離婚時に財産分与をした人は約半分!アンケートで見る財産分与のリアル
離婚をする際、婚姻期間中に得た財産を分ける財産分与が可能です。しかし、財産分与をせずに離婚をする方や、どのように財産分与を行えば良いかわからないという方も一定数いるようです。
この記事では、法務省が実施した「協議離婚に関する実態調査結果の概要」の財産分与に関するアンケート結果をもとに、離婚時の財産分与の実情を紹介していきます。
目次
離婚相手と財産分与の取り決めをした人は約56%
Q.あなたは、離婚した相手との間で財産分与について取決めをしましたか
数(人) | 率(%) | |
■決めていない | 441人 | 44.1% |
■口約束で決めた | 227人 | 22.7% |
■書面(公正証書を除く)で決めた | 157人 | 15.7% |
■公正証書で決めた | 158人 | 15.8% |
■裁判所の調停で決めた | 15人 | 1.5% |
■裁判所が決めた | 2人 | 0.2% |
離婚相手と財産分与の取り決めを行った人が全体の約56%。
半分以上の方が財産分与をしているものの、約44%もの方が財産分与をせずに離婚しています。財産分与をしなかった人の理由は記事後半で紹介しますが、財産分与できる財産があるのに財産分与をしてない人もいるようです。
口約束で済ませてしまっている人が多い
財産分与のした人の内訳を確認すると、公正証書、その他の書面に残している人が全体の約31%いる一方で、口約束で財産分与を決めている人も全体の約22%います。口約束だけで終わらせると、「約束通りに支払われない」といったトラブルが起こる可能性もあるため、できる限り書面を残すことをおすすめいたします。
財産分与について話し合ったタイミング
Q.財産分与の取り決めをした時期をお選び下さい
数(人) | 率(%) | |
■離婚前 | 242人 | 43.3% |
■離婚時 | 271人 | 48.5% |
■離婚後 | 46人 | 8.2% |
財産分与をした人を対象に、財産分与の話し合いをしたタイミングについて聞いたこちらの質問では、離婚前と離婚時が多く、90%以上を占める結果となっています。
離婚前から財産分与の取り決めを行っている人も約43%いますので、離婚に向けて話し合いを始めているなら、早い段階で財産分与の話し合いをしても問題ないと言えるでしょう。
反対に、離婚後に財産分与の取り決めをしている人は約8%に止まっています。先に離婚をすると、相手と交渉するのが面倒に感じ、結局は財産分与せずに終わってしまうなどの事情もあるかもしれません。
財産を半分ずつにわけている夫婦は約31%
Q.財産分与の夫と妻のおおよその割合について教えてください。
男性 | 女性 | 合計 | |
半々ぐらい | 32.4% | 29.3% | 31.1% |
相手のほうが多い | 36.1% | 24% | 31.1% |
あなたのほうが多い | 15.2% | 20.1% | 17.2% |
財産分与していない | 10.6% | 14% | 12% |
わからない | 5.8% | 12.7% | 8.6% |
財産分与では、基本的には財産を夫婦で半分ずつにわけますが、夫婦の事情に応じて割合を変えることも可能です。上記の結果をみると、実際に財産分与で半分ずつわけている人は約31%だけで、金額差をつけていることが多いようです。
子どものことを考えて金額差をつけることが多い
Q.財産分与の取り決めをする際には、どのような事情を考慮しましたか?(複数回答可)
数(人) | 率(%) | |
夫婦間の公平 | 265人 | 47.4% |
財産形成へのお互いの貢献度 | 98人 | 17.5% |
お互いの健康状態 | 45人 | 8.1% |
子どもの教育 | 242人 | 43.3% |
お互いの年齢 | 31人 | 5.5% |
お互いの資産 | 71人 | 12.7% |
お互いの就労能力 | 44人 | 7.9% |
その他 | 26人 | 4.7% |
財産分与を半分ずつで行わない理由がわかるのが上記の質問です。半分ずつに分けることを意識したと想定される「夫婦間の公平」以外では、「子どもの教育」が約43%で多くなっています。親権を持つ側に財産を多く渡すと考える人が多いのだと考えられます。
他の理由では、「主にどちらが獲得した財産か」「お互いにどの程度の資産を所有しているか」などが考慮されているようです。
財産分与の対象になった財産項目
Q.財産分与の対象財産となった項目を教えてください。
ある | ない | |
不動産(自宅・住まい) | 36.3% | 63.7% |
自動車 | 43.8% | 56.2% |
預貯金 | 65.3% | 34.7% |
家財道具 | 48.5% | 51.5% |
株券・国債 | 8.1% | 91.9% |
退職金 | 6.8% | 93.2% |
年金 | 19.5% | 80.5% |
上記は財産分与を行った財産の種類に関する質問です。
預貯金の約65%が最も多い結果でした。次に多いのは家財道具です。ここにはテレビや冷蔵庫、洗濯機など、自宅にある家具・家電も含まれます。婚姻期間中に何かしらの家具・家電を購入している夫婦は多いでしょうから、家財道具を財産分与した人が50%未満というのは少ない結果にも感じられます。
身近な家具・家電も財産となることを把握していない人もいらっしゃるのかもしれません。
財産分与の対象財産は約6割が合計額400万円以下
Q.財産分与の対象財産についての合計金額を教えてください
数(人) | 率(%) | |
■0~100万円未満 | 166人 | 29.7% |
■100~200万円未満 | 80人 | 14.3% |
■200~400万円未満 | 87人 | 15.6% |
■400~600万円未満 | 44人 | 7.9% |
■600~800万円未満 | 28人 | 5% |
■800~1000万円未満 | 25人 | 4.5% |
1000万円以上 | 56人 | 10% |
わからない | 73人 | 13.1% |
財産分与の金額は0~100万円未満の人が最も多く、全体の約60%が0〜400万円未満の範囲に収まっています。
「分ける財産は少ししかないから」といった理由で財産分与をせずに離婚することを考えている人もいるかもしれませんが、この結果をみる限りでは、金額の大小を気にする必要はないでしょう。
離婚時に財産分与を行わなかった人の理由
Q.財産分与の取り決めをしなかったのはなぜですか(複数回答可)
最初の質問で「財産分与をしていない」と回答した人が、財産分与をしなかった理由がこちらです。
「分けるほどの財産がなかったから」という回答が約51%で一番多くなっています。
本当に分けるほどの財産がなかった人もいるでしょうが、中には身近な物品も財産分与の対象になり得ることを知らない人もいるかもしれません。きちんと財産分与するべき財産を所有している可能性がありますので、一度、弁護士などに確認してみることをおすすめします。
関わりたくない・面倒くさいという人も弁護士にお任せ
「離婚した相手と関わりたくない」「取り決めの交渉がわずらわしい」という意見も多くなっています。
これらの理由は、弁護士に財産分与の依頼をすれば解決できます。弁護士に依頼すると、相手との交渉などはすべて弁護士が行うため、相手と関わることもないですし、手間を最小限に抑えることが可能です。
「財産分与をしたほうが良いとわかっているけど面倒」と感じているなら、弁護士に依頼して財産分与を行いましょう。
まとめ
法務省が実施したアンケート結果をもとに、離婚時の財産分与の実情を確認してきました。
離婚後しばらくは出費が増えることも多く、財産を多く所有して離婚するに越したことはありません。
財産分与の取り決めをしっかりと行うことが、離婚後の自分のためにもなりますので、離婚前、もしくは離婚の際に財産分与の取り決めを行うことをおすすめいたします。
どの財産が対象になるかわからない、どう進めて良いかわからないという方は弁護士に相談し、財産分与をするメリットや弁護士に依頼するメリットをご確認ください。
協議離婚に関する実態調査結果の概要
実施機関:法務省
調査方法:ウェブモニターアンケート
調査対象:協議離婚を経験した30代及び40代の男女(合計1000名)
調査期間:令和3年3月8日から同月10日まで
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00244.html
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