浮気相手だけに慰謝料請求できるケース・できないケース
「夫の浮気相手だけに慰謝料を請求したい」
「配偶者にバレずに浮気相手だけに慰謝料請求ができるのか知りたい」
とお考えの方もいるかもしれません。
結論から言うと、浮気相手だけに慰謝料請求することも、配偶者にバレないように浮気相手に慰謝料請求をしてトラブルを解決することも可能です。
この記事では、浮気の慰謝料トラブル解決に注力する現役弁護士が、浮気相手だけに慰謝料請求をする方法、浮気相手だけに慰謝料をできる・できないの判断、慰謝料請求の注意点などを解説しています。
浮気相手への慰謝料請求を成功させるためにも、この記事を参考にしていただければ幸いです。
目次
浮気相手だけに慰謝料請求することは可能
冒頭でもお伝えしたように、浮気相手だけに慰謝料を請求することは可能です。まずはその理由をお伝えします。
浮気は、配偶者と浮気相手の2人によって行われた「共同不法行為」であるため、慰謝料を支払う義務は浮気をした配偶者と浮気相手の2人にあります。本来であれば慰謝料は2人で支払うものです。
ただし、2人に請求するか、どちらか一方だけに請求するかは、慰謝料の請求権を持つ浮気の被害者が自由に決めることが認められています。そのため、浮気相手だけに慰謝料請求することが可能です。
慰謝料は二重取りができない
実務上、配偶者と浮気相手双方に慰謝料請求することは少なく、どちらか一方だけに請求するケースが多いです。
その理由は、双方に慰謝料請求を行っても慰謝料を二重取りできるわけではないからです。
「不貞」という不法行為1つに対して慰謝料請求が認められ、金額が決まります。
そのため、2人に請求すると手間が2倍なるものの、獲得できる慰謝料は1人に請求した場合と変わらない可能性があります。
このように、2人請求するメリットが少ないため、「浮気相手だけに請求して配偶者には請求しない」となるケースが多いのです。
離婚しない場合は浮気相手だけに慰謝料請求
離婚しないのであれば、基本的には浮気相手だけに慰謝料請求することになるでしょう。
これから夫婦関係を修復していくのに配偶者に慰謝料請求をしたら関係修復に影響することは避けられませんし、そもそも、離婚しない状況で慰謝料が支払われても夫婦間でお金が移動するだけで経済的なメリットがないからです。
浮気相手だけに慰謝料請求する方法
浮気相手だけに慰謝料請求する方法は3つあります。
1.話し合い
2.内容証明郵便などの書面
3.裁判
どの方法を選択するかは、浮気相手の住所や連絡先を知っている、浮気相手の態度や慰謝料の額などによって決まります。
通常、話し合いや書面での慰謝料請求が多いですが、配偶者が不倫の事実を認めていたとしても、浮気相手が不倫を認めないケースもあり得ます。さらに、慰謝料額で合意できないことも考えられるでしょう。その場合、話し合いでは結論が出なくなりますので調停や裁判を行う必要があります。
それぞれ、メリットやデメリットがあり、時間やかかる費用もバラバラです。そのため、どのようにして浮気相手に慰謝料を請求するのかをしっかり考慮しなくてはいけません。ここでは、浮気相手だけに慰謝料請求する方法を解説します。
話し合いで慰謝料を請求する
浮気相手の素性や連絡先がわかるのであれば、自分自身で直接交渉して慰謝料を請求することも可能です。
話し合いの際は、慰謝料以外に以下の事項も取り決めると良いでしょう。
○二度と配偶者と接触しないこと
○迷惑行為をしないこと
○示談条件を口外しないこと
示談条件に違反した場合は違約金を支払うこと
○分割払いの場合、二度にわたって支払いが滞ったら全額一括支払いをすること
●後でトラブルが起こらないように気をつけて対応する
自宅などで二人きりで交渉してしまうと「脅された」などと後から言いがかりをつけられる恐れがあります。そのため、カフェなどの公共の場所で話し合うことをおすすめします。また、のちのち「言った言わない」のトラブルを避けるためにもボイスレコーダーなどで必ず録音しておきましょう。
そして、不倫相手が慰謝料を払うと約束したら、必ず示談書や合意書に証拠化しておくことも大切です。万が一、約束どおり支払わなかったとき、書面をもとに裁判等で支払いを求めることができます。
内容証明郵便などの文書で慰謝料を請求する
浮気相手に会うと感情的になってしまい、余計なことを言ってしまった結果、慰謝料が減額になる可能性があります。郵便などの方法で浮気相手に慰謝料請求の旨と慰謝料額を記載した書面を渡せば、直接会う必要もなく、感情的にならずに伝えたい内容を伝えることが可能です。
書面で慰謝料請求する場合は、内容証明郵便を利用すると良いでしょう。
内容証明郵便とは、日本郵政が提供しているサービスの一つで、「いつ」「誰が」「誰に」「どういう内容の書面」を送付したかを証明してくれます。
【内容証明郵便に記載すること】
内容証明の記載内容は、最低限以下の事項を記載しておきましょう。
- 「慰謝料請求書」「通知書」などのタイトル
- 自分が知った事実
- 浮気の事実が民法709・710条の不法行為に該当すること
- 浮気相手に対して慰謝料請求をすること
- 慰謝料の金額
- 慰謝料の振込期日
- 慰謝料の振込先
- 差出人と受取人の住所・名前 など
内容証明郵便を送る際に必要なこと
内容証明郵便で必要なのは、浮気相手の住所などの送付先です。住所が不明の場合でも、弁護士に依頼すれば弁護士会照会等の手段を利用して相手の住所を調べることができます。職場がわかっている場合、勤務先に内容証明を送るケースもありますが、普通に送ってしまうと職場の人に浮気がバレたことによる「名誉毀損」で自分が訴えられることも考えられるため、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
浮気相手にあなたの本気を伝えることができる
内容証明郵便自体に慰謝料を支払わせる効力はありませんが、相手が「そんな書類は知らない」「本当にそんな書類を送ったのか」と言い逃れをすることを防ぐ効果があります。
また、内容証明郵便を使用することで、慰謝料を本気で請求しようとしている意思は伝わりますし、「応じない場合は法的措置を取る」と伝えて心理的な圧迫を加える面でも効果的です。
訴訟など裁判手続きを行い、慰謝料を請求する
話し合いによる交渉や内容証明の送付を行っても、相手方が支払いに応じない可能性もあります。その場合は最終手段として裁判所への慰謝料請求訴訟を提起しましょう。
十分な証拠が揃っていれば慰謝料請求が認められ、裁判所から浮気相手へ慰謝料支払いの判決が出されます。
判決が出れば、浮気相手は慰謝料の支払いを拒否できない
裁判の判決には法的な強制力があるため相手はこれを拒否することができません。もしそれでも支払わない場合、強制執行を行うという手段もあります。
慰謝料請求裁判の起こし方
訴訟提起をする場合には「訴状」を作成して手数料とともに裁判所に提出します。請求する慰謝料の金額に応じて管轄する裁判所が異なります。
- 慰謝料が140万円以下の場合:簡易裁判所
- 慰謝料が140万円を超える場合:地方裁判所
訴状提出の際には、提出先の裁判所に注意しましょう。
裁判には十分な証拠と法律の知識が必要
裁判所への申立による慰謝料請求は容易に行えるものではありません。裁判所の判決が出るまでの平均期間は1年から1年半もかかると言われているからです。
また、裁判費用や弁護士費用などのお金がかかると同時に、相手の支払い能力により得られる慰謝料額が減ってしまう可能性 もあります。このように、時間と費用をかけたところで得られる慰謝料が少なくなってしまう事例は多々あります。
訴訟など裁判手続きを行い浮気相手に慰謝料を請求する場合は、「十分な証拠」と「法律の知識」が必要になりますので弁護士に依頼することをおすすめします。
浮気相手だけに慰謝料を請求したことが配偶者にバレるケース
「浮気相手に慰謝料請求をしたいけど、自分の配偶者に知られたくない」と考える方もいるかもしれません。
配偶者に知られることなく浮気相手だけに慰謝料請求をすることは可能です。ただし、バレてしまうこともあるため、なぜ知られてしまうのかを理解しておくことが大切です。
浮気相手だけに慰謝料請求をしたのに、配偶者に知られてしまう理由は以下のことが考えられます。
- 浮気相手が配偶者に求償する
- ダブル不倫で、浮気相手の配偶者が慰謝料請求をしてくる
- 浮気相手や裁判所から連絡が来る
ここでは、配偶者に慰謝料請求したことがバレてしまう理由について詳しく解説します。
求償されてしまう
浮気相手だけに慰謝料請求すると、配偶者に求償される可能性があります。
求償とは、浮気の当事者の一方が慰謝料全額を支払った場合に、支払った金額の一部を他方に請求できる権利のことで、「浮気相手が支払った慰謝料の半分を配偶者に請求してきた」ということが起こり得ます。
これにより慰謝料請求したことが配偶者にバレる可能性があります。
ダブル不倫で相手の配偶者から慰謝料請求される
ダブル不倫の場合でも、浮気相手だけに慰謝料請求することは可能です。
しかし、浮気相手の配偶者が浮気について知っていれば、あなたの配偶者に慰謝料請求をする可能性が高いです。相手の配偶者からの慰謝料請求がきっかけで、あなたが慰謝料請求したことも知られてしまうかもしれません。
浮気相手や裁判所から連絡が来る
浮気相手や裁判所から書類が自宅に送付されることで、配偶者に見つかる可能性もあります。
また、浮気相手が配偶者に連絡をしたり、職場不倫の場合は顔を合わせた際に伝えたりしてバレてしまうこともあるでしょう。
浮気相手だけに 慰謝料を請求できるケースとできないケース
浮気相手だけに 慰謝料請求を考えていても請求できるケースとできないケースがあります。
慰謝料を請求するためには、浮気相手の行為が不法行為に当たるのかが重要です。不倫を理由に慰謝料を請求するのであれば、上記のような要件に当てはまらなければなりません。また、配偶者と肉体関係を持ったとしても必ずしも慰謝料請求ができるわけではないため、しっかり確認することが大切です。
浮気相手だけに 慰謝料請求ができるケース
まず、浮気相手だけに慰謝料請求ができる以下のケースを詳しく解説します。
- 配偶者が既婚者と知り、不貞行為を行った
- 浮気相手に故意・過失があった
- 浮気によって夫婦関係が悪くなった
浮気相手だけに慰謝料の請求を考えている方は参考にしてください。
配偶者が既婚者と知り、不貞行為を行った
不倫により浮気相手に慰謝料を請求する際、何よりも重要なことは配偶者が既婚者と知っていたかどうかです。
配偶者がいると知りながら不貞行為を行ったのであれば、共同不法行為をしたことになるため、慰謝料を請求できます。
その際、浮気の証拠が重要になります。自白を録音できれば証拠になりますが、難しい場合はホテルに出入りしている写真や肉体関係を示すメールのやり取りなど証拠を探してみましょう。
浮気相手に故意・過失があった
慰謝料請求が認められるためには、浮気相手に故意・過失があることも必要です。
故意とは、違法な行為だと知りながらすること、過失とは、不注意で気づかずにすることを指します。
浮気相手が配偶者を既婚者だと知りながら性交渉に及んだなら、故意があったといえます。仮に知らなかったとしても、結婚指輪をしていたなど、気付けて当然な事情があれば、過失があると言えるでしょう。
浮気によって夫婦関係が悪くなった
不法行為となるためには、「浮気によって配偶者との平穏な婚姻生活を送る権利を侵害したこと」も必要です。
不倫によって侵害される権利とは夫婦の貞操のことです。結婚した夫婦なら、他の異性と性交渉してはならない義務があり、不倫によってその平穏な生活が害されたら、権利侵害が発生したといえるでしょう。
そのため婚姻関係があり、さらに夫婦関係がまだ破綻していない時に不貞行為があった場合に、慰謝料の請求が可能になります。
浮気相手だけに 慰謝料請求ができないケース
次に、浮気相手だけに慰謝料請求ができないケースを詳しく解説します。
- 浮気相手が配偶者を独身だと思っていた
- 不倫の証拠がない
- 慰謝料請求の時効を迎えている
これから解説するケースの中に当てはまる場合、慰謝料の請求は難しいかもしれません。もし、請求したとしても裁判で支払いを認められないことも考えられます。浮気相手だけに慰謝料を請求したいのであれば、必ず確認してください。
浮気相手が配偶者を独身だと思っていた
浮気相手が配偶者を独身だと思っていた場合、慰謝料請求が認められない可能性があります。
仮に浮気の慰謝料が認められたとしても、慰謝料額は減額されるかもしれません。
例えば浮気相手の前で独身のフリをしたり、妻とは別れたと嘘をついていたりした場合などが該当します。他にも飲み屋や出会い系サイトで出会い1回〜数回だけの肉体関係を持ち、独身と伝えたり、相手が知ったりする機会がなかった場合も同様です。
不倫の証拠がない
浮気相手と配偶者の浮気の証拠がない場合も慰謝料請求は難しいでしょう。
浮気相手だけに慰謝料を請求し、浮気相手が認めて支払いに応じれば問題ありませんが、証拠なしで応じるとは限りません。そのため、浮気相手に慰謝料を請求する場合は、浮気相手と配偶者の肉体関係があったことを立証しなければなりません。
不倫をした事実を知ると感情的になってしまいがちですが、不倫の証拠は裁判になった場合でも必ず必要ですので、慰謝料を請求するためにも冷静に証拠をしっかり集めましょう。また、証拠が十分かどうかの判断は素人には難しいので弁護士に相談してみるとよいでしょう。
- 浮気関係を自白した音声録音や動画
- ホテルに出入りする写真や動画
- 浮気相手と配偶者の肉体関係が推測できる写真や動画、メールやLINE、SNSなど
- ラブホテルの領収書やクレジットカードの利用明細書
慰謝料請求の時効を迎えている
浮気に関する慰謝料請求権(損害賠償請求権)には消滅時効があります。
この時効を迎えている場合は慰謝料の請求ができません。
浮気の時効期間には2種類あります。
- 浮気の事実・浮気相手を知った時点から3年
- 浮気相手との関係が終了した時点から20年
いずれかの時効期間が経過している場合、相手が任意に慰謝料を支払わない限り、慰謝料を支払わせることは困難です。
浮気相手だけに慰謝料を請求する場合の3つの注意点
浮気相手だけに慰謝料請求をすることは可能ですが、以下の3つの注意点があります。
- 共同不法行為による「求償」がある
- ダブル不倫だった場合、相手の配偶者に慰謝料請求される可能性がある
- 証拠が不十分だと逃げられる可能性がある
この注意点を把握しておかないと慰謝料をもらい損ねたり、減額されてしまったりと損をすることも考えられます。そのため、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は、慎重な対応が重要です。
ここでは、浮気相手だけに慰謝料を請求する際の注意点を解説しますので参考にしてください。
共同不法行為による「求償権」がある
浮気相手だけに慰謝料請求をしたとしても、浮気相手が配偶者に求償権を行使する可能性があります。
お伝えしてきたように浮気は共同不法行為で、浮気をした配偶者と浮気相手の双方に慰謝料を支払う責任があり、例えば、浮気相手に200万円の慰謝料を請求した場合、浮気相手はその半分の100万円をあなたの配偶者に対して請求することが可能です。
あまり知られている権利ではありませんが、浮気相手が弁護士に相談した場合は求償権を行使してくるかもしれないため、注意が必要です。
求償権の注意点
求償については、浮気相手に慰謝料請求をした際に「求償しない」と誓約してもらうことが多いのですが、浮気相手が求償権放棄を約束しても、それだけでは求償の権利自体は消滅しません。慰謝料は浮気の被害者と浮気相手間の法律問題ですが、求償権は浮気をした配偶者と浮気相手間の法律問題で、当事者が異なることが理由です。
浮気相手があなたに求償権放棄を約束しても、配偶者に対して求償権を行使する余地が残ってしまいますので、ご自身で浮気相手だけに慰謝料請求する際は十分にご注意ください。
これを防止するためには、
1.不貞をした配偶者も示談の当事者とし、浮気相手には配偶者に対する求償権を放棄(免除)させる
2.約束に反した場合のペナルティとして同額の返還を定める
などの方法をとることがあります。
ダブル不倫だった場合、相手の配偶者に慰謝料請求される可能性がある
配偶者の浮気相手が既婚者だった場合、浮気相手の配偶者から自分の配偶者へ慰謝料を請求される可能性があります。
そもそもダブル不倫とは、既婚者同士の不倫のことを言います。既婚者と独身者が不倫する場合とは異なり、不倫した者双方の配偶者が被害者になるのが特徴で、相手の配偶者がダブル不倫を把握しているか、把握していないかで展開が変わります。
相手の配偶者がダブル不倫を知らない
浮気相手の配偶者に不倫の事実が発覚していなければ、浮気相手の配偶者からあなたの配偶者に慰謝料請求をされることはありません。浮気相手が上の図解の「Bさんが夫に言わない」を選択すれば、配偶者は慰謝料請求されず、あなたから浮気相手への慰謝料請求だけトラブルを解決できる可能性があります。
相手の配偶者がダブル不倫を知っている
浮気相手の配偶者がダブル不倫を把握しているケースでは、あなたの配偶者が慰謝料請求されてしまう可能性もあります。
このような際、どちらの夫婦も離婚しないのであれば慰謝料を相殺(慰謝料を請求しない)することが多いです。
一方でどちらかの夫婦が離婚するなら相殺しないことが多いです。たとえば、あなたが離婚し、相手夫婦が離婚しないのであれば、あなたの配偶者が慰謝料請求されることを気にせずに、浮気相手だけに慰謝料請求をしても問題ないでしょう。
ただし、反対の場合はあなたが慰謝料請求することで、損をする可能性もあり得ますのでご注意ください。
証拠が不十分だと逃げられる可能性がある
浮気を追求しようとしても明確な証拠がないと、浮気相手に言い逃れされる可能性があります。
こちらが浮気に気付いて証拠を集めていることを知られてしまうと、浮気相手が警戒心を強めてしまい、証拠収集が困難になるかもしれません。
浮気相手から慰謝料をしっかり請求するためにも言い逃れされないように、浮気の証拠を確保しておきましょう。
浮気相手だけに慰謝料を請求した場合の相場や支払われるまでの期間
浮気相手だけに慰謝料を請求した場合の相場や支払われる期間が気になる方もいるでしょう。
浮気相手への慰謝料請求の相場は50万円〜300万円です。
不貞行為を知った後の夫婦の関係性や子供の有無、浮気相手の経済力などによって慰謝料額が決まります。この章では、浮気相手だけに慰謝料請求した場合の相場や支払われる期間を解説します。
慰謝料の金額を増額させるための要素についても解説するので参考にしてください。
浮気相手だけに慰謝料を請求した場合の慰謝料の相場
浮気相手だけに慰謝料を請求する場合の相場は、50万〜300万円です。
この慰謝料額は、不倫により受けた精神的損害や浮気相手の経済力などの状況に応じて金額を決めていくことになります。また、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合、夫婦関係にどのくらいの損害を及ぼしたかも大きく関係してきます。
もし、不倫により配偶者と離婚した場合は200〜300万円、配偶者と離婚しない場合の相場は50〜100万円が相場です。離婚しない場合の相場が少ないのは、婚姻関係が破綻するほどの精神的苦痛がないと判断されるためです。
ただし、あくまでも相場であり、不倫の期間や不貞行為の頻度、子供の有無などが加味されるため、相場以上の請求が可能になるケースもあります。しかし、浮気相手の支払い能力が低い場合は高額な慰謝料を請求しても、支払いが滞ってしまうことも考えられるため、無理な請求は避けた方が無難です。
浮気相手だけに慰謝料請求した場合により多く請求するための増額要素
不倫期間や子供の有無などの増額要素があれば慰謝料をより多く請求できる可能性があります。
浮気相手だけに慰謝料請求した場合の増額要素は以下になります。
婚姻期間 | 婚姻期間が長いほど、慰謝料額において考慮されることがある |
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浮気の頻度 | 浮気の頻度が高ければ高いほど慰謝料が増額されやすい |
浮気の期間 | 浮気の期間が1年以上の年単位に及ぶと長いと判断され、増額されることがある |
子供への影響 | 特に幼い子供がいる場合、慰謝料が増額される傾向にある |
夫婦関係の悪化 | 浮気前から家庭内別居のような夫婦と円満だった夫婦の場合、後者の夫婦の方が慰謝料は増額されやすい。また、離婚した場合はかなりの確率で慰謝料が増える傾向にある |
約束違反 | 一度浮気が発覚し、誓約書などを交わしているにもかかわらず、約束違反があった場合は、慰謝料が増額される可能性がある |
精神的苦痛の程度 | うつ病など心療内科などへの通院を余儀なくされた場合は、増額傾向にある |
浮気相手の資力 | 社会的地位が高い、収入や資産が多いと増額されやすい |
浮気相手の態度 | 浮気が発覚したにも関わらず、認めて反省しない場合は増額の可能性がある |
上記の要素があったからといって必ずしも慰謝料が増額するわけではありません。反対に減額されることもあるため、注意が必要です。
話し合いが成立するまでの期間
浮気相手だけに慰謝料を請求した場合、話し合いが成立するまでだいたい3ヶ月〜6ヶ月くらいが多いようです。
示談で解決できるケースでは1〜3か月程度、裁判に至るケースでは1年以上を要することもあります。訴訟になった場合、月に一回のペースで裁判が行われるため、話し合いがさらに長引くかもしれません。
もちろんいろいろなケースがあるため、示談や裁判などの方法によって話し合いが成立するまでの期間は異なります。
支払われる方法
慰謝料の請求が確定した場合、一括での支払いが原則です。
話し合いが成立した後のタイミングで支払われます。しかし、浮気相手の経済状況や支払い能力によっては分割になるケースもあります。その場合、慰謝料の総額、支払う期間、月々の支払額、支払い方法を取り決めなければなりません。
分割払いの場合は、支払いが滞った時のために、公正証書を作成した方が安心です。
公正証書とは、契約の成立など一定の事項について、公証人が書証として作成し、内容を証明する書類のことです。法律事務の経験豊かな判事や検事などの中から法務大臣が任命した者が公証人となる。公正証書には執行力があるため、慰謝料の支払いが滞った場合、強制執行に着手できる。
浮気相手への慰謝料請求を成功するポイント
浮気相手だけの慰謝料を請求する際、以下のポイントを抑えて慰謝料請求すれば、上手くいく可能性が高くなるでしょう。
配偶者を自分の味方にする
内緒で浮気相手に慰謝料請求するケースを除けば、配偶者を自分の味方にして慰謝料請求したほうが良いでしょう。
浮気をした配偶者の中には、「相手は悪くない。全部自分が悪いんだ」「できれば浮気相手のことを許して欲しい」などと浮気相手の方を持つ発言をする人も一定数います。
配偶者がこのようなスタンスだと、浮気相手への慰謝料請求がやりづらいですし、高額の慰謝料を請求したら、あなたに対して文句を言ってくる可能性も考えられます。
そうならないよう、「離婚したくないなら、慰謝料請求に全面的に協力してほしい」と伝えるなどして、配偶者があなたに協力する状況を作りましょう。その方が慰謝料請求を進めやすくなるはずです。
言い逃れできない証拠を用意する
浮気の証拠を用意することも慰謝料請求を成功するためには欠かせません。
配偶者を味方につけていれば証拠が用意しやすい
配偶者を味方にするメリットの一つが、浮気の証拠を入手しやすくなることです。
配偶者があなたの味方になれば、浮気の期間や回数、きっかけなどの自白や、浮気相手とのメッセージのやり取りなどを見せてもらうことができ、それを証拠に浮気相手に慰謝料請求をすることができます。
配偶者に内緒で請求する場合も証拠は重要
配偶者に内緒で浮気相手だけに慰謝料請求する場合も、もちろん証拠があったほうが良いでしょう。
証拠がないと浮気を否定される可能性が高まってしまいます。そのため、慰謝料請求をする前にまずは証拠を入手することを優先させましょう。
浮気の証拠については下記の記事をご参考ください。
浮気相手だけに慰謝料請求するなら迷わず弁護士に相談
浮気相手だけに慰謝料請求する場合は、迷わずに弁護士へ相談することをおすすめします。
自分で慰謝料を請求すると、精神的にも負担が大きく、時間や手間がかかります。さらに、浮気相手に対して感情的になってしまったり、提示する証拠が揃っていなかったりなど些細なことで慰謝料が請求できなくなるかもしれません。
浮気による慰謝料請求はひとつひとつケースが異なります。だからこそ、浮気相手だけに慰謝料を請求する場合は、弁護士に相談し、円滑に慰謝料請求ができるようアドバイスをしてもらうと良いでしょう。
弁護士に相談すれば、慰謝料請求はもちろん、浮気相手が配偶者への求償権を放棄するなどの取り決めを行うアドバイスもしてもらえます。
浮気相手だけに慰謝料請求をしたいと考えている場合は、まず弁護士事務所に相談しましょう。
まとめ
この記事では、浮気相手だけに慰謝料請求する方法や注意点などを解説してきました。
浮気した配偶者と今後も婚姻生活を続けていくと考えている場合、浮気相手だけに慰謝料を請求したいと考える人も少なくありません。また慰謝料請求は、浮気相手に不倫や浮気の重大さをわからせたり、配偶者との関係を断ち切らせたりすることができます。
慰謝料請求を成功させるためにも、慰謝料請求の判断ポイントや方法、注意点などを把握することが大切です。
浮気相手だけに慰謝料を請求する際に、この記事が参考になれば幸いです。
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