配偶者の浮気が発覚したときに取る行動とは-3つのステップとNG行動。
配偶者やパートナーの浮気が発覚したとき、冷静でいられる人はなかなかいません。
真実を問いただしたいと思うのも当然ですし、すぐにでも家を出ていきたいと思うのもおかしなことではありません。
自分の一生涯のパートナーだと思っていた配偶者を取られた怒りから、浮気相手に制裁を加えたいとか、復讐をしたいと考える方もいるのではないでしょうか。
それらすべて、間違った気持ちではありません。
しかし、その気持ちのまま行動を起こすのは、少し待ってください。
配偶者の浮気は発覚したとき、あなたにはいくつかの解決方法があります。
感情に任せて行動をしてしまうと、その解決方法が減ってしまうかもしれないのです。
今回この記事では次の3つの解決方法をご紹介します。
- 浮気相手との関係を解消してもらう
- 離婚をしてもらう
- 慰謝料を支払ってもらう
そして、その解決方法に向けてやることと、逆にやってはいけないことをご紹介します。
これからのあなたの行動の参考にしてみてください。
目次
配偶者やパートナーの浮気が発覚した場合にできること
配偶者は、あなたという伴侶がいながら他の人と関係を持ってしまったわけですから、まずはパートナーや浮気相手から誠意ある謝罪をしてもらいたいですよね。自分がどれだけ重大な過ちを犯してしまったのかをきちんと認識してもらい、そのうえで何かペナルティを受けてもらいたいと考える人が多いと思います。
配偶者の浮気の場合、請求できることは大きく分けて次の3つです。
- 離婚をしてもらう
- 慰謝料を払ってもらう
- 浮気相手との関係を解消してもらう
いかがでしょうか。
もしかすると「これも請求していいの?」と思うものもあるかもしれません。
どうして請求できるのか、ひとつずつ見ていきましょう。
浮気相手との関係を解消してもらう
まずは、浮気相手との関係を解消させたいと考える方が大多数だと思います。
浮気相手と関係を解消するよう約束をしてもらうように要求することはもちろん可能です。
しかし、法律には浮気相手との関係を強制的に解消させられるような定めはありませんので、あくまで、話し合いで解決をすることになります。
それじゃあ、強制力がなくて意味がないのでは?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
話し合いで浮気相手と接触を禁止することが合意できたら、それらを和解書や示談書、誓約書などの文書に残すようにしましょう。接触禁止を書面に盛り込む場合、その約束を破った時の違約金についても記載をしておくことが多く、これによって、再発防止の抑止効果が高まります。
この時、接触禁止以外にもこの後ご紹介する慰謝料について記載をするもあります。
これらの内容は、テンプレート化してweb上に掲載しているところも多く「浮気誓約書」といったキーワードで検索をしてみるとたくさんのテンプレートがあり、自分たちで書類を作成することもできます。
基本的な内容は次のようなものが多いので、参考にしてみてください。
誓約書
妻 〇〇(以下「甲」という)と夫〇〇(以下「乙」という)とは、本日、以下の通り合意した。第1条 (不貞の事実の自認)
乙は甲に対し、乙が〇年〇月から〇年〇月までの間、××(以下「丙」という)との間において、継続して複数回の不貞行為を行った事実を認め、謝罪する。第2条 (貞操義務の遵守)
乙は、甲に対し本合意の締結以降、婚姻中において甲に対し貞操義務違反をし、自ら夫婦関係を破綻させる行為は一切しないことを約束する。
第3条 (接触禁止)
乙は甲に対し、本合意の締結以降、丙と面会をしないこと及び電話、手紙、メールなど、いかなる手段であっても丙と連絡を取らないことを約束する。
第4条 (慰謝料の支払いの誓約と離婚の予約)
乙が第2条、第3条に違反した場合、乙は甲に対して、金000円を支払うこと及び、甲からの離婚請求に応じることを誓約する。
第5条 (離婚時の財産分与等)
甲と乙は、前項によって協議離婚をする場合、親権、離婚慰謝料、財産分与等の事項を別途協議して定めるものとする。
第6条 (公正証書の作成)
乙は本合意の各条項を内容とする公正証書を作成することに合意し、また本合意を履行しないときは全財産に対し直ちに強制執行を受けても異議がないことを承諾し、公正証書作成のための委任状と印鑑証明書各1通を甲に発行するものとする。
本誓約書における合意内容を証するため、本書面を2通作成し、甲乙各自が署名捺印の上、それぞれ各1通を保管する。
20**年**月**日
甲 妻 ○○ 印
乙 夫 ○○ 印
書面に残しておくことは、約束を明確にするということ以外にも、言った・言わないの争いを避けることができますし、なにより、当事者が浮気を認めた証拠にもなります。
ただし気を付けなければいけないのが、当事者たちで誓約書を作成した場合、後でトラブルになりやすい約束を盛り込んでしまわないようにすることです。
分かりやすい例でいうと、「誓約書に違反して浮気をした場合は500万円を支払う」と約束をしたけれど、後になってそんな高額な慰謝料は払えないと揉めてしまうケースです。
ほかにも、配偶者と浮気相手が同じ職場だった場合、無理のある接触禁止の約束を盛り込むことなどがあります。
いくら書面に残したとしても、守れないような約束を入れてしまうと後々トラブルに発展してしまいかねません。最悪の場合、約束した内容を守ってもらえず、あなたが泣き寝入りをすることにすらなりかねないのです。
そのため、きちんと守られる書面を作成することが大切になってきます。これらは法律や過去の裁判例などの知識が必要ですので、専門家である弁護士に依頼して間違いのない書面を作成してもらうことをお勧めします。
離婚をしてもらう
基本的に、離婚はどちらか一方の意思だけでは進めることができないものです。しかし、民法は次のように定められています。
第770条
夫婦の一方は、次に挙げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
「離婚事由」に該当する行為があった場合、裁判で離婚の訴えを起こすことができるとされています。配偶者の浮気は、1番目の不貞行為に該当する行為です。
つまり、もし離婚をしたくないと言われても、裁判で争うところまで行ってしまうと相手は離婚を避けられないのです。
ただし、民法で定められている不貞行為とは、「配偶者以外の人と肉体関係を持つこと」とされています。
二人でいるところを目撃したというだけでは不貞行為とはいえないので注意してください。
慰謝料を支払ってもらう
こちらも民法の話になりますが、民法には、不法行為による損害賠償について、次のように定められています。
第709条
故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
この場合、「他人の権利又は法律上保護される利益」というのは、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する利益と考えられています。
結婚して婚姻関係にあるカップルには、法律上「同居し互いに協力して扶助しなければいけない義務」が生じます。(民法752条)この義務に違反すると、不法行為となり損害賠償請求などが認められます。
ここでまずポイントとなることが2つあります。それは「婚姻関係にあること」と「法律上の浮気があること」です。
「婚姻関係にあること」とは、一般的に婚姻届けを提出した夫婦のことです。このほかにも、事実婚の夫婦やパートナーシップ制度によって証明書の発行を受けている同性カップルなど、婚姻関係と同町の関係が認められる場合も該当します。
ですので、恋人の場合は、賠償請求などは認められません。ただし、婚約中のカップルについては慰謝料の請求が認められた例もありますので、どういったケースで認められるのかは弁護士に相談をするとよいでしょう。
次に「法律上の浮気があること」です。これは簡単にいうと「浮気相手と肉体関係にあること」です。
法律ではこれを「不貞行為(ふていこうい)」と言います。この不貞行為があることが、法律上の浮気の認められるかどうかの分かれ目となります。
ちょっと法律文がいくつも出てきてややこしいかもしれませんが、まとめると、
「相手が既婚者と知っていたのに、もしくはちょっと注意すれば既婚者だとわかるのに肉体関係を持ってしまい、相手の家庭を壊してしまったら、交際相手の配偶者の権利や利益を侵害したとして、それによって生じた損害を賠償する責任を負う」ということです。
浮気が発覚したらやるべき3つのステップ
配偶者の浮気を確信したら、あなたがこれからやるべきことは、次の3ステップです。
ステップ2と3は並行して進めたり、順番が前後したりすることもありますが、おおむねこの順序で進めていくとよいでしょう。
なぜなら、ステップ3の証拠集めは、方法を間違えると逆にあなたが賠償請求を受けることや、内容によっては罪に問われてしまうこともあり、自己判断で行うのはとても危険だからです。
では、それぞれのステップでは具体的にどんなことをしていくのでしょうか。
簡単にまとめると次のようになります。
ステップ1 | 夫婦関係を修復したいと思うのか、それとも離婚をしたいかなど、パートナーの浮気を受けて、あなたの今後の人生と夫婦関係をどうしていきたいか考える。 |
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ステップ2 | 状況や困っていることによって相談先を選ぶ。
■どんなものが浮気の証拠になるのか、どうやって相手と話をしたらいいのか、手続きを代理してほしいなど、話し合いから最終的な解決まで包括的なサポートやアドバイスがほしい場合→弁護士へ ■決定的な証拠を集めたい時や、相手の連絡先などがわからない場合→探偵へ ■自分ひとりでは気持ちの整理がなかなかできず、誰かに話を聞いてほしい場合→離婚カウンセラーへ |
ステップ3 | ホテルへ出入りしている写真や、浮気の内容がわかるメールやチャット、本人の自白など、「不貞行為があったとわかるような証拠」を集める。 |
なんとなくイメージができたでしょうか。
次の章からは、さらに具体的に、それぞれのステップでどんなことを検討したらいいのか、各相談先ではどのようなことができるのかについて、紹介をしていきます。
ステップ1-あなたが最終的にどうなりたいのかを考える
まず初めに考えることは、あなたが今後「婚姻関係を継続していきたいか」です。
子どもはどうするのか、仕事への影響はどうなるか、お互いの両親にどう説明するか…など、考えることはたくさんありますが、この段階ではこれだけ考えましょう。
なぜかというと、離婚するか復縁するかによって、話し合うべきことなどが変わってくるためです。また、慰謝料も、離婚をするかしないかで金額が変わってきます。
では、離婚をする場合としない場合、それぞれの最終的なゴールはどういうものがあるのでしょうか。
主な解決イメージをお伝えしますので、ご自身がどうなりたいかと併せて想像してみてください。
婚姻関係を継続したい場合
離婚せず、婚姻関係を継続したい場合、多くの方が望むゴールが「浮気相手に慰謝料を払ってもらい、関係は解消してもらうこと」です。
次のような事情がある場合は、婚姻関係の継続を検討する方が多いです。
- 幼い子どもがいる
- 専業主婦(主夫)なので、離婚後の収入がない
- 自宅を夫婦の共有名義で購入しており、まだローンが多く残っている
このほかにも、すぐに離婚をできない事情があって、婚姻関係を継続するケースもありますが、そもそも離婚は望んでおらず、夫婦関係を修復したいと考える方も多くいます。巷には「別れさせ屋」といった業者も存在するくらいですから、浮気発覚後の対応として「夫婦関係の修復」を選択することはおかしなことではありません。
婚姻関係を継続する場合の注意点として1つ覚えておいてほしいのが「浮気相手から配偶者に慰謝料の負担を要求されること」です。
本来、不貞行為の慰謝料は当事者である2人が連帯して責任を負うもので、慰謝料も2人が支払っていくのが基本です。そのため、浮気の慰謝料として100万円を請求し、それを浮気相手のみが支払った場合、あなたの配偶者に自分の負担分を払ってほしいと請求されてしまうことがあります。
これを避けるために、浮気相手には「配偶者の負担分は請求しない」ことを約束してもらうことが多いのですが、慰謝料の支払いの負担は、浮気をした配偶者と浮気相手の間での話ですので、たとえば、浮気されたあなたと浮気相手との間で誓約書を書いてもらう場合に、誓約書へ配偶者の負担分を請求しないことを約束してもらっても、浮気した配偶者との関係では効力を発揮しないのです。
慰謝料の負担分については、浮気した当事者同士の間で取り決めが必要になってきます。
そうなってくると、誓約書だらけになって少々話がややこしく感じますよね。
しかし、知らないままでいると結局慰謝料をほとんどもらえずに終わってしまうリスクがあります。
あなたが受けた苦痛が何も補償されないままにならないためにも、ぜひ、弁護士のアドバイスを受けてください。
ちなみに、浮気をされた側は離婚を望んでいなくても、浮気をした本人が離婚を望む場合があります。
この場合、離婚に応じなければいけないのかというと、その必要はありません。
浮気をした本人は「有責配偶者」といい、有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。
しかし、一方が離婚を望んでいる状態では、関係修復に向けた話し合いは難航することが考えられます。こういった場合も、間に弁護士を入れてお互いの主張を整理してもらいながら交渉をしていってもらいましょう。
離婚をしたい場合
離婚をしたい場合、多くの方が望むゴールは「当事者2人から慰謝料をもらい、離婚すること」です。
配偶者と別れて、新たに人生をやり直したいと考える方が多いようです。
離婚を選択する場合、婚姻関係を継続する場合と大きく異なるのは、親権や財産分与など、決めるべきことの多さです。特に小さなお子さんがいる場合は、養育費の額や支払い期間、お子さんとの面会の頻度など、さらに決めることは多くなります。
離婚後は自身の力で生活をしていかなければなりませんので、住む場所や仕事など、必要な準備も多いでしょう。
そして、離婚を選択する場合、特に多いトラブルが「慰謝料や養育費などの支払いが途切れてしまうこと」です。
離婚成立後はお互いに顔を合わせることはなくなります。そのため、最初の1・2回は支払いがされていたが、以降ぱたっと途絶えてしまいどうしたらよいかという相談は多く、離婚後に生活に困窮する方もいます。
そのようなトラブルを避けるために、離婚時に取り決めをしたことは必ず書面に残しておきましょう。そして、公正証書にしておくとなお良いです。
どうしても払ってもらえない時には、最終手段として相手の財産の差し押さえを検討することになりますが、差し押さえるためには、いくつかの条件があります。
条件を満たしていないと差し押さえができませんので、離婚をする場合も弁護士に依頼し、後々トラブルになりそうなことまで見据えた抜け・漏れのない書面の作成をしてもらうと安心です。
ステップ2-専門家のアドバイスを受ける
最終的にどうしたいのかをイメージしたら、今度はそれの実現に向けて、専門家にアドバイスをもらいましょう。
しかし、一言に「専門家」と言っても、様々な専門家がいます。
あなたの話を聞き、気持ちに寄り添う専門家もいれば、パートナーや浮気相手との話し合いに向けた実践的なアドバイスをしてくれる専門家もいます。どの専門家のもとを訪れればいいのかは、あなたの目的によって変わるのです。
パートナーの浮気問題の場合、お世話になる専門家は主に「弁護士」「探偵」「離婚カウンセラー」の3つです。
それぞれ相談するべき状況はかなり違いますよね。
これらの専門家は、できることも大きく異なります。
それぞれの専門家が、どんな時にどんな相談ができるのか把握しておきましょう。
弁護士ができること
弁護士は、法的や裁判のプロとして、法律に関わる相談を受けたり、書類の作成を行ったり、あなたに代わって相手と交渉をしたりすることができます。
日本には様々専門家がいて、法律に関する専門家もいくつかありますが、浮気に関する法律相談、浮気の慰謝料や離婚の交渉、手続きなどを本人の代理で行うことができるのは弁護士だけです。
そのため、相手との交渉するときにどのような点に配慮すればいいのか、どんなものが証拠になるのかといったアドバイスだけでなく、後々トラブルにならないような書面の作成や手続きを依頼することまで考えるならば、相談先は弁護士一択となります。
探偵ができること
警察庁のホームページによると、探偵業は以下のように定義されています。
探偵業務とは、
・他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として
・面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い
・その調査の結果を当該依頼者に報告する
業務をいいます。警察庁(https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/tanteigyou/index.html)より引用
つまり、依頼した人物の居場所を調べたり、行動を調べたりすることができます。
浮気相手の連絡先や所在が分からない場合や、配偶者が浮気をしているのはほぼ確定だが、決定的な証拠がないといった場合などに依頼することが多い専門家です。
ちなみに、先ほど弁護士の項目でお伝えした通り、浮気に関する法律相談や交渉・手続きができるのは弁護士のみになりますので、探偵は法律相談・交渉の依頼などを受けることはできません。
カウンセラーができること
浮気が発覚した際に相談するカウンセラーは「離婚カウンセラー」と呼ばれる特定非営利活動法人(NPO)日本家族問題相談連盟が認定する民間資格の保持者が多いと思います。
相談者の悩みに寄り添い、メンタル面でのケアを行ってくれます。カウンセラーによっては連携している専門家を紹介してくれることもあるようです。
とにかく今の気持ちを誰かに聞いてほしい、離婚をするべきか悩んでいるので気持ちの整理をしたいといった場合に相談することが多い専門家です。
カウンセラーも探偵と同様に、法的な相談や交渉、手続きの代理をすることはできません。
浮気の証拠を集める
専門家のアドバイスももらったら、いよいよ証拠集めに向けて動いていきます。
浮気を証明するためには「浮気相手と肉体関係があったことがわかるもの」が必要になります。
もっとも単純なのはパートナーと浮気相手が性行為をしている場面の画像や動画ですが、探偵に依頼したとしてもそんなダイレクトな証拠が出てくることはまずありません。
そのため、色々な証拠を積み重ねて、客観的に見ても言い逃れをするのは無理があるだろうと言えるようにしていきます。
浮気があったことを証明するために使われる主な証拠には、次のようなものがあります。
上の方の証拠ほど単体でも高い証拠としての価値(証拠能力)を発揮しますが、手に入れるのは難しくなります。
逆にリストの下の方は比較的入手しやすいものですが、それ1つだけでは浮気があったことを証明するのは難しくなります。
しかし、1つでは証明が難しいものでも、複数あわせることによって、客観的に浮気を証明していくことができるようになります。
無理して入手難易度の高い証拠を集めようとする必要はありません。
身近にあるものを少しずつ集めていくようにしましょう。
どんな証拠の証拠能力が高いのか、今ある証拠で浮気相手と話し合いに挑むことができるのか心配になったら、弁護士に相談をしましょう。
浮気された側のNG行動
浮気をされたことが分かったら、パートナーや浮気相手に対していろんな感情が湧いてきて、当事者たちに言いたいこと、償いのためにしてほしいことがたくさんあると思います。
しかし、浮気をされた被害者であっても、相手への過度な制裁や、行き過ぎた証拠集めは逆にあなたが責任を問われてしまうことになりかねませんし、準備不足で相手と話し合えば、期待した結果を得られずあなたのこれまでの家庭への献身がまったく報われないことにもなりかねません。
そうならないように、ここでは浮気をされた側のあなたが、やってはいけない行動をまとめました。
浮気をされた側がやってはいけない行動 | |
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証拠を集める前に相手を問い詰めること | ・相手に言い逃れをされてそれ以上追及できなくなってしまうおそれがある ・証拠を隠されてしまうおそれがある ・発言内容によってこちらの落ち度を追及されてしまうおそれがある |
自分で尾行したり、盗聴器などを仕掛けたりすること | ・刑法やストーカー規制法などの法律に違反してしまうおそれがある |
・浮気相手の家や職場へいきなり押し掛けたり、電話を掛けたりすること | ・恐喝や脅迫ととられ逆に訴えられてしまうおそれがある |
配偶者や浮気相手に退職を強要すること | ・恐喝や脅迫ととられ逆に訴えられてしまうおそれがある |
もしこの中に、行動に移そうか悩んでいるものがあったなら、それはいったん考え直してください。
そして、すでに行動に移しているものがあったら、すぐに弁護士へ連絡し、今後の対応を相談してください。
ここからは、それぞれの行動が、あなたにどんなリスクがあるのか、具体的に解説していきます。
証拠集める前に相手を問い詰めること
証拠がそろう前に相手に詰め寄ってしまうと、相手はいくらでも言い逃れができてしまいます。
「仕事の相談にのっていただけ」「今回の業務で特に頑張ってもらったお礼をしただけ」のように言われてしまったら、それ以上は追及できなくなってしまいます。
それに本当に浮気をしているならば、これ以降はあなたの追及を警戒して、証拠になり得そうなものを隠されてしまいます。
そうなってしまうと、証拠を得づらくなってしまいますので、さらに交渉は難しくなってしまいます。
この時に根拠もなく食い下がっても相手を怒らせてしまうだけですし、あなたが感情的になって言葉を荒げてしまったら、あなたにも落ち度があると言われてしまいかねません。
裏切られた怒りや虚しさ、悲しさ、いろんな気持ちが混ざって相手を怒鳴りつけたい気分になるかもしれません。けれど、ここは落ち着いて、準備をすることに気を向けましょう。
自分で尾行したり、盗聴器をしかけたりすること
自分で尾行したり、盗聴器を仕掛けたりすることはお勧めできません。
「探偵に依頼すると費用が高そうだから自分で何とかしよう」、とか、「決定的な現場を見つけ次第突入して問い詰めてやる」と思う気持ちはわからなくもありません。
最近はSNSなどの投稿に修羅場体験談などの投稿もあり、それを見て気持ちが少し晴れたという方もいますので、自分でもやってやりたいと思う方もいるかもしれませんが、安易にこれを実行してしまうと、あなたが罪に問われてしまう可能性があります。
例えば、盗聴器をしかけるために浮気相手の家に入る等は、刑法で禁止されている許可なく他人の敷地に入ることに該当する可能性が高く、違反した場合3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されてしまいます。
尾行や待ち伏せは、悪意があると判断されるとストーカー規制法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
近年は、ストーカー規制法や自侮辱罪の厳罰化などの法改正が頻繁に行われていますので、知らずにあなたが犯罪者となってしまう可能性があります。
証拠集めは無理をしてはいけません。思うように集まらない場合は専門家を頼ってください。
浮気相手の家や職場へいきなり押し掛けたり、電話をかけたりすること
「あなたの配偶者を横取りした浮気相手に一言でも文句を言ってやりたい」「直接会って2度と会わないと約束させたい」という気持ちは自然なことです、しかし、相手の職場や家に押しかけたり、電話をかけたりするのは控えましょう。
いきなり押し掛けられた相手は、あなたに「脅迫・恐喝された」といって、逆にあなたが訴えられることになってしまいかねません。
また、職場に行ったことによって、社内の人に浮気していたことが知られた場合もその責任を追及される可能性があります。
悪いのは向こうなのに・・・と思うかもしれませんが、直接話し合いたいときはきちんと場を設定するようにしてください。
配偶者や浮気相手に退職を強要すること
浮気相手が配偶者と同じ職場内だった場合、以降の接触をさせないため、仕事を辞めてほしいと言いたいかもしれませんが、配偶者や浮気相手に退職を強要することはできません。
強要してしまうと逆にあなたが訴えられてしまう可能性があります。
もし同じ職場内で、復縁されることを防止したい場合は、接触についての取り決めをして、和解書などに盛り込みましょう。
まとめ
ここまで、配偶者の浮気が発覚したときにやること3ステップをご紹介しました。
ステップ3まで終えたら、ここからはいよいよ当事者たちとの交渉に移っていきます。
最後に、もう一度3つのステップをおさらいしましょう。
ステップ2:専門家のアドバイスを受ける
ステップ3:浮気の証拠を集める
配偶者に浮気をされたときの怒り、虚無感、孤独感は大きく、すぐにでも当事者たちを問い詰めたい気持ちになるのは、おかしなことではありません。
しかし、感情に任せて行動してしまうと、あなたが望む結果からは遠く離れてしまいます。
特に、証拠がない段階で問い詰めたり、自分で証拠を集めるために尾行したり盗聴器をしかけたりすることは、逆にあなたが責任を問われる立場になってしまうおそれがあります。
内容によっては、あなたが犯罪者になってしまう場合がありますので、慎重に行動しましょう。必要に応じて専門家のちからを借りながら、解決を目指しましょう。
当社では、あなたの暮らしを支える「かかりつけ弁護士」として、依頼者とのコミュニケーションを大切にしております。トラブルを無事解決できることは、新しい生活をスタートさせる一区切りになることは間違いありません。不倫とひとくちに言っても、ケースごとに大変になる局面は異なります。ご依頼者様の状況に応じた、最適な解決策をご提案させていただきます。1人で悩まずにまずは当社にご相談ください。