交通事故で3ヶ月間通院して支払われる慰謝料の金額と、上限額を受け取る方法

交通事故で3ヶ月通院した場合に支払われる慰謝料は軽傷53万円、重傷73万円が上限金額です。
これは示談交渉で裁判基準の満額が認められた場合の金額であり、保険会社から最初に提示されるのは高くて40万円で、もっと低額の可能性もあります。保険会社から慰謝料が提示されたら弁護士に相談するなどして慰謝料の増額を目指しましょう。

この記事では、交通事故後に3ヶ月通院した場合に支払われる慰謝料の金額や、上限金額の慰謝料を受け取る方法をご説明しています。

通院期間3ヶ月で支払われる慰謝料の金額(裁判基準)

ケガ 慰謝料の金額(裁判基準)
打撲・捻挫・むちうち(自覚症状のみ) 53万円
骨折・顔面の傷など 73万円

交通事故が原因のケガで3ヶ月通院した場合、自覚症状のみのむちうちや打撲の場合は53万円、骨折や顔面の傷などの場合は73万円を上限に入通院慰謝料が支払われます。
この金額は、弁護士が示談交渉をする際に参照する裁判基準の金額です。
必ずこの金額が認められるわけではなく、裁判基準の8割から10割の間ぐらいの金額が認められるケースが多くなっています。

軽傷または重傷で金額が変わる

軽傷(打撲・捻挫・自覚症状のみのむちうち)
重症(骨折など上記以外のケガ)

裁判基準の入通院慰謝料は、軽傷(打撲や自覚症状のみのむちうち)の場合と重傷(骨折や顔の傷など)の場合で金額が上記のように異なります。
例えば、自覚症状のむちうちだけで3ヶ月通院した場合は軽傷の表を参照しますが、むちうちと骨折のケガをしていた場合は重傷の表を参照しますのでご注意ください。

また、同じ3ヶ月でも、通院だけの場合と入院した場合では、裁判基準の入通院慰謝料の金額が変わります。
重傷の場合、通院3ヶ月は73万円ですが、治療3ヶ月(入院1ヶ月、通院2ヶ月など)だと98万円になります。
基本的には、入院している方が通院だけの場合よりも高額になります。

1日の違いで慰謝料の金額は変わる

軽傷 重傷
2ヶ月と24日 49万5984円 68万8000円
2ヶ月と27日 51万2982円 70万9000円
3ヶ月(90日) 53万円 73万円
3ヶ月と3日 54万3998円 74万6998円
3ヶ月と6日 55万7996円 76万3996円
3ヶ月と9日 57万1994円 78万994円

※小数点は切り捨て。1ヶ月30日で算出

入通院慰謝料は1日単位で金額を計算するため、通院期間がちょうど3ヶ月だと軽傷は53万円、重傷は73万円ですが、3ヶ月と3日や、2ヶ月と27日だと上記のように金額が変わります。

入通院慰謝料を1日単位で計算する方法

1日単位で入通院慰謝料を計算する方法をご説明します。

ここでは、むちうちで3ヶ月と5日通院した場合の金額を算出します。
はじめに金額をお伝えすると、3ヶ月と5日通院した場合の入通院慰謝料は55万3330円です。
計算は下記のように行います(軽傷の場合で計算をしています)。

通院4ヶ月(67万円)-通院3ヶ月(53万円)=14万円
14万円÷1ヶ月(30日)=4666円(小数点以下切り捨て)
4666円×5日=23330円
通院3ヶ月(53万円)+5日(23330円)=55万3330円

通院3ヶ月の慰謝料をA、5日をB、端数の慰謝料金額をCとすると下記の計算式で算出できます。

((A+1)-A)÷30日×B=C
A+C=裁判基準入通院慰謝料

保険会社から上限金額が提示されることはない

【通院3ヶ月の入通院慰謝料】裁判基準の上限金額よりも保険会社の提示金額は数十万円少ない
軽傷の場合は53万円、重傷の場合は73万円が通院3ヶ月の入通院慰謝料の上限金額ですが、加害者の保険会社が最初に提示してくる金額は、これより低額なことがほとんどです。
提示される金額は高くて40万円前後です。

通院した回数が少ない場合はもっと低額で、たとえば通院3ヶ月でも実際に通院したのが10回程度であれば、10万円前後で提示される可能性があります。
その理由は、交通事故の慰謝料を算出する基準には、下記のように自賠責基準、任意保険基準、裁判基準という3つの基準があり、弁護士が裁判基準で慰謝料を計算するのに対して、保険会社は自賠責基準または任意保険基準をもとに計算するからです。
そして、自賠責基準や任意保険基準よりも裁判基準のほうが高額のため、保険会社の提示額との間に金額差が生じます。

裁判基準での通院3ヶ月の慰謝料は、軽傷の場合は53万円、重傷の場合は73万円で、保険会社が提示する通院3ヶ月の慰謝料は高くて40万円前後ですから、10万円〜数十万円の金額差があります。
つまり、保険会社から提示された金額のまま示談をすると損をすることになってしまいます。

基準 概要
自賠責基準 自賠責保険で認められている金額をもとに算出する基準です。
「4300円×治療期間」または「4300円×実際の治療日数×2」のうち、金額が低い方を採用します。
任意保険基準 任意保険会社が社内で独自に設定している基準です。金額は非公開で保険会社ごとに異なりますが、自賠責基準より少し高額のことが多いです。
裁判基準 過去の裁判例を参考にして金額を設定した基準で、3つの基準額の中で最も高額。示談交渉で認められる上限金額となることが多いです。
弁護士は示談交渉の際に裁判基準で金額計算を行います。

示談交渉で裁判基準の慰謝料を主張する必要がある

入通院慰謝料で損をせず、相場金額を受け取るために行うのが示談交渉です。
保険会社が提示してきた金額に対し、裁判基準の金額を根拠に増額交渉を行います。
先ほどご紹介した裁判基準の表を用いて、自分の裁判基準の入通院慰謝料を算出し、それを根拠に増額を求めていきます。
裁判基準の金額を示さず、「増額してほしい」と伝えるだけでも保険会社が増額を認める可能性はありますが、根拠を示した場合に比べ、少ししか増額できない可能性が高いです。
裁判基準の入通院慰謝料を示すことで、裁判基準の金額まで必ず増額してもらえるわけではありませんが、根拠なしで交渉した場合よりも増えることが期待できます。
具体的には裁判基準の8割から10割の間ぐらいの金額が相場です。

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慰謝料を上限金額までもらう方法

入通院慰謝料を少しでも多く受け取りたい方は、弁護士の無料相談を利用することをおすすめします。
「弁護士なんて大袈裟だ」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、通院期間3ヶ月の場合でも、弁護士に依頼した方が慰謝料を多く受け取れる可能性がありますし、仮に相談だけ利用して依頼しなかったとしても、相談時に弁護士からアドバイスをもらうことで、自分で示談交渉をした際に保険会社から認められる金額が変わる可能性があります。

弁護士費用特約がある人は、弁護士に依頼がおすすめ

弁護士費用特約がある保険会社に加入していれば、保険会社が費用を立て替えるため、弁護士費用の自己負担が0円
弁護士費用特約に加入している方は、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼することで、受け取る慰謝料が増える可能性が高いです。
弁護士費用特約は、自動車保険の付帯サービスの一つで、加入していると交通事故被害で弁護士に相談・依頼した際の費用を保険会社が支払ってくれます。
多くの保険会社では、支払う弁護士費用の上限は300万円までと決まっていますが、通院3ヶ月で弁護士費用が300万円以上になることは基本的にありませんので、被害者は自己負担0円で弁護士に依頼できます。
つまり、弁護士に依頼して入通院慰謝料を増額できれば、増額した分だけ受け取り金額が増えます。
弁護士費用特約を利用してもデメリットはありませんので、加入している方は使うことをおすすめします。

なお、ご自身が弁護士費用特約に加入していなくても、家族が加入していたり、事故にあった自動車の運転者が加入していたりすると使用できる可能性があり、火災保険で加入している弁護士費用特約を交通事故被害で使用することも可能です。

弁護士費用特約がなくても弁護士に相談を

弁護士費用特約に加入していない方も多くいらっしゃると思いますが、弁護士費用特約が無い場合でも、一度弁護士にご相談ください。
無料相談を実施している弁護士であれば、依頼するまで費用はかかりませんので、自分が弁護士に依頼をしたら受け取る慰謝料が増えるか確認するためだけに弁護士に相談しても問題はありません。
通院3ヶ月の場合、弁護士に依頼して受け取る慰謝料が増えるかはケースバイケースです。
慰謝料は増えても弁護士費用の支払いで相殺され、被害者が受け取る金額は変わらないことも多くあります。
自分の場合はどうか、一度弁護士に確認してみてください。
増える可能性が高い場合は弁護士に依頼することを検討し、増えない可能性が高い場合は自分で増額交渉するコツやいくらまでなら増額できそうかアドバイスをもらうことをおすすめします。
示談後に内容を変更することはできませんので、納得できる金額で示談をしたい方は、示談する前に弁護士にご相談ください。

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通院3ヶ月で支払われる慰謝料以外の賠償金

賠償項目 詳細
治療費 通院した際の治療費を立て替えている場合は実費を請求可能です。
(病院が保険会社に直接請求している場合は請求できません)
通院交通費 通院時のバス代、電車代、ガソリン代、駐車場代などを請求可能です。
休業損害 事故によるケガで仕事を休むなどして収入が減った場合に請求可能です。

交通事故で3ヶ月通院したケースでは、入通院慰謝料以外にも上記の賠償金を請求できる可能性があります。

治療費は診察、薬などの医療費の他に、コルセットやギプスなどの費用も請求でき、整骨院に通院した際の施術費も請求できる可能性があります。

通院交通費は公共交通機関での通院、自家用車での通院は請求可能ですが、タクシー代は請求できない可能性が高いのでご注意ください。

休業損害は、会社員の方だけでなく自営業の方や専業主婦の方も請求できる可能性があり、実際に減った金額ではなく、計算式を用いて算出します。
入通院慰謝料と同じように自賠責基準、任意保険基準、裁判基準があり、示談交渉で増額できる可能性があります。

休業損害は、保険会社の提示金額が低額なことや0円で提示してくることもありますので、入通院慰謝料と合わせて弁護士に確認しましょう。
この他、被害者が小さなお子さまやご高齢の方の場合など、付き添いが必要たったケースでは付添介護費を請求できることもあります。

通院3ヶ月だと後遺障害慰謝料は請求できない可能性が高い

交通事故の慰謝料について既に調べている方の中には、後遺障害慰謝料をご存知の方もいると思いますが、通院3ヶ月のケースでは、後遺障害慰謝料は請求できない可能性が高いです。
後遺障害慰謝料は、後遺症が残って後遺障害等級の認定を受けた際に請求できる慰謝料ですが、通院3ヶ月だと後遺障害等級が認定されないケースが多いからです。
後遺障害等級の認定を受けるには通院期間も重要で、むちうちの場合だと、6ヶ月以上通院していないと後遺障害等級が認定されづらいと言われています。
そのため、通院3ヶ月で支払われる慰謝料は、入通院慰謝料1種類のことが多いです。
もし通院3ヶ月の時点で症状がまだ残っているのであれば、通院を継続できるように治療の延長を求める交渉を保険会社と行いましょう。

まとめ

通院3ヶ月で支払われる慰謝料の金額についてご説明しました。
ご説明した中で大切なポイントをおさらいしましょう。

・通院3ヶ月の入通院慰謝料の上限は軽傷53万円、重傷73万円
・加害者の保険会社提示する入通院慰謝料は10万円から40万円
・裁判基準の金額を根拠に示談交渉を行い増額を求める
・弁護士に相談し、依頼するメリットや増額の見込み金額を確認
・弁護士費用特約が使える人は弁護士に依頼がおすすめ

保険会社から提示された金額で示談をすると、相場以下の金額で示談することになってしまいます。
裁判基準を根拠に示談交渉を行い、受け取る慰謝料の増額を目指しましょう。
弁護士法人AOでは、交通事故被害者からのご相談に無料で対応していますので、慰謝料を少しでも多く受け取りたい方は、一度弊所までご相談ください。
弁護士に依頼して慰謝料を増額できるか、いくらまで増額できる見込みがあるかといった質問にお答えいたします。

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