不倫の示談金の相場を知り、妥当な金額を得ましょう
平成25年に司法書士事務所を立ち上げ様々な依頼者に接する。司法書士としてキャリアを10年近く積んできた中で、司法書士の資格では受けられず、せっかく頼って来てくれた人を断ってしまうこともあった。そういった経験から、さらに幅広く業務を取り扱うことができる弁護士資格を取得。弁護士法人AOの代表弁護士として業務に取り組んでいる。
みなさんは不倫の示談金の相場って知っていますか？
事情によって金額は大きく異なるのですが、実は、おおまかな相場は数十万～300万円程度です。
しかし、相場を知らないままでいると、いざというときに適正な慰謝料額を支払ってもらうことができません。たとえば、不倫の現場に居合わせた際、不倫相手から「これで示談したい…」と数万円だけ渡されて終わらせてしまったなど、示談の失敗例は数えきれないほどあります。
そこで今回は、不倫の示談金の相場について、詳しくご説明していきます。
目次
不倫の示談金の相場は数十～300万円！
不倫の示談金の相場は、数十万～300万円程度となっています。
これだけ金額の幅がある理由は、単に不倫といってもその内容は千差万別であるためです。
たとえば、不倫はしていたものの離婚まではしなかった場合と、不倫がきっかけになって離婚へと発展してしまった場合、どちらのほうが損害は大きいと感じるでしょうか？当然ながら、不倫がきっかけで離婚へと発展してしまった場合のほうが損害は大きいです。
このように、不倫の示談金というのは、被害者となった側がどれだけの精神的損害を受けたかによって大きく変わってきます。しかし、精神的損害を数値化することはできないため、離婚へと発展した場合、そうでない場合といったように、一般的に想定しうる事情によって、示談金の相場といわれる金額が決められているというわけです。
ケース別！不倫示談金の相場
不倫の示談金は、“その不倫が夫婦関係に及ぼした影響”の大きさによって金額が異なります。例えばＷ不倫の場合、双方の夫婦が離婚となったケース・片方の夫婦だけが離婚となったケース・どちらも離婚しないケースの3つの結果が考えられますが、順に示談金は低くなっていく傾向にあります。それぞれの示談金の相場を解説します。
お互いに離婚となったケース
不倫により双方の夫婦が離婚となったケースの被害者２名に支払う示談金の相場は200～600万円です。
これは、2組の夫婦関係を壊したこと、それにより離婚に至った被害者が2名いたということで、問われる責任２倍になるためです。
相手方夫婦が離婚となったケース
不倫により相手方の夫婦が離婚となったケースの示談金の相場は100～300万円です。こちらも、夫婦関係を壊したことについての責任が問われるため、離婚に至らなかったケースに比べて相場が高くなっています。ただし、配偶者の不倫相手のパートナーが不倫の事実を知らない場合には、示談交渉次第で相場よりも高い金額を請求できる可能性があります。
どちらも離婚しないケース
不倫で離婚に至らなかったケースの示談金の相場は50～200万円です。
離婚しなかった場合や、復縁した場合には、示談金は100万円以下になるケースが多いです。
そのほか不倫の示談金額を左右する項目
不倫の示談金の金額に影響を与えるのは、不倫の期間や内容、支払う側の収入状況、夫婦の婚姻期間や子供の有無などさまざまです。代表的な項目をいくつかご紹介します。
不倫の期間
1度きりの不倫よりも、何度も継続的に不倫をしていたケースの方が、配偶者の精神的なダメージが大きいことから示談金は高くなります。
不倫の内容
不倫して相手との間に子供ができたり、不倫相手と別れたと嘘をついて関係を続けていた場合など、不倫の内容が悪質な場合、またその精神的ダメージからうつ病などを患った場合には示談金が高くなります。実際に、夫が不倫相手との関係を断ち切れずに不倫関係が続いていることを知った女性がパニック障害やうつ病を引き起こした事例では、400万円の請求が認められたこともあります（東京地裁平成16年4月23日判決）。
婚姻期間
夫婦が結婚してからの期間が長いほど、不倫による精神的なダメージが大きいと考えられているため、示談金が高くなる傾向にあります。
夫婦に幼い子供がいると示談金が高くなる
夫婦の間に幼い子供がいると、不倫による精神的なダメージが大きいことから、示談金が高くなる傾向にあります。
相手の社会的地位や収入が高いと示談金が高くなる
社会的地位や収入が高いにもかかわらず示談金が少額だとペナルティにならないことから示談金が高くなる傾向にあります。また、これまでに築いてきた社会的地位を守るために、高額な示談金の請求に応じてもらえるケース もあります。
不倫の示談金額を決める際は必ず相場を確認！
相手が示談を申し出てきたときは、まずその提示された金額が妥当かどうかを確認しましょう。可能であれば、インターネット検索を駆使するなどして、あらかじめ自分に似た事例を探して相場を知っておいてください。
以下の記事も是非ご参考にしてください。
こうすることで、相手から減額交渉などをされた場合であっても、妥当な金額かどうかを即座に確認し、交渉へと臨むことが可能となります。金額や条件に納得していない状態で示談所にサインしたり示談金を受け取ってしまうのは危険です。相手との交渉に不安がある場合は、弁護士などの専門家への相談をおすすめします。
まとめ
不倫の示談金の相場は、個々のケースによって異なります。しかし、過去の事例や金額を左右する項目から自分の場合の妥当な示談金がある程度想像できるので、確認した上で示談するようにしましょう。
裁判所を介して行う慰謝料請求などとは違い、示談という方法の性質上、お互いが合意さえすれば、相場とは異なる金額で和解することも可能です。その場合、相手との交渉が重要になってくるので、交渉のプロである弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
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