治療費の打ち切りを言われたら延長交渉!通院を続けるためにできること

「今月いっぱいで治療費の支払いを終了したい」
相手の任意保険から、突然告げられた治療費の打ち切り。
痛みなどが残っていて治療を続けたい事故被害者の方も多いと思います。
保険会社からの治療の打ち切りには素直に応じる必要はありません。治療費支払いの延長交渉を行うことで、支払いが継続される可能性があります。

支払いの延長を認めてもらうには、医学的根拠が必要です。また、打ち切られた場合でも慰謝料の示談交渉の際に打ち切り後の治療費も請求できる可能性があります。

このページでは、治療費の支払い延長交渉のポイント、打ち切られた後に治療費請求する方法や最後まで通院をする際にやっておきたいことなどを紹介していきますので、治療費の打ち切りに納得できない方は、これからの対応の参考にしてください。

治療費の打ち切りは交渉で期間を延長できることがある!


相手の保険会社から治療の終了を伝えられたとしても、治療費を引き続き支払ってもらえる可能性はあります。
まだ痛みがあり、治療費の支払いを受けて通院を継続したい場合は、治療費を打ち切られたら通院を終了するのではなく、保険会社と交渉をしましょう。
交渉をすれば必ず延長できるとは限りませんが、やれることをやることが大切です。

そもそも、保険会社が治療費の支払い終了を事故被害者に提案してくることは珍しい話ではありません。むしろ、むちうちや骨折といった交通事故で多いケガの場合は、痛みが残っている最中で保険会社から治療費の支払い終了を伝えられるケースは多いです。
これは、保険会社が過去の事例からケガごとに治療費を支払う期間の目安を決めており、その期間が経過したら治療費の支払い終了を伝えるように決めているからです。
つまり、事故被害者の治療状況を見て治療費の打ち切りを伝えているのではないのです。

しかし、同じケガであっても回復のペースは一人一人異なりますし、そもそも治療を終えるタイミングを判断するのは医師です。
だからこそ、まだ治療が必要な根拠を保険会社に示し、治療費の支払い継続を認めてもらえるように交渉することが大事なのです。

治療費の支払い延長を求める交渉を成功させるポイント

保険会社に治療費の打ち切り延長を求める交渉は「自分で行う」「弁護士に依頼する」という2つの選択肢があります。
弁護士に依頼する場合はその後の示談交渉まで依頼することを前提に、治療費の打ち切り延長の交渉からお願いすることになります。
自分で交渉するにしても、弁護士に依頼して交渉するにしても「まだ治療費を支払ってほしい」と伝えるだけでは相手保険会社は認めてくれません。
治療費の支払い延長を認めてもらうためには次のことがポイントになります。

診断書など治療を継続するべき根拠を用意する

痛みやケガの状況を保険会社側に正確に伝え、保険会社に「まだ治療が必要かも」と思ってもらう必要があります。
そのためには、医師の診断書や検査結果といった医学的根拠が一番効果的です。
医師の指示通りに治療受けること、医師に自分の自覚症状を詳細に伝えることなどを大事にし、医師に相談して診断書を作成してもらったり、検査を受けさせてもらったりしましょう。
医学的根拠を入手して交渉をすることで、保険会社が治療費の支払い延長を認める可能性があります。

期限を区切って延長交渉を行う

治療費の支払い延長を求めるときは「あと1ヶ月だけ治療を続けさせてほしい」といったように、いつまで治療費を支払ってほしいか期限を伝えて交渉をするほうが良いでしょう。
保険会社としても、終わりが見えていたほうが治療費の支払い延長を受け入れやすくなります。
保険会社は治療費の支払いを終了したいと考えていますので、延長が認められるのは1ヶ月〜2ヶ月程度のケースが多いです。
医師と相談をし、あとどの程度の治療が必要か確認した後に、期限を区切って交渉しましょう。

弁護士に依頼できるケースでは依頼がおすすめ

弁護士に依頼できるのであれば、弁護士に依頼し、弁護士から交渉してもらったほうが治療費の支払いが延長される期待は高まるでしょう。
弁護士に治療費の支払い延長交渉だけを依頼することは基本的にできませんので、その後の示談交渉などまで依頼することを前提に、治療費の打ち切りを打診されたタイミングで相談することになります。
弁護士に依頼できるケースとしては「治療期間が半年程度」または「弁護士費用特約に加入している」などが当てはまります。
交通事故被害で経験豊富な弁護士であれば、医学的根拠をもとにどのように交渉をしたら治療費の支払い延長が認められやすいか戦略を立てて交渉できますので、ご自身で対応するよりも治療費の支払いが延長される期待は高まります。
慰謝料請求を弁護士に相談しようと考えていた方は、このタイミングでの相談をおすすめします。

むちうちは3ヶ月、骨折は6ヶ月(打ち切り時期の目安)

ケガ 打ち切りのタイミング
打撲 1ヶ月
むちうち 3ヶ月
骨折 6ヶ月

上の表は、保険会社が治療費を打ち切るタイミングの目安です。
打撲、むちうち、骨折といった交通事故で多いケガは保険会社の社内で治療費の支払い期間を決めていて、上記のように打撲は1ヶ月、むちうちは3ヶ月、骨折は6ヶ月を迎える前ぐらいに治療費の打ち切りを提案してくることが多いです。

むちうちや骨折はケガの程度によって回復のペースが異なり、3ヶ月や6ヶ月が経過した時点ではまだ治っていないこともありますが、その場合でも保険会社は自社の基準に沿って治療の終了を伝えてくることがあります。「今月末で打ち切ります」など、治療費の支払い終了時期を伝えられた方は、その時期が上の表と同じかご確認ください。

たとえば、むちうちの方で事故から3ヶ月のタイミングだったとしたら、あなたの回復具合を見て治療費の打ち切りを判断したのではなく、社内のルールに沿って伝えているだけの可能性があります。
そのような場合は、医学的根拠を示して治療費の支払い延長を求めることで、延長が認められるかもしれません。
むちうちで4ヶ月や5ヶ月が経過して打ち切りを伝えられることもありますが、その際は、あなたの治療状況も加味して長めに治療費の支払いを認めてくれている可能性があります。

治療費打ち切りの連絡を無視するのはNG


保険会社から治療費打ち切りの連絡が来た際は、きちんと保険会社の話を聞いた上で、ここまでご説明した対応を取りましょう。
治療費を打ち切ると言われたことに納得できない、「もう治ってるんでしょ」といった心無い言葉を言われてショックを受け、保険会社と話したくない方もいるかもしれません。
しかし、保険会社からの連絡を無視すると、保険会社は連絡が取れないのを逆手にとって、一方的に治療費の支払いをストップしてくることがあります。
これでは交渉以前の問題となってしまうため、保険会社からの連絡には必ず対応するようにしてください。
保険会社にしっかりと対応し、「まだ治療を続けたい」と伝えていれば、即座に支払いを打ち切られることは滅多ありませんので、その間に医学的根拠などを準備しましょう。

打ち切り後の治療費を示談交渉で請求できることもある

保険会社が治療費の支払いの延長に応じず、治療費が打ち切られてしまうケースもあります。
この場合でも、打ち切り後の治療費を請求できる可能性が残されています。
慰謝料などの示談交渉を行う際に打ち切り後の治療費も請求することで、保険会社から支払われる可能性もあります。
示談交渉で支払いを認めてもらうには、まだ治療が必要だったという根拠や、治療が必要だったことを保険会社に認めさせる交渉力が必要です。
治療費が打ち切られた後も通院を続け、治療費を支払ってもらいたい方は次の2つのことを行いましょう。

医師から症状固定と診断されるまで治療を続ける

医師が「まだ症状固定ではない」と判断しているなら、症状固定と言われるまで治療を続けるようにしましょう。
治療を続ければケガが治る可能性があるのはもちろんですし、保険会社には交通事故の治療費について症状固定までは支払わなければならない義務がありますので、治療費の打ち切りが症状固定よりも前だったことが、示談交渉での交渉の材料になり得ます。
反対に、治療費が打ち切られて治療をやめてしまうと、それ以上症状が回復しない可能性が出てしまいますし、保険会社の治療費打ち切りが正しかったと認めることになってしまいます。
なお、打ち切り後の治療費は事故被害者自身で立て替えることになります。
示談交渉で必ず全額支払ってもらえるわけではありませんので、自己負担になる可能性があることは理解した上で治療を受けましょう。

打ち切り後の治療費の支払いは弁護士に相談して交渉

打ち切り後の治療費を示談交渉で請求する際は、弁護士に相談して示談交渉を行いましょう。
打ち切り後の治療費の支払いを認めさせるのは簡単ではなく、専門的な知識や交渉のスキルを必要としますので、ご自身で交渉をして認めさせるのはハードルが高いです。
仮に治療費の支払いを認めたとしても、その分、他の慰謝料などを低額にさせられてしまい、合計金額で考えると損をした結果になる可能性もあります。

弁護士に依頼すれば、打ち切り後の治療費の支払いを求めて交渉することはもちろんですが、総合的に見て事故被害者の方が損をしないように交渉を進めることが可能です。
また、弁護士は、事故被害者の方からお話を伺った段階で、打ち切り後の治療費の支払いを認めてもらえる可能性があるかなども判断することができます。
そのため、治療を終えてから弁護士に相談するのではなく、保険会社から治療費の打ち切りを伝えられた段階で相談するのが良いでしょう。

打ち切り後の治療費を抑える方法


治療費が打ち切られた後、最後まで通院することを選んだ場合、次の3つの方法を取り入れてご自身の負担を減らしましょう。

人身傷害保険に治療費を支払ってもらう

事故被害者の方が人身傷害保険に加入していれば、自分の保険で治療費をまかなうことができる可能性があります。
人身傷害保険を使えれば、自己負担なく最後まで通院できます。
保険の等級を心配する方もいるかもしれませんが、人身傷害保険だけを使用するのであれば、翌年からの等級、保険料は変わりません。
ただし、対人賠償責任保険など他の保険も使用すると翌年からの等級が下がり、保険料が上がりますのでご注意ください。

通院する際は、健康保険を利用する

初めから健康保険を使って病院に通院している方もいると思いますが、ここまで健康保険を使わずに通院していた方は、治療費の打ち切り後は健康保険を利用しましょう。
交通事故被害での治療にも健康保険を使うことができ、健康保険を使えば自己負担は3割にすることができます。
交通事故によるケガで健康保険を使う際は「第三者行為による傷病届」や「交通事故証明書」といった書類を健康保険機構に提出する必要があります。

まとめ

ケガの治療中に保険会社から治療費の打ち切りを伝えられた際の対応についてご説明いたしました。

・交渉をすれば治療費の支払いを延長できる可能性がある
・医師の診断書や検査結果などの医学的根拠が必要
・「あと1ヶ月通院したい」など期間を区切って交渉する
・治療費延長の交渉から弁護士に依頼するのもアリ
・一度立て替え、後から請求できる可能性もある
・自分の人身傷害保険で自己負担を回避できる可能性がある

治療費の支払いが打ち切られ、ケガの治療が自己負担になることは納得できないと思います。
まだ治療を続けたく、医師も治療が必要だと言っているなら、治療費の支払い延長の交渉や示談交渉の際の請求を考えましょう。
ご自身で判断したり交渉したりするのは難しいと思いますので、弁護士に相談して進めることをおすすめします。
治療費の打ち切りのタイミングは、ケガの治療から示談交渉に移り変わる時でもあり、弁護士に相談するには良いタイミングと言われています。
治療費の支払い延長の見込み、今後の治療や慰謝料の目安などをまずはお伝えし、その後の交渉、示談成立をサポートいたしますので、慰謝料請求を弁護士に相談することを考えていた方はぜひ、このタイミングで当事務所までご相談ください。

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