モラハラが原因で離婚する場合に慰謝料請求はできる?
夫婦の間での精神的な暴力であるモラルハラスメントは、近年、離婚の理由として注目されています。
しかし実際にモラハラが原因で離婚した場合、必ず慰謝料が受け取れるわけではありません。
今回は、モラハラが原因で離婚する場合に慰謝料請求が可能かどうかを見ていきます。
モラハラとは
モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度によって相手の心を傷つける精神的暴力を指します。
肉体的な暴力と異なり、外傷が残らないため周囲からは見えにくく、被害者自身も被害に気付きにくい特徴があります。
たとえば、以下のような行為です。
- 日常的に人格を否定する発言を繰り返す
- 無視を続ける
- 経済的に締め付ける
こうした行為が積み重なることで深刻な精神的苦痛を与え、うつ病などの健康被害を引き起こすこともあります。
モラハラ離婚で慰謝料請求が可能なケース
モラハラが原因で離婚し、慰謝料を受け取れる可能性があるのは、一定の条件を満たす場合です。
以下のような場合に慰謝料が認められることがあります。
- 加害者の行為が重大であると認められる場合
- 精神的苦痛の存在が証拠によって裏付けられている場合
- 離婚原因と加害者の行為との間に因果関係がある場合
上記を立証するためには、被害の内容や頻度、精神的な影響を客観的に示す証拠が必要となります。
慰謝料請求のために必要な証拠
慰謝料請求で重要なのは、加害者のモラハラ行為を具体的に示す証拠です。
証拠が不十分な場合、モラハラの事実を否定されるおそれがあります。
代表的な証拠の例としては以下があります。
- 暴言や人格否定の内容を録音した音声データ
- 加害者からのメールやSNSでのやり取り
- 日記やメモなど、日常的な被害状況を記録したもの
- 精神科や心療内科での診断書や通院記録
時系列をそろえて整理し、客観的に提示できるように準備してください。
慰謝料の金額の目安
モラハラ離婚での慰謝料額は、被害の程度や婚姻期間、証拠の有無などによって変わります。
一般的には数十万円から300万円程度の範囲に収まるケースがほとんどです。
慰謝料請求の方法
慰謝料請求には大きく分けて2つの方法があります。
1つは離婚協議や調停中に加害者との話し合いによって合意する方法、もう1つは訴訟によって裁判所に判断を求める方法です。
協議や調停で合意が成立した場合には、合意内容を公正証書や調停調書として残しておくと、未払いがあった場合に強制執行が可能になります。
訴訟による場合は時間や費用がかかるものの、法的な判断を得られるため、争いが大きい場合には有効な手段です。
まとめ
モラハラが原因で離婚する場合でも、慰謝料が必ず認められるわけではありません。
加害者の行為が婚姻関係を破綻させるほど重大であること、精神的苦痛があったこと、そしてその証拠がそろっていることが必要です。
慰謝料の金額は、状況によって幅があります。
被害を受けた場合には、できるだけ早く証拠を集め、弁護士などの専門家に相談してください。
当事務所が提供する基礎知識
-
離婚裁判の流れ
■離婚裁判の流れとは? 離婚の方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚という4種類の方法が存在します。このうち、裁判所や家庭裁判所を介した離婚方法としては調停離婚、審判離婚、裁判離婚の3つが当てはまるた […]

-
養育費はいつからいつ...
■養育費とは養育費とは、子どもの監護や教育のために必要となる費用のことをいいます。監護や教育のために必要な費用とは、具体的には、生活費や医療費、教育費がこれに当たります。親は子どもに対して支払う義務を負っています。&nb […]

-
不利な発言をしないよ...
離婚の話し合いは原則当事者同士で行います。当事者同士の話し合いで、合意が得られない場合には、離婚調停の申し立てが可能です。離婚調停は、調停委員が双方から主張を聞き、双方の合意を目的として行われます。目的は双方の合意ですの […]

-
別居していると離婚調...
離婚調停前または調停中に別居することで、離婚が認められやすくなることがありますが、別居の仕方には注意が必要です。本記事では、離婚調停中の別居が与える影響や注意点について解説します。別居が離婚調停に与える影響別居が離婚調停 […]

-
弁護士なしで離婚裁判...
離婚裁判は、夫婦の一方が離婚を求めて裁判所に提訴することで手続きが開始されますが、日本では、離婚については調停前置主義が採られているため、離婚訴訟提起の前に調停を経ている必要があります。ではこの離婚裁判は、弁護士なしで自 […]

-
モラハラ離婚の特徴
■モラハラとはモラハラとは、精神的および心理的な暴力のことをいいます。日々の言葉や態度の積み重ねによって、相手を少しずつ精神的・心理的に追いつめていくような行為がこれに当たります。ここでは、モラハラ行為の典型例や、モラハ […]

よく検索されるキーワード
弁護士紹介
ご挨拶


誰でも気軽に、身近に相談できる、敷居を感じさせない弁護士事務所です。司法書士時代の経験なども活かし、あなたと同じ立場に立ち・同じ意識を持って問題を解決します。
お気持ちに寄り添いながらも、客観的な証拠や結論もしっかりとお見せし、どのような場合も正直にお伝えします。
ご来所に抵抗がある方は、電話相談などもご活用ください。
| 代表者名 | 大橋正崇 |
|---|---|
| 所属団体 | 第一東京弁護士会 |
| 経歴 |
出身地:高知県南国市 司法書士試験に合格後、様々な司法書士事務所で経験を積み、平成25年より司法書士事務所を立ち上げる。 そこで数々の事件を解決する中で、もっと活動範囲を広げ、多くの人の役にたちたいとの思いから司法試験に合格し弁護士になり、現在では弁護士法人AOの代表として日々活動中。 |
事務所概要
| 事務所名 | 弁護士法人AO |
|---|---|
| 所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目2ー10 虎ノ門桜田通ビル3階 |
| TEL/FAX | 03-6811-2084/03-6811-2085 |
| 受付時間 | 9:00-19:00(時間外でも事前ご予約で対応可能です) |
| 定休日 | 土・日・祝日(事前ご予約で対応可能です) |
| 相談料 | 初回相談無料 |