不倫の慰謝料請求を司法書士や行政書士に頼むのはアリ?弁護士との違いとは?

不倫の慰謝料請求で、司法書士や行政書士への相談を検討中の方もいらっしゃるでしょう。弁護士、司法書士、行政書士はできることが異なりますので、司法書士や行政書士への相談を検討中の方は、専門家ごとのできることや、自分の悩みを解決してくれるのはどの専門家か、ということを相談前に確認しましょう。

このページでは、不倫の慰謝料請求で司法書士や行政書士に依頼しても問題ないか、弁護士、司法書士、行政書士、弁護士ができることの違いなどをご説明しています。

不倫の慰謝料請求を司法書士や行政書士に依頼するのはアリ?


不倫の慰謝料請求で相談できる専門家には、弁護士、司法書士、行政書士がいます。
しかし、不倫の慰謝料請求についてインターネットで検索すると、出てくるのは弁護士に関する情報ばかり。司法書士や行政書士への依頼を検討中の方は「司法書士(行政書士)に依頼したいのに、なぜ弁護士ばかりなの?」と思うかもしれません。

弁護士に関する情報が圧倒的に多いのは、不倫の慰謝料請求では弁護士に相談した方が良いケースが多いからです。
どのようなケースでは弁護士に相談するべきで、どのようなケースなら司法書士や行政書士でも良いか、下記でご案内します。

不倫の慰謝料請求を依頼するなら弁護士

不倫慰謝料を請求したく、交渉や裁判を専門家に任せたいなら弁護士に依頼しましょう。

慰謝料請求の交渉は、司法書士と弁護士が対応可能ですが(司法書士は認定司法書士のみ)、司法書士は請求できる上限金額が140万円と決まっていて、140万円以上を相手に請求することができません。
弁護士は制限なく慰謝料請求をすることが可能ですので、慰謝料請求は弁護士に依頼した方が良いでしょう。
なお、行政書士には慰謝料請求の交渉を依頼することはできません。

書類作成だけ依頼するなら司法書士や行政書士でもOK

交渉は自分で行うので、相手に送る内容証明郵便や示談書の作成だけ専門家に依頼したいという方もいらっしゃるでしょう。
内容証明郵便や示談書の作成は、弁護士、司法書士、行政書士のいずれも可能です。
そのため、書類作成だけを専門家にお願いしたいなら、どの専門家に依頼しても良いでしょう。

ただし、依頼する前に法律相談もしたい、自分で慰謝料請求してみるけど上手くできなかったら専門家に任せたいとお考えなら、はじめから弁護士に依頼することをおすすめします。

司法書士ができること、行政書士ができること


「慰謝料請求をするなら弁護士」「書類作成だけなら司法書士や行政書士でもOK」と前の章でお伝えしたのは、司法書士と行政書士は不倫の慰謝料請求でできることとできないことがあるからです。
司法書士や行政書士が不倫の慰謝料請求でできることをお伝えします。

不倫の慰謝料請求で司法書士ができること

・慰謝料請求に関する法律相談(認定司法書士のみ)
・内容証明郵便の作成、発送
・不倫相手との交渉(140万円以下。認定司法書士のみ)
・裁判の代理人(140万円以下。簡易裁判所のみ)
・示談書や公正証書の作成

不倫の慰謝料請求で司法書士ができることは上記の通りです。
司法書士は、通常の司法書士と認定司法書士に分かれ、認定司法書士であれば、法律相談や不倫相手への慰謝料請求を行うことができます。
ただし、慰謝料請求ができるのは請求額140万円以下のケースに限られるため、慰謝料100万円の請求は可能ですが、慰謝料300万円の請求は対応できません。

※認定司法書士とは?
業務の幅を広げるために特別な研修を受け、法務大臣から認定を受けた司法書士のことです。
認定司法書士は、請求額が140万円以下の案件での交渉や裁判の代理人(簡易裁判所管轄のみ)が可能となります。

行政書士ができること

・内容証明郵便の作成、発送
・示談書などの作成

行政書士は、権利義務や事実証明に関連する書類を作成する専門家で、不倫の慰謝料請求では、不倫相手に送付する内容証明郵便や、示談書や内容証明郵便の作成を依頼することができます。
書類作成の専門家であるため、不倫相手と交渉することや、慰謝料の金額などの法律相談はできません。

不倫慰謝料の請求における弁護士、司法書士、行政書士の違い

前の章でご説明した司法書士、行政書士にできること踏まえ、不倫の慰謝料請求における弁護士、司法書士、行政書士の違いをご紹介します。

相談・依頼内容 弁護士 司法書士 行政書士
慰謝料請求に関する法律相談
(認定司法書士のみ)
×
書類作成に関する相談
慰謝料請求の交渉
(140万円以下)
(認定司法書士のみ)
×
示談書・公正証書の作成
慰謝料請求裁判の代理人
(140万円以下)
(認定司法書士のみ)
×
離婚条件の法律相談 × ×
決定した離婚条件の書類作成
離婚条件の交渉・裁判 × ×

表を見てもらえるとわかりますが、行政書士はできることがかなり限られます。
司法書士はできることが多いですが、140万円以下の慰謝料請求のみという制限がつきます。
弁護士は、制限なく全てのことを対応可能です。

つまり、不倫の慰謝料請求で金額を気にせず、交渉も書類作成も専門家に任せたいなら、弁護士に相談した方が良いと言えます。

また、請求相手が不倫をした配偶者で、離婚の取り決めと慰謝料請求を行いたい場合は、別々の専門家に相談するよりも、一人の専門家にまとめて相談した方が、手間はかかりません。
そのため、離婚を考えている方は、下の表に記載した離婚問題で弁護士、司法書士、行政書士ができることも確認しましょう。

相談・依頼内容 弁護士 司法書士 行政書士
離婚条件の法律相談 × ×
決定した離婚条件の書類作成
離婚条件の交渉・裁判 × ×

司法書士と行政書士は、書類作成はできますが配偶者と交渉をすることはできません。
慰謝料請求と違い、認定司法書士であっても離婚条件の交渉などはできません。
一方で弁護士は相談、交渉、書類の作成の全てが可能です。

慰謝料請求と同時に離婚の相談もしたい方は、弁護士に相談しましょう。

※決められた業務以外を行うことは法律違反
「行政書士でも少しだけなら法律相談に答えてもらえないか」「140万円を少し超えるぐらいなら司法書士で対応してもらえないか」と思うかもしれませんが、行政書士と司法書士が決められた範疇を超えて業務を行うことは法律で禁じられています。
もし、決められた業務以外も行う司法書士や行政書士がいたら、それは「サービスが良い専門家」ではなく、「法律違反をしている専門家」です。
そのような専門家には相談しない方が良いでしょう。

慰謝料請求を司法書士より弁護士に相談するべき理由


ここまでを読み、「請求する慰謝料が140万円以下なら司法書士に依頼しても問題ないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、慰謝料請求を専門家に相談するなら、弁護士に相談するべきです。
その理由は、最初は140万円以上で請求するケースが多いことと、弁護士の方が不倫の慰謝料請求の経験が豊富であることの2つです。

慰謝料請求は高めの金額で交渉を開始する

不倫慰謝料の相場は、不倫が原因で離婚しない場合は50万円から100万円程度、離婚する場合は100万円から300万円程度と言われています。
そのため、離婚する場合は弁護士に依頼した方が良いでしょう。

離婚しない場合は、慰謝料が140万円以下のケースもありますが、これはあくまで最終的な金額です。
慰謝料請求では高めの金額で交渉を開始し、相手の減額希望を聞きながら目標金額で示談することが多いため、140万円以下で示談したケースでも、最初に慰謝料を請求した際は200万円や300万円を提示していることが多くあります。
司法書士だと最初の提示が140万円までしかできません。このことが原因で最終的な慰謝料が相場より低くなってしまうこともあり得ます。
そのため、獲得する慰謝料が140万円以下になりそうなケースでも、司法書士より弁護士に任せた方が良いでしょう。

不倫の慰謝料請求での経験値の違い

不倫の慰謝料請求の相談を受け付けている司法書士は多いですが、不倫の慰謝料請求に注力している司法書士は少ないです。
これは、司法書士は140万円までしか慰謝料請求できないことが影響しているのだと感じています。

一方で不倫の慰謝料請求に注力している弁護士事務所はたくさんあります。
そのため、弁護士に不倫の慰謝料請求を依頼する方が多く、結果として弁護士の方が不倫の慰謝料請求の経験やノウハウを蓄積することができています。
法律トラブルの交渉で専門家を選ぶ際は、その分野での経験が豊富な専門家を選ぶことが重要です。
そのため、不倫の慰謝料請求でより多くの相談を受けている弁護士に相談した方が良いでしょう。

まとめ

不倫の慰謝料請求で司法書士と行政書士ができること、弁護士との違い、司法書士、行政書士への相談のアリナシをご説明してきました。
最後にそれぞれの専門家が不倫の慰謝料請求でできることを簡単におさらいしましょう。

弁護士 法律相談、交渉、書類の作成などを制限なくできる
司法書士 認定司法書士であれば、不倫の慰謝料請求の法律相談や交渉ができる
(ただし、請求額が140万円以下の場合に限る)
行政書士 法律相談や交渉はできない。内容証明郵便や示談書の作成はできる

司法書士や行政書士の知り合いがいるなど、弁護士以外の方が相談しやすいこともあるかもしれません。
しかし、その司法書士や行政書士が不倫の慰謝料請求の経験がどの程度あるかわかりませんし、司法書士や行政書士ではできることが限られてしまいます。
法律トラブルは、いつどのようなことが起こるかわからないからこそ、何が起こっても対応可能な弁護士に最初から相談するのがベストです。
専門家に相談して不倫の慰謝料請求を行うなら、弁護士に相談してスムーズな解決を目指しましょう。

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