不倫慰謝料の減額方法と交渉手順は5つの要素が大事。拒否された場合の対処法も解説
「不倫の慰謝料を減額するにはどうすればいいか知りたい!」
「高すぎて払えない不倫慰謝料…減額は無理なのかなあ」
突然、不倫の慰謝料を請求する郵便が届いたら焦ってしまいますよね。
ましてやそこに、思ってもいない高額が記載されていたらパニックになってしまうかもしれません。
でも慌てないでください!
不倫の慰謝料は、必ずしも請求額をそのまま支払わなくてはいけないわけではなく、減額交渉をすることが可能です。
本記事では、不倫慰謝料を減額できる要素について詳しく解説します。
また、減額交渉を進める手順について、ステップでわかりやすく説明しますので、「減額してもらうために、まず何をすべきか」が明確になります。
・不倫慰謝料を減額できる5つの要素
・【ステップで解説】不倫慰謝料の減額交渉を進める手順
・不倫慰謝料を減額してもらうためにしてはいけない3つのこと
ただ、こちら側に減額を申し立てる要素があって、正しい方法で交渉にあたったとしても、請求者(不倫された人)が減額に応じてくれるとは限りません。
悲しみや怒りから態度を硬化させて、どんな交渉にも全く耳を貸してくれない請求者も存在します。
そこで記事の後半では、減額に応じてもらえなかった時の対処法にも言及していきますので、交渉が上手くいかなかったときの為にしっかり把握しておいてください。
まずは、あなたのケースは慰謝料減額に値するかどうかという所から、順序立てて見ていきましょう。
目次
不倫慰謝料を減額できる5つの要素
不倫慰謝料として請求された金額が高すぎて払えないとき、下記のような要素があれば、それを元にして相手に減額を申し出ることができます。
- 請求された慰謝料の額が相場より高い
- 不倫相手の結婚期間が短い
- 不倫の期間が短い・不貞行為の回数が少ない
- 不倫への関与が消極的だった
- 社会的制裁を受けている
それぞれ具体的な内容を解説していきます。自分のケースと照らし合わせながら見ていってください。
請求された慰謝料の額が相場より高い
慰謝料の請求額が相場より高いことは、慰謝料が減額される要素になります。
不貞行為の慰謝料の相場は、一般に数十万円から300万円の範囲とされています。
幅のある金額ですが、過去の判例を元に主な3つのケースに分けると下記のようになります。
自分のケースに当てはめてみて、特別な事情がないのに、この相場を超える高額な慰謝料を請求された場合は、減額の申し出をすることができます。
特別な事情というのは、たとえば幼い子がいる場合や、加害者が社会的地位や資産を持つ人物であった場合、嫌がらせのようなことをして被害者の精神的苦痛を増大させた場合などです。
こうした事情があったときは、相場以上の慰謝料請求が認められる可能性があります。
不倫の状況や事情を考慮しても、請求された金額が相場より高額であったときは、減額交渉をした方が良いでしょう。
不倫相手の結婚期間が短い
不倫相手の夫婦の結婚期間が短いことは、慰謝料減額の要素になります。
長い婚姻期間である場合と比べて、被害者の精神的な苦痛は小さいと捉えられるからです。
具体的には、目安ではありますが、結婚期間が3年以下である場合は、慰謝料減額の可能性が高まります。
しかしながら、被害者側の意識としては、新婚と呼べるような時期に不倫されたという状況に対して『長い婚姻生活で不倫されるより精神的苦痛が大きい』と考える場合もあります。
ですので、お相手の結婚期間が短いという要素を元に減額を申し出る場合は、相手(被害者)の感情に配慮し、くれぐれも逆撫でしないよう十分に配慮して交渉することが重要になります。
不倫の期間が短い・不貞行為の回数が少ない
不倫の期間が短いことや、不貞行為の回数が少ないことも、慰謝料減額の要素になります。
たとえば1ヶ月で不倫関係が完全に終わった場合は、配偶者に与えた苦痛は小さいと考えられ、ほとんどの場合、相場より低い慰謝料が設定されます。
また、不貞行為が数回(2、3回)だけと少なかった場合も、悪質性が低いと評価され、一般的には慰謝料は低額になることが多いです。
そのため、期間が短い、あるいは不貞行為の回数が少ない不倫で、相場より高額な慰謝料を請求された場合は、減額の話し合いをした方が良いでしょう。
ただ、本当に短かったのか、回数が少なかったのかということを証明するのは簡単ではありません。
不倫の期間や不貞行為の回数は減額要素にはなりますが、相手を納得させる証拠が必要になることも覚えておきましょう。
不倫への関与が消極的だった
不倫への関与が消極的だったことが、慰謝料減額の要素となることもあります。
受け身であったことが認められれば、不貞行為の悪質性が低いと判断されるのです。
具体的には次のようなケースで、不倫への関与が消極的だったと見られる可能性があります。
- 関係を迫ったのは相手からでしつこく強引だった
- 半ば強制的に関係をもたされた
- 相手が威圧的だったため拒めなかった
ただ、本当に消極的だったのかという証明が難しく、被害者側に疑念を持たれてしまう場合もあり、この要素での交渉は簡単とはいえません。
社会的制裁を受けている
不倫をした人が、それによって既に社会的な制裁を受けている場合、それは慰謝料の減額要素になります。
社会的制裁を受けたこと=「被害者の精神的苦痛を埋めるもの」と判断されるのです。
社会的制裁とは、たとえば仕事を失ったり、不倫したことが原因で離婚に至った場合などを指します。
慰謝料は被害者の精神的苦痛を補填するために支払うものですが、それ以外に「制裁」という意味合いも含まれます。
そのため、既に十分な制裁を受けていると考えられる場合には、慰謝料は減額される可能性があります。
【そもそも慰謝料を支払う必要が生じないケースもある】
慰謝料の減額を求める以前に、そもそも下記のようなケースでは、慰謝料を支払必要はありません。
- 不倫相手が既婚者であることを知らなかった
- 不倫の開始時に既に相手の夫婦関係が破綻していた(別居している、離婚協議中だったなど)
- 2人で行動はしたが、肉体関係がなかった
- 相手から不倫関係の継続を強要されていた
- 時効になっている(※1)
あなたのケースがいずれかに当てはまる場合は、慰謝料の支払いを免れる可能性が高いので、しっかり確認するようにしましょう。
(※1)不倫の慰謝料請求の時効は、「不貞行為及び不貞相手が発覚してから3年」、「(被害者が不貞行為に気づかず後になって知った場合は)不貞行為が起きたときから20年」と定められています。
不倫慰謝料の時効についての詳細は関連記事「不倫の慰謝料請求の時効は何年?ケース別解説と時効を止め2つの方法」をご参照ください。
【ステップで解説】不倫慰謝料の減額交渉を進める手順
慰謝料は多くの場合、内容証明郵便で請求されます。
そこで2章では、『あなたの元に不倫の慰謝料請求の内容証明郵便が届いた』と仮定して、そこから減額交渉を進める手順を、ステップで解説していきます。
内容証明ではなく電話やメールで慰謝料請求されたという方は、「ステップ2」からご覧ください。
ステップ1|内容証明郵便の差出人を確認する
ステップ2|適切な減額交渉の方法を検討する
ステップ3|示談書(合意書)を作成する
順を追って説明しますので、落ち着いて対処していきましょう。
ステップ1|内容証明郵便の差出人を確認する
まず最初に、慰謝料請求の内容証明郵便は誰から送られてきたか?…その差出人を確認してください。
差出人が誰であるかによって、最適な対処法も変わってきます。
考えられるパターンは3つです。
- 請求者本人(不倫された人)が差出人
- (請求者の代理である)弁護士が差出人
- (請求者から相談を受けた)行政書士が差出人
それぞれのパターンから読み取れる情報を見ていきましょう。
請求者本人(不倫された人)が差出人
請求者本人(不倫された人)が差出人の場合は、弁護士など専門家に相談していないと考えられます。
そのため多くの場合で、内容が大変感情的です。
請求者本人からの慰謝料請求の書面では、下記のような内容が多くなります。
- 感情にまかせて高額の慰謝料を請求してくる
- 会社をやめるように求める、会社に知らせると予告するなど社会的制裁をちらつかせる
- 「不倫は許されない、けじめをつけろ」として金額などを提示せず曖昧な要求をしてくる
- 不倫をやめるという誓約書を書くよう求めてくる
こうした感情のままと受け取れる要求に対しては、軽はずみに応じないことが肝心です。
感情的になっている相手と同レベルで争ってしまうと、事態はさらに大きく悪い方向へ動いてしまい、慰謝料の減額交渉はスムーズに進みません。
請求者本人が差出人であった場合は、あくまでも冷静に「相手は何を要求しているのか」を判断してから、ステップ2に進みましょう。
また、相手が感情的になっていて、冷静に話し合いができないと感じた際には、ぜひ一度、弁護士に相談してみてください。
弁護士が差出人
内容証明郵便の差出人は請求者が依頼した弁護士である場合もあります。
この場合、請求者は確実に相当額の慰謝料を受け取りたいという強い意思があると考えられ、受け取った側にも、ある意味覚悟を決めた慎重な対応が求められます。
弁護士は法律の専門家なので、書類に不備があるということはまず考えられません。
記載された不倫の内容の全てが事実であってもなくても、放置すれば、法的な対処(裁判など)を起こされてしまう恐れがあります。
また、弁護士から請求してくるパターンでは、多くの場合、請求額が相場より高めに設定されています。依頼人の意思を汲んでいることに加え、専門家である弁護士は減額請求があることまで念頭にいれているからです。
差出人が弁護士だった場合は、より慎重な対応が必要になること、減額交渉が簡単ではないことを念頭において、ステップ2に進んでください。
もっとも、こうした交渉のプロを相手に、素人が交渉して有利な結果を得るのは容易ではありません。
うっかり不利になる発言をしてしまい、慰謝料がさらに増額されてしまうケースもあります。
そのため、弁護士が差出人だった場合、金額交渉は容易でないことを念頭において、早めに弁護士に相談することを検討しましょう。
行政書士が差出人
差出人が請求者に代書を頼まれた行政書士であるというパターンもあります。
行政処理に代書を依頼しているという時点で、請求者(不倫された人)は、裁判にせず早期解決したいと思っている可能性があります。
なぜなら、行政書士は弁護士と違って代理人にはなれないからです。
行政書士は、依頼者(不倫された人)が裁判前に示談を成立させることを前提にして、内容証明作成のアドバイスをしています。
依頼者も行政書士のそうした特徴を理解して代書の依頼をしている訳なので、妥当な金額であれば、早期解決のために「減額要求」に応じてくれる可能性が高いでしょう。
ただし、行政書士(事務所)によっては弁護士と提携している所があります。内容証明を無視して放置していると弁護士に引き継がれ、裁判を起こされる場合があるので注意しましょう。
行政書士が差出人だった場合は、相手が裁判などに発展しない早めの解決を望んでいることを把握して、次のステップに進んでください。
ステップ2|適切な減額交渉の方法を検討する
内容証明の差出人を確認したら、それを考慮して、適切な慰謝料の減額交渉の方法を検討しましょう。
主に考えられる交渉の方法は次の3つです。
- 電話や対面で交渉
- 書面で交渉
- 弁護士に交渉を依頼
どの方法を選択するべきか、順に見ていきましょう。
電話や対面で交渉
ひとつめの交渉方法は、電話や対面での交渉です。
請求者が書面ではなく、電話や対面で慰謝料請求をしてきた場合には、そのまま減額交渉を始めるというパターンになります。
相手との関係性にもよりますが、硬い文章でのやりとりよりも、生の声や対面の方が謝罪の気持ちが伝わりやすく、減額の訴えも相手に響きやすいというメリットがあります。
しかしながら、お互い感情的になって決裂してしまったり、「電話で済む問題ではないだろう」と相手を怒らせ、気持ちを逆撫でしてしまう可能性も少なくありません。
特に、相手方に弁護士がついていないケースでは、請求者の主張も十分に整理されていないことが多いので、お互い不明瞭な主張をぶつけ合うだけになる恐れもあります。
実際問題、証拠の提出などの準備もなく、電話だけで減額を成功させるのは難しいと言わざるを得ません。
ただ、交渉の最初の段階として、電話で「お返事は改めて致しますが、内容証明を受け取ったことをご連絡しました」と伝えたり、1度は会って不倫について謝罪することは、その先に慰謝料を減額してもらうのに効果があるかもしれません。
慰謝料請求をされたすぐ後の電話や対面では、減額についての主張は敢えて控え、真摯な謝罪を示した上で、今後合理的に話し合いをしたいという意思を伝えることをおすすめします。
文書で交渉
内容証明郵便など文書の形で慰謝料請求された場合は、こちら側も文書で交渉していくのが一般的です。
文書のやりとりであれば、感情的にならず、冷静にお互いの意志を伝え合うことができます。
また、文面が証拠として残るので、言った・言わないというトラブルも起きません。
減額交渉の文書の書き方に法律的な決まりはありませんが、減額を成功させるためには、次のような事項は洩れなく記載した方が良いでしょう。
記載すべき事項 | 注意点 |
---|---|
1.不倫の事実を認める | 何年何月〜何年何月といった交際期間を、間違いのないように記述する 相手が送ってきた内容に間違いがあった場合は、それも訂正して記述する |
2.謝罪の言葉 | 反省の気持ちが伝わるように記述する 完全に交際を中止したこと、2度と繰り返さないことを明記する |
3.減額の要求とその理由 | 減額要求の理由は本記事1章「不倫慰謝料を減額できる5つの要素」を参考に、できるだけ具体的に記述する 注:切り口上に書くのではなく、「誠に恐縮ですが」「お恥ずかしいお願いなのですが」と、相手に不快感を持たせないように気をつける |
文章は、インターネットで手に入るような定型文を利用するのではなく、自分の言葉で、真摯な気持ちを伝えることを意識して書きましょう。
また、「2.謝罪の言葉」の注意点として赤字で記載した、交際を中止し今後2度と繰り返さないという主旨の文言は、多くの場合、請求者が一番望んでいることです。
それを文章ではっきりと示せば、請求者の同意を得やすくなることから、最終的に慰謝料を減額することに期待が持てます。
弁護士に交渉を依頼
個人での交渉が難しいと感じた場合は、弁護士に交渉を依頼する方法をおすすめします。
特に、相手が弁護士を介して慰謝料請求をしてきた時は、こちらも弁護士を立てた方が、交渉が成功する可能性が高くなります。
知識や経験のない個人が弁護士と渡り合って、慰謝料を減額させるのは難しいでしょう。
また、相手に弁護士がついていなくても、慰謝料減額の交渉の申し出に相手が全く応じてくれないケースもあり、その場合はやはり、弁護士に交渉にあたってもらった方が良いでしょう。
減額が成功するしない以前に、交渉すらできなくては話が前に進みません。
憎い不倫相手がいくら呼びかけても無視して応じない請求者も、専門家である弁護士が出てきた場合は、ある程度態度を軟化する可能性が高くなります。
慰謝料を減額したいけれども、状況的に厳しい案件だと感じる場合は、弁護士に交渉を依頼してみましょう。
ステップ3|示談書(合意書)を作成する
不倫慰謝料の減額交渉に成功したら、必ず示談書を作成して決定事項を文書の形で残しましょう。
示談書では、不倫をした側は、不倫関係の解消や、慰謝料の支払いなどを約束します。
不倫された側は、今後これ以上責任追及しないこと、示談書の取り交しをもって問題解決とすることなどを約束します。
これらの約束を、示談書に規定して、双方署名押印をして和解が成立することになります。
示談書の書き方に法的な決まりはありませんが、主に次のような項目が記載されます。
- 不倫行為の事実確認とそれに対する謝罪
- 慰謝料の金額
- 慰謝料支払いの条件(一括払い、分割払い、期限など)
- 不倫の再発防止にかかる誓約、違約した場合の取り扱いなど
- 守秘義務、プライバシーの保護に関すること
- 清算条項、連絡通知の義務、公正証書を作成する合意など
示談書を作成する目的は、合意内容を明確化し、後日のトラブルを防止することにあります。
不倫をした側にとって、示談書の作成は減額の証拠になる以外にも、慰謝料の追加請求を避けることができる、というメリットがあります。
内容や形式の整った示談書を作成するには、弁護士に依頼するのがよいでしょう。
また、このステップで減額交渉を行っても、相手方の同意が得られない場合、一般的には調停や裁判(訴訟)に交渉の場を移すしか方法はありません。
詳しくは、4章「減額に応じてもらえない時の3つの対処法」をご参照ください。
これはNG!不倫慰謝料を減額する為にしてはいけない3つのこと
減額交渉について解説しましたが、あなたが本気で慰謝料の減額を求めるのであれば、下記のようなことは決してしないように注意してください。
慰謝料請求を無視して放置する
感情的な対応をする
納得していない示談書に言われるがままサインする
これらのどれかひとつでもしてしまうと、後になって後悔しても慰謝料の減額は望めなくなる可能性があります。
しっかり読んで把握しておきましょう。
慰謝料請求を無視して放置する
慰謝料請求を無視して、長きに渡って放置するようなことをしてはいけません。
放置し続けていると、いずれは裁判(訴訟)を起こされてしまう可能性が高いです。
裁判となると、手間や時間がかかって、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。
裁判にならなかったとしても、無視しようとした、放置した、という態度が請求者に、「不貞行為をしたことを反省していない」「支払いを逃れようとした」、などと捉えられ、慰謝料の減額どころか増額されてしまう可能性もあります。
慰謝料額には、加害者の謝罪の意思なども判断材料として反映されるのです。
1度不倫慰謝料の請求が来てしまったら、無視して放置したからといって支払いを免れる可能性はまずありません。
早めに謝罪をして、支払うことを前提に減額交渉を始めた方が賢明です。
感情的な対応をする
慰謝料請求を不当なものに感じたり、相手の態度が受け入れ難いといったことがあっても、決して感情的な対応をしてはいけません。
感情にまかせて不適切な行動や不用意な発言をしてしまうと、今よりもっと大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。
感情的な対応とは、反発して相手を罵ったり、「〇〇してやる」と相手の嫌がることを口走るといったこと。また、激昂して手を出してしまう、請求者の家や職場に何度も電話で連絡をするようなことです。
こうした感情的な対応は、あなたの立場をさらに不利なものにしてしまいます。
「脅迫された」「反省の態度が見えない」と相手から慰謝料を増額される可能性もありますし、自分の家族や勤務先など第三者に不倫が知られ、責任を追及される恐れもあります。
特に多少なりとも暴力をふるった場合は、刑事事件に発展しかねませんので注意してください。
仮に相手(不倫された人)が感情的になっていたとしても、あなたは感情的になってはいけません。
感情的な対応をしてしまうと、慰謝料の減額は難しくなるでしょう。
納得していない示談書に言われるがままサインする
相手からどんなに強く求められたとしても、納得していない示談書にサインしてはいけません。
内容をしっかり確認せずにサインしてしまうと、その内容を覆すことは困難になります。
相場より高額な慰謝料が設定されていても、黙って支払うしかなくなる可能性が高いです。
不倫の慰謝料請求では、激昂した相手から強く請求されたり、「支払わないと周囲にばらす」などと脅され、言われるがまま示談書にサインしてしまうケースが少なくありません。
早く収めたい一心でその場しのぎにサインしてしまうのでしょうが、この対応は厳禁です。
感情的な対応をしてはいけないと先述しましたが、大人しく何でも丸呑みすれば良いかというと、それも違います。
「この場さえ切り抜ければ…示談内容は後で争えばいい」といった気持ちで安易に示談書にサインすると、後々までその内容に拘束されて痛い目に遭います。
「無理に書かされた」と主張しても、証拠等の観点から、主張は通りにくいと言わざるを得ません。
不倫慰謝料の減額を成功させたいのであれば、示談書のサインは内容に合意して納得するまで決してしないよう心得ておきましょう。
減額に応じてもらえない時の3つの対処法
ここまで不倫慰謝料の減額について解説してきましたが、どんなに粘って交渉しても相手側の同意が得られない場合がありますので、その対処法を解説します。
減額交渉が決裂してしまった場合、残された選択肢は3つになります。
話し合いを中止して相手の出方を待つ
諦めて慰謝料を支払う
分割払いを提案する
それぞれ見ていきましょう。
話し合いを中止して相手の出方を待つ
不倫した事実を認めて謝罪し、相応の慰謝料を支払う意思を示しても、請求者側が慰謝料の減額に応じてくれない場合は、話し合いを中止して相手の出方を待つほかありません。
配偶者の不倫に傷ついた請求者は、精神的に不安定になり、こちらの要求を頑なに拒んでいることも考えられます。現実的な解決策を探る気のない相手と交渉を続けても、望むような結果は期待できません。
ただ覚悟しておかなければいけないのは、「当事者同士の話し合いを中止する」=「慰謝料問題の場が調停や裁判の場に移る」のを指すということです。
話し合いを中止して慰謝料がうやむやになる筈はなく、次の段階として、請求者側が調停や裁判(訴訟)を起こしてくるのが定石です。
調停や裁判では、判例などを踏まえた客観的な慰謝料額による解決が図られます。
相手側に弁護士がついている場合は、充実した証拠や資料を作成、提出してくる可能性がありますので、それに匹敵するような証拠類等の準備が必要になります。
対等に議論を戦わせ、慰謝料の減額を成功させるためには、こちらも弁護士への依頼を検討した方が良いでしょう。
諦めて慰謝料を支払う
裁判になることは避けたい、これ以上慰謝料問題で悩みたくない、という方は、減額を諦めて請求者側が要望する慰謝料を支払って、示談を成立させるのも選択肢のひとつです。
当事者の間で速やかに示談を成立させることができれば、裁判に要する時間や精神的な負担、弁護士その他にかかる費用も省くことができます。
社会的に重要な立場にあったり、信用や評判が重要な仕事に就いている人は、不倫のようなトラブルが長く尾を引いたり、裁判になって第三者にまで知られると、お金以上に大きな損害を被ることがあります。
全体としての損得を計算したうえで、多少高額でも請求された慰謝料を支払って、不倫問題を早く完全に解決させた方が得策と考えることもできるでしょう。
分割払いを提案する
裁判は避けたいけれど、実際問題として高額な慰謝料をそのまま支払うのは厳しいという方は、分割払いの提案をおすすめします。
分割でも全額支払うわけなので、減額よりは受け入れ側のハードルは低くなります。
実際、減額交渉に失敗した後、長期の分割払いを申し出て示談を成立させている例も少なくありません。
分割払いを申し出る際は、月々の支払金額と、支払い終える期間をしっかり設定し、書面に明記して相手に提示します。
「支払いが〇回以上滞ったら分割払いを停止し、残りを一括で支払うこととする」、などの条件を付けると、分割払いを認めてもらいやすくなります。
ただし、分割払いの申し出も相手が受け入れてくれなかった場合は、結果的に裁判にもつれ込むリスクがあることも覚えておきましょう。
【(不倫相手が離婚しなかった場合)求償権を放棄して減額する手段もある】
不倫相手が離婚に至らなかった場合に限りますが、求償権を放棄することで慰謝料を減額できる可能性があります。
不倫の責任は当事者の両方にあり、慰謝料の支払い義務は2人共に生じます。
あなたが1人で慰謝料を負担した場合は、もう1人の当事者(不倫相手)に対して、慰謝料の超過分を請求することができます。これが「求償権」です。
慰謝料の金額が100万円で、それをあなたが1人で支払ったとします。
この場合、あなたは求償権を使って、後からもう1人の当事者(不倫相手)に半額の50万円程度の超過分(求償権)を請求することができます。
相手家庭は離婚していないため家計はひとつと考えられます。
求償権が認められると、夫婦の家計としては、100万円をもらって、後から50万円(不倫の主導権があったとみなされた場合はそれ以上)を支払うことになるため、手元に数十万円しか残らないという結果になります。
このように、求償権が認められると、結果的に不倫相手の配偶者が意図する金額が受け取れないため、「求償権は放棄するので、最初から慰謝料を減額してください」と申し出ることで、慰謝料の減額が通りやすくなります。
ただしそのためには、相手に「求償権とはどういうものか」をしっかり説明し、『求償権を行使されるより減額した方が(被害者の)得になる』ということを納得してもらわなければいけません。
求償権放棄に際しては和解書や公正証書に条項として記載する手続きも煩雑ですので、専門の弁護士に相談されることをおすすめします。
お気軽にご相談ください!敷居を感じさせない弁護士事務所「弁護士法人AO」
弁護士法人AOは、誰でも気軽に相談出来る敷居を感じさせない弁護士事務所です。
あなたの「かかりつけ弁護士」として、心に寄り添い、コミュニケーションを大切にしながら業務を遂行します。
慰謝料請求でお困りなら、ぜひお気軽にご相談ください。
【慰謝料の交渉を自分でやるのはおすすめできません!】
不倫の慰謝料は数十万円〜300万円程度といわれていますが、当事者が自分で交渉した場合、相場より高額な慰謝料が請求されたり、慰謝料以上に大きな制裁(職を失う、家庭を失う、病気になる等)を受けてしまうケースがあります。
- 家族や職場にばれてしまい、お金だけでなく仕事も失った
- 解決までに長い時間がかかり、精神的ストレスで病んでしまった
- 相手弁護士とのやりとりの際、不利になることを話してしまい、交渉や裁判での証拠として利用された
- 相手からの執拗な連絡に耐えられず、請求された慰謝料を高い金額のまま払ってしまった
- 交渉がまとまらないまま裁判を起こされ、慰謝料のほかに訴訟費用と原告側の弁護士費用まで支払うことになってしまった
【自己判断せず弁護士に相談しましょう】
慰謝料請求関連でトラブルが起きたとき、個人で解決するのには限界があります。
何の対策もせずに相手と交渉した場合、先述のようにかえって悪い結果を招く恐れもあります。
第三者である弁護士が入ることで相手も冷静になって、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。
慰謝料の交渉について弁護士に相談することには、下記のようなメリットがあります。
- 慰謝料請求された金額を減額や免除にできる可能性が高まる
- 裁判に至る前に、交渉で解決できる可能性が高まる
- スピード解決できる可能性が高まる
- 不当な要求や脅迫行為への抑止力となり、将来に不安を残さない解決が期待できる
- 相手と直接交渉する精神的なストレスから解放される
- 示談書や誓約書等の法的書面を作成してくれる
【弁護士法人AOが選ばれる理由】
慰謝料問題は長引くほどメンタル的にも負担が大きくなるので、示談の段階から弁護士に相談するのがベストです。
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- 請求された慰謝料の金額はとても払えないので、できる限り減額したい
- 弁護士相手に自分で交渉するのは不安で代理人を探している
- 裁判を起こすと言われているが示談で解決したい
- こちらの言い分(反証)を伝えたいがさらに相手を怒らせてしまわないか心配
- 性的な関係はなかったが、精神的苦痛や権利侵害の慰謝料を請求されている
- 家族や職場にばれたくない
まとめ
不倫の代償として高額な慰謝料を請求された場合、下記の要素に該当していれば減額交渉が可能です。
- 請求された慰謝料の額が相場より高い
- 不倫相手の結婚期間が短い
- 不倫の期間が短い・不貞行為の回数が少ない
- 不倫への関与が消極的だった
- 社会的制裁を受けている
ただ、どんな理由があったにせよ、こちらには不倫をしてしまったという弱みがあります。
減額の交渉は、まず相手に謝罪をし、落ち着いて冷静に進めてください。
慰謝料を減額してもらうためには、決して慰謝料請求を無視したり、放置するようなことはしないでください。相手に対して感情的な対応をすることも厳禁です。
また、どんな丁寧な対応をしたとしても減額交渉は成功するとは限らず、決裂してしまった場合は、調停や裁判を起こされてしまう可能性があることも覚えておきましょう。
慰謝料請求されて払えず困っている方は、対処法や減額交渉に役立つ知識も解説しているこちらの記事もご確認ください。
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