不倫による慰謝料請求の裁判|手順や流れをご紹介

不倫が発覚したらしっかりけじめをつけて、きちんと誠意ある謝罪をしてほしい。
しかし現実は思い通りにならず、事実を否定されたり、無視されたり、折り合いがつかないことも多いです。

そんな時は不倫慰謝料請求の裁判をするという方法があります。裁判をすることでお互いの主張や事実を裁判にて判断をしてもらえます。また判決があれば慰謝料の支払いがされなくても強制執行できる場合があります。肉体的にも精神的にも負担はありますが、新しい未来に向けて、しっかりとけじめをつけることができるというメリットがあります。

今回は、裁判による不倫慰謝料の請求について詳しく解説していきます。

不倫の慰謝料請求で裁判をすべきケース5つ

不倫の慰謝料請求で裁判をすべきケース5つ

では、どういった場合は不倫の慰謝料請求で裁判まですべきなのでしょうか?
具体的なケースを5つご紹介します。

①相手が不貞行為を否定している
②すでに不倫の慰謝料請求を無視されている
③当事者同士の話し合いで折り合いがつかない
④不倫関係について真相を解明したい
⑤なんとしても慰謝料を支払わせたい

相手が不倫を否定している

ある程度明らかな証拠があるというのに、相手が不倫を否定しているという場合、そのままでは当然、相手は慰謝料など支払うわけがありません。こういった場合は、不倫の事実や慰謝料については、裁判で判断してもらうしかありません。

ただし、注意しなければならないのは、裁判は不倫の事実を調査する場ではありません。不倫が事実であるか、双方の主張や証拠を持って裁判官に判断してもらう場です。十分な証拠が集まっていない場合、裁判で敗訴するだけでなく、名誉棄損罪や侮辱罪を訴えられる危険もあります。裁判を視野に入れているのであれば、より明確な証拠を入手してから検討するようにしましょう。

すでに不倫の慰謝料請求を無視されている

すでに不倫の慰謝料請求をしているものの、相手に無視されているといった場合、このままにしていても慰謝料が支払われることはまずないでしょう。請求を無視する相手に対しては、無視できない状況を作るしかありません。裁判というのは無視した場合、訴えた側の主張が一方的に認められることになります。つまりは、容易に勝訴判決を取れるということです。裁判提起した以上、相手はもう無視はできなくなりますので、再三の請求にも関わらず無視されているという状況では、不倫慰謝料の裁判を検討しましょう。

当事者同士の話し合いで折り合いがつかない

当事者同士の話し合いで折り合いがつかない場合も、裁判を見据える必要があります。
仮に、第三者を入れた話し合いをしたとしても、当事者同士が納得しないのであれば、いくら話し合いをしても意味はありません。裁判では、どれだけ当事者同士が納得していなかったとしても、最終的な判断は裁判官が下してくれます。なお、相手の提示する慰謝料額が相場よりも低い場合、裁判をすることで高い金額を認められる可能性が強いです。裁判を引き合いに出すことで、話し合いが進展するケースもありますので、当事者同士の話し合いで折り合いがつかない場合は、裁判への移行を検討している旨を伝えましょう。

不倫関係について真相を解明したい

不貞行為について慰謝料請求の訴訟を提起した場合、訴えた側が主張している事実について、不貞行為を行った相手方から反論がなされることがあります。訴訟では、主張、反論、再反論・・・といった流れで、こちらの主張に対して、不貞を行った本人から反論がなされ、このように主張と反論が繰り返され、どのような経緯で知り合って、どのような流れで不貞行為に至り、その後の事情など現在に至るまでの経緯が次第に明らかになってくる可能性もあります。

民事裁判は真相を解明する手続きではありませんが、お金の問題ではなく、不倫関係について真相を解明して、きちんと納得して気持ちを整理したいといった場合にも訴訟を提起し、結果的に不倫関係について真相が明らかになる場合もあります。

なんとしても慰謝料を支払わせたい

なんとしても慰謝料を支払わせたいと考えているのであれば、裁判は選択肢の1つに間違いなく入ります。裁判外でどれだけ交渉していても、相手が支払わなければそれ以上に何かすることはできませんが、裁判で勝訴し、判決を取得することで、相手の財産を強制的に差し押さえる「強制執行」という手続きが利用できます。

強制執行では、相手の不動産や銀行口座だけでなく、給与を差し押さえることも可能となっています。給与を差し押さえたとなれば、相手は職場に差し押さえの事実が伝わることになります。何を理由に差し押さえられているかまでは職場側には伝えられないため、不倫の事実までが周囲に知られることはまずありませんが、不審がられたり、本人が後ろめたい気持ちになることは間違いありません。

不倫慰謝料請求の裁判の流れと手順

不倫慰謝料請求の裁判の流れと手順
それでは、以下にて実際に不倫慰謝料請求の裁判を起こした際の流れと手順についてご説明していきます。具体的には、以下の流れで裁判は進行することになっています。

①訴訟提起 ②訴状送達 ③第一回口頭弁論期日 ④第○回口頭弁論期日 ⑤裁判所から和解の提案 ⑥必要があれば証人・本人尋問 ⑦判決

では、それぞれの手順につき詳しく見ていきましょう。

①訴訟提起

訴訟提起するためには、裁判所に「訴状」と呼ばれる書面を提出しなければなりません。
訴状とは、訴えを提起する側が自らの主張を記載した書面のことです。今回は不倫の慰謝料請求であるため、「慰謝料請求事件」と記載し、請求したい金額も併記します。

②訴状送達

訴状を受理した裁判所は、不備がないかを確認した上で、原告(訴えを起こした人)と初回期日(最初に裁判が開廷される日)の日程調整をし、被告(訴えを起こされた人)に対して訴状を送達します。送達とは、裁判所が法律の定めに従い、書面を発送する行為です。送達は、仮に被告が自宅で訴状の受け取りを拒否した場合でも「就業場所」への送達、発送したときに送達の効力が生じたとする「付郵便送達」、場合によっては「公示送達」という方法で行われます。仮に訴状の送達を無視し続けた場合、被告は反論する機会を失い、大きな不利益を受けます。

③第一回口頭弁論期日

法廷で裁判手続きを行う日を、「口頭弁論期日」と言います。第一回口頭弁論期日の場合、原告と裁判所側は日程調整をしていますが、被告側は日程調整に参加できていないため、初回に関しては、被告側は事前に「答弁書」を提出し、出席できない旨を記載し、当日は欠席することが通常です。

④第〇回口頭弁論期日(2回目以降)

その後も口頭弁論期日は繰り返され、1~2カ月置きに期日が指定され、双方は自らの主張と相手の主張に対する反論を繰り返すことになります。場合によっては作成した証拠を書面などで提出し、自らの主張の根拠を裁判官に示していきます。裁判というのは、いわば裁判官を説得する手続きです。勝訴判決を得るためには、最終的な決断を下す裁判官に、いかに自身の主張が正しいのかを証拠に基づいて説明していく必要があります。

⑤裁判所から和解の提案

ある程度の弁論が繰り返されると、裁判所側から和解の提案をされることがあります。
判決が下されるということは、いわば白黒はっきりするということです。そうではなく、双方が納得する形で裁判を終えられるのであれば、勝ちも負けもなくなることから、裁判所側の配慮もあり、間を取ったような内容で和解案が出されます。とはいえ、和解は強制されることではないため、納得できる和解案でなかったのであれば、裁判は継続となります。

⑥必要があれば証人・当事者尋問

当事者や証人など、事件の関係者に対して尋問を行うことができます。これは、必ずあるわけではありませんが、双方いずれかが申出て、裁判所が尋問の必要があると認めた場合に開かれます。具体的には、双方からの口頭による質問事項に対して証人・当事者が口頭にて答えていくといった流れで進められていきます。書面ではなく当事者が直接体験した事実を口頭で答える証拠調べ手続きですので、裁判官の心証に与える影響もより大きくなることが多いです。

⑦判決

最後まで和解が成立しなかった場合、最終的に裁判所が判決を下します。日本の裁判は三審制であるため、判決内容に不服があれば、一定期間中に控訴することが認められています。
一定期間を経過しても双方から控訴がなければ、第一審の判決は確定します。確定した判決書正本は、「債務名義」といって強制執行手続きに使用される重要な書類となります。

不倫慰謝料請求の裁判をするには4つの覚悟が必要

上記のとおり、不倫慰謝料請求の裁判は一般の方にとって簡単な手続きではありません。裁判所への書類提出だけでなく、裁判所書記官・裁判官とのやり取りも必須です。もし、不倫慰謝料請求の裁判を検討しているのであれば、以下の4つの覚悟が最低でも必要です。

長期戦になる可能性がある

一般的に、民事裁判というのはその日のうちに終了するような手続きではありません。双方が激しく主張を繰り返すのであれば、半年から、長いと2年ほどかかってしまうこともあります。結論が出るまでに時間がかかる覚悟がなければ、裁判は乗り越えられません。

労力がかかる

裁判所が開廷しているのは、平日の昼間の時間帯に限ります。もし、不倫慰謝料の裁判をするとなれば、1~2か月に1回、必ず仕事を休んで裁判所へ足を運ばなければなりません。裁判所が近い方はまだ負担も少ないですが、電車を乗り継がねば裁判所までいけない方にとっては、移動するだけで大変な労力となってしまいます。その他、書類作成にも時間と手間が取られますし、裁判というのはとにかく労力がかかる手続きです。

精神的な負担が大きい

裁判というのは、精神的な負担が非常に大きい手続きです。定期的に不倫問題と向き合わなければなりませんし、相手の主張に反論しようと思ったら、裁判以外の日も頭から離れないなんてことになりかねません。問題解決までにどうしても時間がかかってしまうことからも、メンタルケアには十分に気を配る必要があります。

費用がかかる

裁判というのは無料で利用できる手続きではありません。裁判所には、相手に請求する金額に応じた手数料を支払わなければなりません。といっても、訴状に貼付する収入印紙が数千円から数万円、連絡用の郵便切手が数千円分と、高額というわけではありません。
しかし、裁判を弁護士に依頼するとなれば、相応の費用負担は免れないため、敗訴してしまい請求した金額が認められないと、赤字になってしまうこともあります。

不倫慰謝料請求の裁判は専門家への依頼がおすすめ

不倫慰謝料請求の裁判は専門家への依頼がおすすめ

不倫慰謝料請求の裁判は専門家への依頼がおすすめ


もし、不倫慰謝料請求の裁判を個人で終えるのが難しいと感じた方は、弁護士への依頼を検討してください。弁護士に依頼すれば費用はかかってしまいますが、不倫の確定的な証拠が手元にあれば、まず間違いなく勝訴判決を取ることができます。

また、確定的とはいえないまでも、有力な証拠が手元にあれば、弁護士が主張と反論を繰り返すことで、勝訴できる可能性がぐっと高くなります。日頃から裁判を生業にしている弁護士だからこそ、裁判官がどのように判断するかを一般の方よりはるかに理解しているのです。さらに、弁護士であれば当事者の代わりに書面作成したり、裁判に出廷することができます。弁護士への依頼後は、基本的に報告を待って意見を述べるだけで、自動的に手続きは進んでいきますので、一切労力をかける必要がありません。
このように、弁護士に依頼すると多くのメリットがありますので、不倫慰謝料請求の裁判を検討中の方は、弁護士への依頼を強くおすすめします。

まとめ

不倫の事実や慰謝料について、当事者だけでどうしても話し合いがまとまらない場合、結論を出すためには裁判を利用するしかありません。
しかし、裁判には結論を出せるというメリットがある反面、大変労力のかかる手続きです。一般の方が最後まで乗り切るには、多くの時間と手間を費やすことになります。

こうした理由からも、もし、不倫慰謝料請求の裁判を検討しているのであれば、訴訟提起前に一度弁護士に相談してみましょう。

弁護士であれば、これまでになかった視点からの交渉によって、裁判を経ることなく和解でまとめてくれる可能性があります。また、仮に裁判へと発展したとしても、手続きについて基本的にはすべて任せることができるため、自身が時間や手間をかける必要はほとんどありません。不倫慰謝料請求でお悩みの方は、まず弁護士に相談することからはじめてみましょう。

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