浮気が原因での離婚は年間約2万9000件?統計データから離婚と浮気を考察

「結婚した夫婦の3組に1組が離婚をしている」と言われることがあります。これは、年間の婚姻件数が約60万件で、離婚件数が約20万件という統計データがもとになっています。

この記事では、このような夫婦問題に関する統計データを用いて、浮気・不倫が原因で離婚件数について考察し、年間約2万9000件という仮説を立てることができました。
この数値に至った理由について、厚生労働省や裁判所が公表している2020年の統計データを使いながらご説明していきます。

令和2年の離婚件数は約19万3000件

離婚件数の推移

離婚件数
2016年 21万6856件
2017年 21万2296件
2018年 20万8333件
2019年 20万8496件
2020年 19万3253件

参考:厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」

上の表は、厚生労働省が発表している、年間の離婚件数から、2016年から2020年の離婚件数の推移をまとめたものです。
2020年(令和2年)の離婚件数は19万3253件でした。
離婚件数は、2002年の28万9836件をピークに年々減少していて、2020年は1995年以来に20万件を下回りましたが、それでも毎年多くの夫婦が離婚を選択しています。

約88%が協議離婚。裁判離婚は約12%

協議離婚88% 裁判離婚12%

離婚の内訳(2020年)

種類 件数
協議離婚 17万603件
裁判離婚 2万2650件
> うち調停離婚 1万6134件
> うち審判離婚 2229件
> うち和解離婚 2545件
> うち判決離婚 1740件

参照:厚生労働省「離婚に関する統計の概況」

2020年の離婚件数19万3253件うち、約88%にあたる17万0603件が協議離婚で離婚が成立しています。
裁判離婚(離婚調停など、裁判所を通じた離婚手続き全てが該当)は2万2650件で、全体の約12%です。

過去を遡ってみても、離婚の85〜90%は協議離婚となっており、多くのケースでは、裁判所を通さずに離婚が成立していることがわかります。
裁判離婚は、調停離婚が最も多い1万6134件となっており、裁判で争って離婚を決める和解離婚と判決離婚は2つ合わせても4285件で、2020年の離婚件数全体のわずか2%。
裁判で離婚を決めるケースは限られています。

浮気が原因の申立ては年間8637件

離婚申立ての原因の15%が異性関係
上の円グラフは、2020年の裁判所に申し立てられた夫婦問題に関する申立てのうち、異性関係を原因とした申立ての割合を表しています。
グラフにあるように、浮気や不倫が当てはまる異性関係の申立ては全体の15%です。
裁判所が公表している統計データから、そのことを確認していきましょう。

動機別・申立て数(2020年)

申立ての動機 男性 女性 合計
総数 15500 43469 58969
・性格が合わない 9240 16304 25544
・異性関係 2132 6505 8637
・暴力 1454 8576 10030
・お酒を飲みすぎる 381 2618 2999
・性的不調和 1749 2808 4557

参照:司法統計「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別」

司法統計で申立ての動機別の件数が公表されており、最も多いのは性格の不一致で、次いで、暴力、異性関係(配偶者の浮気・不倫など)が多い結果となっています。
異性関係は離婚の原因と言われる機会も多いですが、異性関係を理由とした申立ては総数の15%にあたる8637件です。
これは、浮気や不倫といった異性関係のトラブルは調停や裁判をせずに解決するケースも多いため、性格の不一致や暴力よりも件数が少ない可能性も考えられます。

2020年に終結した離婚に関する申立て数(2020年)

申立て 申立て数
総数 5万8969件
離婚の申立て 3万6399件

参照:司法統計「婚姻関係事件数  終局区分別申立人及び申立ての趣旨別」

次に、離婚の申立て件数や、離婚の申立ての結果を確認していきましょう。
上の表は2020年に終結した夫婦問題や離婚の申立て件数と、離婚の申立ての結果です。
5万8969件という申立て件数は、夫婦問題全体(離婚、円満調整、婚姻費用分担など)の申立て件数で、その約62%にあたる3万6399件が離婚の申立てとなっています。

離婚申立て後、調停離婚が成立した割合45%

離婚の申立ての結果(2020年)

結果 申立て数
調停離婚成立 1万6356件
調停不成立 9317件
取り下げ 6759件

参照:司法統計「婚姻関係事件数 終局区分別申立人及び申立ての趣旨別」

こちらのグラフと表は離婚の申立ての結果で、3万6399件の約45%である1万6356件で調停離婚が成立しています。
調停離婚が成立しなかったケースは9317件で、調停が取り下げられたケースも6759件あり、調停取り下げの理由としては、協議離婚が成立した、関係が修復されて離婚しないことになったなどがあります。

浮気・不倫が原因の離婚は年間約29000件?

浮気が原因の離婚件数の考察約2万9000件
ここまでご説明した統計データをもとに、浮気・不倫が原因の離婚件数を考えていきましょう。

2020年の離婚件数(19万3253件)異性関係を理由とした申立ての割合(15%)を使用します。
2020年に離婚した人の15%が異性関係で離婚したと仮定すると、「19万3253件×15%=2万8987件」が浮気・不倫が原因の離婚件数となります。
もちろん、これはあくまで仮説の数値で、協議離婚の理由を正確に把握することはできませんが、浮気や不倫が原因の離婚が年間約2万9000件程度あっても不思議ではないでしょう。
前の章でも記載した通り、異性関係のトラブルは調停や裁判をせずに解決するケースも多いため、むしろもっと多く、浮気や不倫が原因の離婚が発生していることもあり得ます。

浮気・不倫のトラブルだけならもっと多い

浮気や不倫が発覚した際に、離婚を決意する人ばかりではなく、離婚せずに慰謝料請求などを行う人もいます。
慰謝料請求は、裁判所を通さず当事者間または弁護士に依頼しての交渉で解決することがほとんどです。
そのため、正確な数を把握することはできませんが、離婚しないケースも含めれば、浮気や不倫のトラブルは、約2万9000件よりももっとたくさんあると考えられます。

まとめ

今回は、離婚件数や離婚の申立てなどの統計データをもとに、浮気・不倫が原因の離婚件数について考察をしてみました。
浮気・不倫が原因で離婚している夫婦は年間約2万9000件いる可能性があるという結果が出ました。

浮気・不倫でトラブルになり、裁判をせずに解決した夫婦も含めれば、その数字はもっと多くなることでしょう。
このように、離婚や浮気・不倫のトラブルは、どの夫婦にも起こりうる問題です。
ただし、そのトラブルの大半は当事者間、もしくは弁護士を交えた話し合いで解決しており、調停や裁判などの大ごとにしなくても解決できる可能性が高いです。

今、離婚をお考えの方、配偶者の不倫に悩んでこれからのことを考えている方で、ご自身でだけではどう進めて良いかわからない、夫(妻)とまともな話し合いができる状態ではないなどのご事情があれば、弁護士までご相談ください。

弁護士は、離婚に向けた対応だけでなく、慰謝料請求や配偶者との復縁など、夫婦間のトラブルで様々なサポートができる法律の専門家です。
当事務所をはじめ、多くの事務所では夫婦間のトラブルを無料で相談できますので、離婚や慰謝料、復縁などについて、弁護士に話してみましょう。

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