がより困難になるため、慎重に行う必要があります。これからどうするかをまだきちんと考えられていないという方も、本記事をご一読の上、あなたの配偶者が慰謝料請求を受けたりした場合でも、常に適切な対応をとれる準備をしておきましょう。

ダブル不倫の慰謝料の基礎知識


ダブル不倫は、通常の不倫とは異なる特徴を持っています。中でも慰謝料については、通常の不倫に比べて複雑になってくるので、慰謝料を請求したいと考えている場合にはまずはダブル不倫における慰謝料の基礎知識について正しく知っておくことが大切です

ダブル不倫の慰謝料に関する基礎知識
請求相手は誰? ●不倫相手
●または不倫相手とあなたの配偶者の双方
●あなたの配偶者のみ
通常の不倫との違いは? 配偶者が慰謝料請求を受ける可能性がある
相場はどのくらい? 50万円~300万円(ケースにより大きく異なる)
慰謝料請求しない方がいいケースは? ●両夫婦ともに離婚をしないケース
●配偶者の払う慰謝料額が多くなるケース
●不貞行為に及んだ期間が短いケース
慰謝料請求で損をしないためには? 弁護士に相談する

それぞれに関して、具体例を交えながら詳しく解説していきます。

ダブル不倫の慰謝料請求相手は3パターン

ダブル不倫における慰謝料の請求相手は大きく分けて3パターンあります。

  1. 不倫相手にのみ慰謝料を請求する
  2. 配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求する
  3. 配偶者のみに慰謝料を請求する

離婚する場合には、不貞による慰謝料に加え、離婚による慰謝料を配偶者に別で請求することが可能ですが、離婚をしない場合は経済的なデメリットを考慮して、一般的に不倫相手にのみ慰謝料請求をするパターンが多いです。離婚をする場合では、配偶者にのみ慰謝料を請求するケースも稀にあります。

例えば、ダブル不倫に関係する4人の人物のうち、1組の夫婦は離婚をするが、もう1組の夫婦は離婚をしないというケースを考えてみましょう。

下図では、B男が「1. 不倫相手にのみ慰謝料を請求する」に該当しています。一方で、A子は「2. 配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求する」に該当しています。

【図:慰謝料の請求相手は誰?】
ダブル不倫の相関図

上記のように、不倫トラブルがきっかけで離婚をするケースでは不倫をした配偶者にも不倫相手にも慰謝料を請求することが多いですが、離婚をしないケースでは不倫相手にのみ慰謝料を請求することが多いです。

【配偶者のみに慰謝料請求するのはどんなとき?】
稀ではありますが、離婚の有無にかかわらず配偶者のみに慰謝料を請求するというパターンもあります。

  • 配偶者が不倫を主導していた立場だったことが分かり、不倫相手よりも自分の配偶者に対する憤りが大きい場合。
  • 不倫相手と自分の配偶者の両者への請求を考えていたが、不倫相手に慰謝料を支払う能力がないと判断された場合。

他にも個々の状況によって、配偶者だけに慰謝料請求をするという方もいます。

ダブル不倫と通常の不倫の慰謝料の違い

ダブル不倫と通常の不倫では具体的に何が違うのかを知りたいという方も多いでしょう。

最も大きな違いとしては、第1章冒頭の表やここまで解説してきた関係図にもあったように、ダブル不倫の被害者はあなただけではないということです。あなたの配偶者がもう1人の被害者によって慰謝料請求を受けるという可能性があります

そのため通常の不倫とは異なり、単純に相手に慰謝料を請求すればよいというわけではなく、

  • 2組の夫婦が不倫によって離婚をするのかどうか
  • 不倫相手やその配偶者がどのように慰謝料請求に関与してくるのか

など、さまざまな側面から「慰謝料を請求するかどうか」「請求する慰謝料金額をいくらにするか」を決定していかなければなりません

実際には、ダブル不倫の当事者同士の関係性にはさまざまな状況が考えられますが、下図のように、「不倫相手の配偶者がダブル不倫の事実に気付いていない」というケースも1つの例として挙げられます。

【図:不倫相手の配偶者がダブル不倫の事実に気付いていない】
ダブル不倫の相関図

上図の場合、A子の対応の仕方やB子とB男の夫婦関係によっては、A子がB子に慰謝料請求をしても、A男がB男から慰謝料請求をされることなくトラブルが解決に向かうという可能性も考えられます

ダブル不倫における慰謝料の相場

ダブル不倫の慰謝料相場は、離婚の有無や子どもの有無、慰謝料請求相手の収入によって幅広いですが、概ね50~300万円です。

【ダブル不倫の慰謝料相場】
50~300万円
➡離婚の有無、子どもの有無、慰謝料請求相手の収入等により大きく異なる

例えば、離婚をしなかった場合には、50〜100万円とやや低くなる傾向にあります。これは一般的に、不倫が与えたダメージが離婚をするほど大きなものではなかったという見方をされるからです。

逆に離婚をするケースの方が夫婦間への影響が大きいと考えられるため、離婚をする場合には慰謝料額も高額となりやすいです。

このように離婚の有無だけではなく、不倫関係を取り巻く様々な状況を総合的に判断して請求する慰謝料を決めていきます

ダブル不倫の慰謝料請求はしない方が良いケースもある

ダブル不倫は慰謝料を請求される側の家庭となる可能性もあることから、経済的な面から判断すると、必ずしも慰謝料を請求した方がよいとは言い切れません。次のような場合には慰謝料を請求しないほうがいい可能性が高いです。

  • 両夫婦ともに離婚をしないケース
  • 配偶者の払う慰謝料が多くなるケース

両夫婦ともに離婚をしないケース

ダブル不倫の相関図
渦中の夫婦が2組とも離婚をしないという選択をした場合、特別な事情がなければお互いの家庭に与えた影響は同程度とみなされ、慰謝料の請求額も同程度となることが一般的です

仮に慰謝料を請求するために弁護士に依頼をした場合、「弁護士費用等の諸費用」が「受け取る慰謝料」以上にかかってしまい、家計的にはほぼほぼメリットがない、更に「支払う慰謝料」を考えるとトータルではマイナスになってしまうというパターンもあり得ます。

配偶者の払う慰謝料額が多くなるケース


双方が慰謝料を請求したとしても、あなたの配偶者の払う慰謝料額が多くなるケースでは、家計的には金銭的メリットがないどころか慰謝料のためのお金を工面する必要があります。

例えば、会社の上司と部下の関係でダブル不倫をした場合で、男性(上司)の方から執拗に関係を迫り、女性(部下)が立場的に断れずに関係を持ってしまった場合には、男性のほうが多くの慰謝料を支払わなければならない可能性があります

浮気した配偶者個人の貯金がある場合には、その貯金を使って慰謝料を払ってもらえば家計上問題はないかもしれません。しかし、金銭管理を夫婦共同で行っている場合は家計の中から慰謝料に充てるお金を捻出しなければなりませんので、結果的にマイナスになることも考えられます

【離婚をしない場合は慰謝料をもらうことはできないの?】
実際の慰謝料を確定する要素は多岐にわたります。離婚をしないという選択をしていても、慰謝料請求することはできます。

更に、「相手夫婦は離婚をするが、こちら側は離婚をしない」という場合、慰謝料請求をただ受け入れるだけでは自分たちの家計が負担を被るだけになってしまいます。相手より請求できる金額は小さいかもしれませんが、家計のマイナスを少しでも埋めるためにも慰謝料請求をしたほうがよいと考える方もいらっしゃいます。

【図:B夫婦(相手)は離婚をするが、A夫婦(こちら)は離婚をしない例】
ダブル不倫の相関図

上記はあくまでも離婚の有無のみに焦点を当てて慰謝料のことを考えたときの話になりますので、結論としては、自分たちを取り巻く状況を総合的に考慮して慰謝料請求をするかどうかを考えるのが得策です。

「3. ダブル不倫をされた場合に慰謝料を引き上げるポイント」にて、慰謝料決定に関わる要素を細かく紹介していますのでこちらもご参照の上、慰謝料請求をしたほうがよいのかどうかを一度考えてみてください。

慰謝料請求で損をしないためにできること

慰謝料請求で損をしないためには、自分の置かれている状況を適切に把握し、専門的な知識を元に正しい判断を積み重ねることです。そのため「状況によっては弁護士を依頼する」というのが、ダブル不倫の慰謝料請求においては大切です。

とは言っても、ダブル不倫をされていては冷静に状況を把握するのも難しいでしょう。更に慰謝料請求における専門的な知識は法律に関するものなので、素人にとってはなかなかとっつきにくいかもしれません。

慰謝料をやっと請求したのに、相手方には法律に詳しい弁護士がバックにいるためにあの手この手で請求をかわされてしまっては意味がありません。

まずは適切な慰謝料をきちんと受け取るためにも、法律と交渉のプロである弁護士に相談をして、解決の糸口を一緒に探すところから始めてください。次の章では慰謝料を請求するときの手順についてご紹介します。

ダブル不倫をされたときの慰謝料請求の手順

ダブル不倫をされた場合、状況が非常に複雑なので、最終的に依頼をするかどうかに関わらず、1度は弁護士に相談するのがベストです

ただし、弁護士を使うことなく慰謝料請求を行うことも絶対にできないというわけではありませんので、今回は以下2パターンに分けて慰謝料を請求する具体的な手順をご紹介します。

  1. 当事者間で慰謝料請求のやり取りをする場合
  2. 弁護士に相談して慰謝料請求のやり取りをする場合

それぞれについて具体的に流れを解説していきます。

当事者間で慰謝料請求のやり取りをする場合

請求相手を明確にする 当事者間での話し合い 内容証明郵便の送付 民事訴訟または離婚調停へ
自分で慰謝料を請求するときには、主に上記4つのステップで解決に向けた行動を起こしていきます。

この場合、弁護士費用が発生しない分、請求に費用はほとんどかかりませんが、全ての作業を自分1人で行わなければならないことに加え、状況整理や調査なども人の手を頼ることができないので非常に時間がかかってしまうというデメリットがあります

では、それぞれのステップについて解説します。

1.請求相手を明確にする

まずは慰謝料を請求する相手を明確にしましょう。

  • 配偶者と不倫相手の双方に請求するのか
  • 不倫相手または配偶者どちらかのみに請求をするのか

を決める必要があります。

法律上の責任は不倫をした男女2人にありますが、慰謝料の請求はその両方、またはどちらか片方にのみ行うことが認められています。

はじめに請求相手を明確にしなければその後の交渉に進むことができませんので、まずは誰に請求をするのかを明確にしてください

2.当事者間での話し合い

請求相手が確定したら、次は実際の交渉に移ります。初回交渉ではこちらの慰謝料請求の希望額をしっかり提示しておきましょう。

話し合いは、対面や、電話やLINEのケースもありますが、直接会うことはもちろん、相手とやりとりをすることそのものが精神的に辛いという方もいらっしゃるでしょう。そういった場合はいち早く弁護士に相談して、トラブルに介入してもらうことを検討してください。

また、面会をして話し合いをする中で、話がこじれてしまったり、揉め事になってしまったりで、実際に慰謝料を請求するまでに時間や労力がかかることも考えられます。交渉がうまくいかなければ、もらえるはずの慰謝料を請求できなくなってしまう可能性もあります。

より多くの慰謝料を早く受け取りたいと考えるのであれば、話し合いをする前に弁護士の活用を積極的に考えたほうがよいでしょう

【交渉の記録を残しましょう】
交渉の内容は後に慰謝料請求で有利に立つために役に立つ可能性があります。LINEやメール等の文面でやりとりの記録を残しておくか、ボイスレコーダーなどで話し合いの内容を録音しておきましょう。

3.内容証明郵便の送付

話し合いにスムーズに対応してもらえない場合は、「内容証明郵便」を送付しましょう。

【内容証明郵便とは】

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。
いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

引用:内容証明 | 日本郵便株式会社

こちら側の要求を伝えるための手段であるとともに、慰謝料をどのような内容で誰に請求したかということを証拠として残しておけたり、場合によっては請求相手に心理的なプレッシャーを与えたりする効果もあります。

こちらから直接話し合いを提案しても効果がなかったものの、内容証明郵便を送付することで相手にただ事ではないと感じさせることができた結果、交渉が進むといったケースはよくあります。依頼弁護士による署名などが含まれているとより効果的です。

4.民事訴訟または離婚調停へ

内容証明郵便の送付をもってしても交渉が進まないという場合には、裁判所で解決をする方向に持っていきます

請求相手に慰謝料を請求するだけであれば、民事事件として訴訟を起こすことになります。

一方、慰謝料請求と同時に離婚も要求するという場合には、離婚調停の申し立てをして、慰謝料問題と離婚問題を同時並行で解決していくことになります。

もっとも、この段階に至ると、一人で対応することは非常に困難になるため、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談して慰謝料請求のやり取りをする場合

弁護士に相談する 弁護士との契約を結ぶ 必要に応じて弁護士と連絡を取る
ダブル不倫をされて弁護士に依頼をする場合には、主に上記3つのSTEPで解決に向けた行動を起こしていきます。

弁護士に依頼をすることで、先にも紹介したような「当事者間での慰謝料請求のやり取り」を行うよりも迅速な解決、損失の最も少ない解決が見込めます。ではそれぞれの項目について更に解説していきます。

1.弁護士に相談する

まずは現在の状況で慰謝料を請求するべきかどうかについて、弁護士に相談をするところから始めてください。

焦って依頼を決めてしまっても、後から情報を精査する中で、相手のほうが有利になる証拠がたくさん出てきたり、慰謝料請求をしないほうが結果的には金銭的な負担が減ったりすることが分かってしまうと、無駄に弁護士費用がかかることになってしまいます。

依頼をする前提ではなくても大丈夫です。まずはプロに相談をしてあなたの置かれた状況ではどのような判断・行動が必要かを一緒に考えてもらう必要があります

2.弁護士との契約を結ぶ

弁護士に相談をして、依頼が必要だと判断できた場合は弁護士との契約を結びましょう。
実際にお願いする弁護士を選ぶときのポイントは次の3点です。

【弁護士選びのポイント3つ】

  • 不倫トラブルの案件に積極的に取り組んでいる
  • 相談時の回答が分かりやすい
  • プロとして信頼できる

身近な弁護士や近所の法律事務所の弁護士などに依頼をするのは少し待ってください。

上記3点に当てはまっていない弁護士だとダブル不倫の複雑さを理解しておらず、適正な慰謝料を貰えない、こちらが有利な条件で交渉ができないなど、損をしてしまうなどの可能性もあります。

ダブル不倫のように複雑なケースは、より不倫問題に特化した知識を持っている弁護士でなければ対応が難しいと言えます

人生に関わるトラブルを一緒に解決する弁護士だからこそ、慎重に選んでください。依頼弁護士の選び方についての詳細は、こちらの記事「不倫トラブルは弁護士に相談すべき!弁護士活用の3つのメリット」も合わせてお読みください。

3.必要に応じて弁護士と連絡を取る

依頼をした後は、必要に応じて弁護士との連絡を取るだけです。

具体的には、当事者間でやり取りをするケースで紹介したような、「直接交渉」「内容証明郵便の送付」「裁判手続き」など、これらをあなたに代行して行ってもらうことが可能です。

あなたが行う必要があるのは、

  • 適切なゴール(慰謝料額や請求相手など)を弁護士の助言を元に決定
  • 必要があれば物的証拠を提示
  • 手続きに必要な書類を弁護士に提出

以上です。

「次にどのような行動をしなければならないか」を弁護士とのやり取りの中できちんと明確にしてもらうことができるので、四六時中ダブル不倫の問題解決のことを考えたり、交渉のためにあちこちを移動したり、トラブル解決の為だけに時間を使ったりする必要がなくなります

ダブル不倫をされた場合に慰謝料を引き上げる重要ポイント3つ


本章では、ダブル不倫をされた場合に慰謝料を引き上げる重要なポイントをお伝えします。弁護士へ依頼をしているかに関わらず、慰謝料を請求する場合には必ず押さえておきたいところです。

ダブル不倫では先にも述べたように通常の不倫と同じように慰謝料の請求をしても、離婚をしない場合には経済的にメリットがあるかどうかは微妙なところです。ただ、慰謝料を引き上げるポイントをしっかり押さえておくことで相場以上に慰謝料の獲得ができることもあります

あなたの主張が重要となる代表的なポイントは次の3つです。

  1. 苦痛の程度が大きい
  2. 夫婦仲が以前より悪化した
  3. 未成熟児がいる

本章ではこれらについて、証明するために具体的にどうするべきかについても合わせてお伝えします。

【慰謝料に関わるさまざまな要素】
今回取り上げてご紹介する3つのポイント以外にも、次のような事柄も慰謝料金額に関わるポイントになります。

  • 不倫相手の収入
  • 配偶者との婚姻期間
  • 互いの夫婦間の子どもの有無
  • 不倫をした配偶者の年齢と不倫相手の年齢差
  • 不倫の主導者が誰だったのか
  • 不倫相手の社会的地位
  • 不倫相手の認識・意図
  • 不貞行為の期間・回数

慰謝料請求をする前に、綿密に情報収集を行いたいところです。

苦痛の程度が大きい

ダブル不倫をされたことによる苦痛の程度が大きければ大きいほど、慰謝料をより多く請求できる可能性があります。

例えば、ダブル不倫をされたことが原因で精神疾患(うつ病など)を患ったり、ストレス性の病であると病院で診断を受けたりした場合には、苦痛の程度がより高いと客観的に判断することができます。

ただ主張するだけに留まらず、苦痛を受けた証拠が診断書などで客観的に証明できる場合には、より強く慰謝料額に反映させることが可能です

【苦痛の程度を証明するポイント】
疾患を患ったことが分かる診断証等を提出できるようにする

夫婦仲が以前より悪化した

ダブル不倫発覚前後で夫婦関係がガラリと変わってしまったという方は、不倫行為が夫婦仲に悪影響を与えたと判断され、慰謝料は増額する傾向にあります

「会話がほとんどなく、家庭内別居の状態になった。」
「不倫が発覚して、別居に至った。」

このような場合ならば、はっきりと主張をする必要があります。ただし、主張をするだけでは事実として認められない可能性が高いので、客観的に証明できるものを用意しましょう。

未成熟児がいる

未成熟児がいる場合に配偶者が不倫したケースでは、不倫態様が悪質であるとして慰謝料を増額することができるかもしれません。

気をつけたいダブル不倫の慰謝料請求で不利になるケース


ダブル不倫の慰謝料請求をする上で、次のような事実がある場合はあなたにとって不利になる可能性が高いです。

  • 相手夫婦の婚姻期間のほうが長い
  • 自分の配偶者が不倫を主導していた
  • 発覚以前から夫婦関係が破綻していた

これらの項目を調べることなく慰謝料の請求に進んでしまうと、思わぬ損をしてしまう可能性があるのできちんと精査して慰謝料請求に進んでください

例えば、慰謝料を請求するまで相手の婚姻状況や夫婦関係、不倫の実態について一切調べていなかったとすると、後からあなたの配偶者が不倫を主導していたことなどが発覚した場合に、あなたにとっては非常に不利な状況となってしまうからです。

ただ、1つでも当てはまったら慰謝料が請求できないというわけではなく、最終的にはさまざまな状況・事実を加味した上で請求額を決めることになります。

相手夫婦の婚姻期間のほうが長い

一般的には婚姻期間が長い方が長年の関係を崩されたとして慰謝料を引き上げやすいです。したがって、双方が慰謝料請求に進んだ場合には相手方が有利になる可能性が高いです。

あなたと配偶者との婚姻期間と比較して相手夫婦の婚姻期間があまりにも長いという場合には、慰謝料の請求では不利に働く要素となります。

自分の配偶者が不倫を主導していた

自分の配偶者がダブル不倫の主導者になっていたという証拠があれば、残念ながらあなたの配偶者の責任問題が大きく問われることになり、結果として不倫相手から慰謝料を貰えなくなるというケースや逆に慰謝料を多く請求されてしまうということもありえます。

例えばですが、

  • 配偶者が既婚者であることを不倫相手には秘密裏にして不倫関係を続けていた
  • 不倫相手が嫌がっているにもかかわらずあなたの配偶者が半ば強制的に関係を持とうとしていた

このように考えられるような証拠があるケースが該当します。

上記のような状況を証明できるメッセージのやり取りなど決定的な証拠が残っていると、それはあなたが今後請求する慰謝料の減額要素となり得ますので注意してください

発覚以前から夫婦関係が破綻していた

不倫の事実を知る前から既に夫婦関係が破綻していると、これもまた「事実上不倫が夫婦間に与えた影響は少ない」ということの論拠になってしまいます。

実際に起こった裁判の判例として、次のような例もあります。

【最高裁判所判例集より】

判示事項: 婚姻関係が既に破綻している夫婦の一方と肉体関係を持った第三者の他方配偶者に対する不法行為責任の有無

裁判要旨:甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わない。

裁判所|平成8年3月26日最高裁判所第三小法廷

要約すると、配偶者が不倫行為に及ぶ前から既に夫婦関係の破綻を確認できる場合には、不倫によって慰謝料を請求することは難しいということが書かれています

よって、不倫が発覚以前から夫婦仲が悪かったという場合には慰謝料請求をしても相手が拒否できる根拠があるということです。それでも慰謝料請求をしようとしているのであれば、時間や労力の無駄にならないように細心の注意を払って交渉を進める必要があります

ダブル不倫の慰謝料問題で悩んだらまずは弁護士へ無料相談


ダブル不倫という特殊なケースでは、あなたに一切非がなかったとしても、離婚を考えない限り、夫婦単位では慰謝料を請求する側にもされる側にもなり得ますまずは弁護士に相談して、今の状況を整理しながら今後の動きを考えてみましょう

特に今回のようなダブル不倫では、通常の不倫に比べ複雑な交渉をしたり、法律に関してより専門的な知識の元に行動したりしなければなりません。

仮にダブル不倫を1人で解決しようとすると次のような状況に陥る可能性があります。

  • 調査や証拠集めが不十分で、貰えるはずの慰謝料を貰えなかった。
  • 慰謝料を受け取ることはできたが、相場より低い金額になってしまった。
  • 相手夫婦より多くの慰謝料を支払わなければならなくなってしまった。

上記のように、1人で全て判断し・対応しようとしてしまうと、慰謝料を請求できないどころか非のないあなたがコツコツ貯めてきた貯金を崩し、配偶者の代わりに慰謝料を立て替えるなど悲惨な状況になってしまうかもしれません。

だからこそ特にダブル不倫においては、1人で悩みを抱えるのではなく、まずは法律や交渉に関して深く知見のある弁護士に必ず相談をしてください

まとめ

今回はダブル不倫で被害に遭った場合の慰謝料について詳しく解説してきました。

本記事の中では

  • ダブル不倫の慰謝料の基礎知識
  • 慰謝料を請求するための具体的手順4STEP
  • 慰謝料を引き上げるためのポイント
  • ダブル不倫の慰謝料請求で不利になるケース

上記4点について深堀しましたが、慰謝料について簡単にまとめると次の通りになります。

ダブル不倫の慰謝料に関する基礎知識
請求相手は誰? ●不倫相手
●または不倫相手とあなたの配偶者の双方
●あなたの配偶者のみ
通常の不倫との違いは? 配偶者が慰謝料請求を受ける可能性がある
相場はどのくらい? 50万円~300万円(ケースにより大きく異なる)
慰謝料請求しない方がいいケースは? ●両夫婦ともに離婚をしないケース
●配偶者の払う慰謝料額が多くなるケース
●不貞行為に及んだ期間が短いケース
慰謝料請求で損をしないためには? 弁護士に相談する

ダブル不倫の慰謝料の概要を知ったうえで、慰謝料を請求しようと考えている場合には、次のどちらかで請求を進めていきます。

  1. 当事者間で慰謝料請求のやり取りをする
  2. 弁護士に相談して慰謝料請求のやり取りをする

実際に当事者同士で交渉をしようと思うと、かかる時間や労力は膨大なため、仕事や家庭のことなど、これまでの生活を続けながら並行して行うのは正直かなり難しいです。

ご自身の時間や労力を無駄にせず、最終的に損をしない形で慰謝料をもらう可能性を上げるためにも、まずは専門家である弁護士への相談からトラブル解決に進んでみてはいかがでしょうか。

あなたの「かかりつけ弁護士」でありたい。

ご相談は当メディア運営の
弁護士法人AOへ!

当社では、あなたの暮らしを支える「かかりつけ弁護士」として、依頼者とのコミュニケーションを大切にしております。

トラブルを無事解決できることは、新しい生活をスタートさせる一区切りになることは間違いありません。

ご依頼者様の状況に応じた、最適な解決策をご提案させていただきます。1人で悩まずにまずは当社にご相談ください。

これらの記事も読まれています。