弁護士が教える不倫の慰謝料請求を行う際の15の注意点

配偶者の不倫が発覚し、不倫相手に慰謝料請求をご検討中の方に、不倫の慰謝料請求を行う前と、慰謝料請求の過程で大切な15つのことをお伝えいたします。慰謝料請求をすることは初めてで、どう対応すれば良いか調べながら進めている方がほとんどだと思います。慰謝料請求に失敗しないために、自分が不利な状況にならないように慰謝料請求を進めるために、この記事でお伝えする注意点を慰謝料請求する前にご確認ください。

不倫の事実関係をできるだけ明らかにしておきましょう

不倫の慰謝料請求を行う際は、請求前に事実関係をできるだけ明らかにしましょう。
氏名、住所、連絡先、勤務先、結婚の有無といった不倫相手に関する情報、いつから不倫が始まったか、不倫の頻度、会っている場所といった不倫の詳細などを、把握しておいた方が慰謝料請求を進めやすくなります。
すべてを把握するのは難しいケースもありますので、できる範囲で把握しましょう。
反対を言えば、情報が少ないと慰謝料請求ができない、交渉が難航するという事態になる可能性が出てしまいますのでご注意ください。
事実関係は配偶者の自白や、配偶者と不倫相手とのLINEのやり取りなどで明らかにすることができます。

慰謝料請求を始める前に証拠を残しておきましょう

不倫相手に慰謝料請求するなら、不倫の証拠を事前に入手した方が良いでしょう。
今、手元に証拠がないなら慰謝料請求前に不倫の証拠を入手するための行動をしましょう。
ホテルに出入りする瞬間の写真や動画、肉体関係がわかるメッセージのやり取り、配偶者の自白などが証拠になります。
また、ホテルのライターや領収書といった物品、街中で会っている様子を納めた写真や動画も証拠になり得ます。
ちょっとしたものが証拠として役立つ可能性がありますので、証拠になりそうなものは何でも手元に残しておきましょう。

ただし、証拠を入手するために無理なことをしてはいけません。
例えば、ご自身で尾行をすると配偶者や不倫相手にバレたり、場合によっては不審者と勘違いされて警察沙汰になったりするおそれもありますのでご注意ください。
不倫の証拠になり得るものや、不倫の証拠を入手する方法については下記の記事で詳しく解説しています。


 

証拠がない状況で問い詰める際は注意しましょう

不倫の証拠を入手することを推奨しましたが、証拠は必ず入手できるとは限りません。
手を尽くしたけど、大した証拠を入手できないケースも多くあります。
もし、まだ証拠を入手していない、もしくは証拠は入手できなかったのであれば、その状況で配偶者や不倫相手を問い詰めることはやめた方が良いでしょう。
証拠なしの状況で配偶者や不倫相手を問い詰め、相手が不倫の事実を認めて謝罪する可能性もゼロではありませんが、多くの場合、不倫を否定されてしまうのでしょう。
証拠がなければ不倫を否定された際に、そのウソを覆すことができません。
そればかりか、配偶者や不倫相手はあなたを警戒するようになり、その後、証拠の入手が難しくなるでしょう。
証拠がない、もしくは入手できない場合は、証拠なしで配偶者や不倫相手を問い詰めるのではなく、弁護士に「証拠がない状況でどう慰謝料請求を進めたら良いか」と相談することをおすすめします。

慰謝料請求の時効に気をつける

不倫の慰謝料請求には、時効があります。

・不倫慰謝料の時効は「不倫が発覚してから3年」
・不倫に気づかなかった場合の不倫慰謝料の時効は「不貞行為が始まってから20年」

上記のいずれかに当てはまると時効となり、慰謝料請求はできません。
この記事をご覧の方の場合、不倫が発覚していることがほとんどでしょうから、発覚して3年で時効になるとご認識ください。
何かしらの事情で不倫の発覚後、すぐ慰謝料請求を行わない場合は時効にご注意ください。
なお、不倫慰謝料の時効については、下記の記事で詳しく解説しています。


 

慰謝料の相場金額を把握しておく

不倫の慰謝料には下記のように相場があります。
慰謝料請求をする前に相場を確認し、自分の場合はいくら程度の慰謝料を獲得できるのか把握をしておきましょう。

慰謝料の請求金額はあなたが自由に設定できますが、設定金額が相場より明らかに高額だと、不倫相手から大幅な慰謝料減額を求められる可能性が高いでしょう。
そのことを理解した上で慰謝料請求を行うようにしてください。
慰謝料の相場については、下記で詳しく解説しています。


 

慰謝料の支払い以外の無理な要求をしない

「慰謝料を支払わせるだけじゃ気が済まない。もっと懲らしめたい」とお考えの方もいるかもしれません。しかし、無理な要求はおやめください。あなたが不利になるだけです。

たとえば、配偶者と不倫相手が社内不倫をしていた場合に、「不倫相手を退職させたい」「会社中にバラしたい」などと考えるかもしれません。

しかし、不倫被害者に認められているのは慰謝料請求をすることで、不倫相手の退職などを強制することはできません。会社中にバラすと「名誉毀損罪」などに問われてしまう可能性があります。
できることは、「退職を考えてほしい」と一言伝えるぐらいまでです。また、「仕事以外で一切話さない」ということであれば要求できます。

交渉内容は書面やデータに残す

不倫相手に慰謝料請求をする際、交渉する際は書面や音声などを残しましょう。
メールやメッセージ、郵便などで慰謝料請求、交渉を行えば書面やデータを残すことができます。
書面やデータは、慰謝料が支払われ、全て解決するまでは絶対に処分しないようにしてくだい。

また、口頭で交渉する場合は、言った・言わないのトラブルを防ぐため、スマホの録音機能を使うなどして音声データを残してください
交渉の過程を全て残しておけば、後からトラブルになった際にスムーズに対応することができます。

示談した際は書面に残す

最終的な決定内容も書面やデータで残すようにしてください。
こちらも言った・言わないのトラブルを防ぎ、不倫相手にきちんと慰謝料を支払わせるためです。
書面には、慰謝料の金額に加え、不倫を認めること、不倫の期間などの事実関係、慰謝料の支払い方法、支払い期日、期日までに支払わなかった場合の対応、お互いの住所や氏名などを記載します。
書面を作成してお互いに捺印するだけでも良いですが、公証役場で公正証書を作成することも可能です。
公正証書は、裁判の判決と同じ効力ありますので、示談後のトラブルが不安な方は公正証書の作成もご検討ください。

納得できないことがある状況のまま示談をしない

慰謝料の金額などで納得できないことがあるなら、そのまま示談をすることはおすすめしません。
不倫の慰謝料請求は、示談書には「今後、一切の請求をしない」という一文が記載することが一般的で、一度示談をすると、基本的にやり直しができないからです。
納得できないことがある状況で示談をしたら、「もっとああすれば良かった」という後悔を引きずることが考えられます。
示談をした後は後悔せずに気持ちを切り替えることも慰謝料トラブルでは大切です。
納得できないけどどう対応すれば良いかわからないなら、示談書を作成する前に一度弁護士にご相談ください。

感情任せの交渉はしない

不倫相手の交渉の際は、感情的にならず冷静に交渉することを心がけてください。
不倫相手は許せないですし、怒りを抱くのも当然です。

しかし、感情任せになることは交渉ではプラスにはなりませんし、暴言を吐いてしまうなど、あなたが不利になる原因を作ってしまうことがあります。
対面で交渉をすると感情的になってしまいそうな方は、メッセージや郵便など、文字にして交渉をした方が冷静に対応できるかもしれません。

危害を加えない・人格を否定しない

不倫相手との交渉の際に、相手に危害を加えたり、人格を否定したりすることはやめましょう。
殴ると「暴行罪」や「傷害罪」、人格を否定すると「名誉毀損罪」になり、あなたが訴えられて加害者になってしまうおそれがあります。
怒りの感情からこのような行動をしてしまうと、取り返しがつかないことになってしまいかねませんので、十分ご注意ください。

強制的な合意、サインをさせることはしない

慰謝料請求に合意する際は、お互いが合意して示談書にサインをすることが大切です。
不倫相手に対して強制的にサインをさせることはやめましょう。
「サインをしないとお前の配偶者にバラす」などと脅すと「脅迫罪」になってしまいますし、後から「脅されてサインをしてしまった。無効だ」などと慰謝料の支払いを拒否されることも考えられ、トラブルが延々と続いてしまう可能性もあります。
相手が慰謝料の支払いを認めなくてイライラしたとしても、相手に示談書へのサインや慰謝料の支払いを強制することはおやめください。

SNSなどで不倫相手を晒すような行為はしない

SNSで不倫について書くことや、不倫相手の氏名や住所、顔などを晒すことは絶対におやめください。
「名誉棄損罪」や「侮辱罪」に該当するおそれがあります。

また、SNSで晒すと、不倫相手が社会的な制裁を受けたと判断され、慰謝料の金額が本来よりも安くなることや、場合によっては慰謝料請求できなくなることもあり得ます。
SNSで晒して不倫相手を懲らしめるつもりが、自分の立場が悪くなる可能性がありますので注意しましょう。

思うように交渉が進まない時は弁護士に相談

ご自身で慰謝料請求をしたものの、「不倫相手が慰謝料の支払いを拒否している」「支払いは認めているけど、金額の交渉がまとまらない」などの状況が続き、交渉が進まなくなってしまったら弁護士にご相談ください。
弁護士に相談すれば、その状況からどうすれば良いかのアドバイスがもらえますし、弁護士に依頼すれば交渉を任せることができます。
弁護士が介入することで、不倫相手が態度を変えて慰謝料の支払いに応じ、一気に解決へと進む可能性があります。

相手方が弁護士に依頼したら自分も弁護士に依頼

不倫相手が弁護士に依頼し、その弁護士からあなたに連絡が来ることもあります。
もし、不倫相手が弁護士に依頼をしたら、あなたも弁護士に依頼することをおすすめします。
不倫相手が依頼した弁護士は、慰謝料の減額、もしくは支払い拒否をするために不倫相手から依頼を受けていますので、あなたにとって受け入れることができない条件を提示してくるはずです。
さらに、弁護士は法律の知識や示談交渉の経験を有しているため、あなたが弁護士と交渉をすると、うまく言いくるめられてしまう可能性があります。
そうならないためにも、不倫相手が弁護士に依頼したら、あなたも弁護士に依頼しましょう。
弁護士同士で慰謝料請求の交渉をした方が、希望金額の慰謝料を獲得できる可能性が高くなるはずです。

まとめ

不倫の慰謝料請求を行う際の注意点を15点ご紹介しました。

初めての慰謝料請求でわからないことも多いと思います。
慰謝料請求でわからないことがあるなら、わからないままで進めてしまうのではなく、弁護士までご相談ください。
弁護士であれば、慰謝料請求に関する様々なアドバイスが可能です。

また、弁護士に依頼すれば、慰謝料請求の交渉を全て任せることができるので、あなたの負担が大きく軽減されます。
弁護士法人AOでは不倫慰謝料の無料相談を実施していますので、不倫の慰謝料請求でわからないことがある方、弁護士への依頼を検討している方はお気軽にお問い合わせください。

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