別居中も婚姻費用はもらえる!アンケートで見る婚姻費用の受け取りで必要なこと


 

配偶者と別居する際に生活費の不安を抱く人が多いです。特に、配偶者の収入の方が多く、生活費を出してもらっていた場合は、別居によって生活費がもらえなくなると、経済的に困窮してしまう恐れがあります。
その不安を減らすことができるのが、別居中の婚姻費用の受け取りです。

この記事では、別居中の婚姻費用の支払いについて、法務省が実施した「協議離婚に関する実態調査結果の概要」の回答結果を用いながら解説していきます。

別居中でも婚姻費用をもらえるケースがある

婚姻費用とは、簡単に言えば夫婦の生活費のことです。夫婦はお互いが同じ水準で生活することを保障する生活保持義務があり、お互いの収入などに応じて生活費を分担しなくてはいけません。
これを専門的な言葉では婚姻費用と言い、多くの夫婦は、当たり前のこととして毎月の生活費を分担しています。

離婚するまでは夫婦だから婚姻費用が支払われる

 
夫婦が別居をすると、婚姻費用が支払われなくなるケースも多いようです。
しかし、別居をしても離婚をするまでは夫婦であり、婚姻費用を支払う義務はなくなりません。
たとえば、収入が多い夫が別居で家を出ていき、収入が少ない妻と子どもだけが家に残った場合、妻の収入だけで家賃や食費、子どもの学費などをすべて賄い切るのは難しい可能性があります。
このように夫婦間で収入差があり、別居によって一方の生活が困難になるような場合は、別居中でも配偶者に婚姻費用を請求することができるのです。

4割近い人が別居中に婚姻費用をもらえていない

数(人) 率(%)
別居期間中を通じて、定期的にあった 168(39.1%)
別居期間中を通じて、不定期だがあった 59(13.7%)
当初はあったが、途絶えた 25(5.8%)
当初はなかったが、離婚後しばらくしてあった 13(3%)
全くなかった 165(38.4%)

別居中も婚姻費用の支払いを受けられる可能性があるとお伝えしましたが、実際に婚姻費用をもらえている人は約61%。約38%の人が婚姻費用を全くもらえていないようです。
また、不定期で支払われていた人や、途中で支払いが途絶えてしまった人もおり、合わせると半数以上の人が正しく婚姻費用をもらえていないことがわかります。

婚姻費用の支払いがされなかった理由

 

上記は、婚姻費用の支払いが「全くなかった」と回答した人に聞いた、支払いがなかった理由です。「相手と関わりたくない」が最も多く約31%、次いで多いのが「やり取りがわずらわしい」で約24%。
経済的な事情等ではなく、配偶者との関係性や話し合いの手間などから、自ら婚姻費用が支払われない状況にしてしまっている人が多いようです。

婚姻費用が支払われた場合、月額2〜6万円が約4割

数(人) 率(%)
0〜1万円未満 14(5.3%)
1万〜2万円未満 23(8.7%)
2万〜4万円未満 46(17.4%)
4万〜6万円未満 60(22.6%)
6万〜8万円未満 26(9.8%)
8万〜10万円未満 33(12.5%)
10万〜12万円未満 19(7.2%)
12万〜14万円未満 7(2.6%)
14万〜16万円未満 11(4.2%)
16万〜18万円未満 1(0.4%)
18万〜20万円未満 7(2.6%)
20万円以上 18(6.8%)

続いては、別居中に婚姻費用の支払いが「全くなかった」以外を回答した人に聞いた、婚姻費用の金額を紹介します。

お互いの収入や子どもの有無など、夫婦の状況によって金額が異なるため一概には言えませんが、4〜6万円が約22%、2〜4万円が約17.4%で、2〜6万円で全体の40%となっています。2〜6万円が婚姻費用の一つの目安と言えそうです。
一方で、20万円以上も約6%、10万円以上で考えると約23%おり、夫婦の収入差が大きい場合や専業主婦の場合などは、10万円以上の婚姻費用の支払いを求めることも珍しい話ではないと言えるでしょう。

別居時に婚姻費用をもらうなら事前に話し合うべき

上記は、別居中に婚姻費用の支払いについて、「全くなかった」以外を回答した人に聞いた、婚姻費用が支払われた理由です。「話し合って決めた」という人が約76%にも及びます。
支払われなかった理由で、「相手と関わりたくない」、「やり取りがわずらわしい」が多いことを紹介しましたが、別居中も婚姻費用を受け取りたいと考えるなら、配偶者との話し合いは不可欠です。
もし、「話し合うことが大きなストレス」、「相手に上手く言いくるめられてしまいそう」といった心配があるなら、弁護士などに任せるのも良いでしょう。上記の結果でも約19%の人が弁護士を通じて婚姻費用の話し合いをしています。

まとめ

別居中の婚姻費用の支払いの実情を、アンケート結果をもとに確認してきました。

別居中でも婚姻費用の受け取りは可能ですが、配偶者に対するマイナスの感情や、話し合いのわずらわしさが大きく、婚姻費用を一切受け取っていない方も多くいることがわかりました。
しかし、婚姻費用を受け取らないと生活が苦しくなる方も多くいらっしゃると思いますので、婚姻費用を受け取れるなら受け取るべきです。

もし、「婚姻費用を受け取りたいけど配偶者と話したくない」というお気持ちなら、一度弁護士に相談すると良いでしょう。
「配偶者が話し合いに応じてくれない」というケースでの相談もおすすめです。ご自身やご家族の生活のため、「別居中の婚姻費用を受け取る」という選択を大切にしましょう。

協議離婚に関する実態調査結果の概要
実施機関:法務省
調査方法:ウェブモニターアンケート
調査対象:協議離婚を経験した30代及び40代の男女(合計1000名)
調査期間:令和3年3月8日から同月10日まで
URL:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00244.html

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