【不倫の慰謝料】請求するべき?しないべき?しないほうが良いケースを紹介

配偶者の不倫が明らかになった場合、不倫相手や配偶者に対して慰謝料請求したいと感じる方は多いのではないでしょうか?確かに不倫は大きな裏切り行為です。その裏切りによって傷ついた心は、お金で賠償してほしいと感じるのも無理はないことです。

しかし、不倫の慰謝料というのは、必ずしも請求したほうが良いわけではありません。状況次第では、請求にかかった費用のほうが大きくなってしまうケースや、かえって配偶者側が慰謝料請求の対象となってしまい家計に大きなダメージを与えてしまうケースもあるのです。

そこで今回は、慰謝料請求できるケースと請求が難しいケースについて知り、ご自身が慰謝料請求すべき状況なのかについて理解できる、そんな内容にまとめてみました。

慰謝料請求しないほうがよい5つのケース


では、そもそもどういった場合慰謝料請求をしないほうが良いのでしょうか?
以下に具体的な状況を挙げてみましたので、ぜひご参考にしてみてください。

①不倫があったことを証明できない場合

不倫を疑われる行動はあるものの、不倫自体の証明ができない場合、請求し損になってしまう恐れがあります。というのも、不倫を理由に慰謝料請求するのであれば、肉体関係があるかどうかは非常に重要です。肉体関係があった事実を証明できない場合、慰謝料の支払いまでたどり着ける可能性は低くなっています。

そもそも慰謝料というのは、明確な証拠がなかったとしても請求することは可能です。しかし、証拠がなければ相手も支払うわけがありませんし、仮に裁判にまで発展したとしても請求が認められることはまずありません。また、不倫というのは個人の名誉を多大に傷つけることにもなりかねません。不倫が事実でなかったのであれば、逆に相手から名誉棄損で訴えられてしまう危険もあります。不倫があったことを証明できない場合は、あまり慰謝料請求はお勧めできないのが実情です。

②慰謝料の金額が期待できない場合

一般的な慰謝料の相場というのは、50~300万円程度とされています。この金額の大きな差の理由は、不倫慰謝料額は状況次第で金額が定まるからです。よって、慰謝料の金額が期待できない場合、つまりは高額慰謝料の条件が整っていない場合は、請求にかかる費用や労力がもったいない、なんて事態が想定されます。

慰謝料請求にかかる弁護士費用は、着手金に10万円~20万円と、報酬金で慰謝料の10%~20%、そこに経費数万円や相談料・弁護士の日当等が加算されるので、少なく見積もっても30~40万円はかかります。裁判になった場合には着手金がさらに高額になります。ですから、期待できる慰謝料の金額が50万円を下回る場合には、今一度検討が必要です。
(※慰謝料の相場についてはこちらの記事をご覧ください。)

たとえば、肉体関係が1度きりで、不倫をきっかけに離婚まではしないのであれば、50万円を下回ることも十分考えられます。
また、相手の資力次第では、そもそも慰謝料の回収自体困難なケースも存在します。どれだけ不倫が明白で、慰謝料の支払いを命じる判決が出たとしても、お金のない相手から回収することはできないのが現実です。慰謝料請求をする際は、金額そのものはもちろん、お金の出どころについても検討した上で行わねばならないのです。

③かえって損をする可能性がある場合

慰謝料というのは、請求すること自体かえって損をしてしまう恐れもあります。
もちろん、口頭による請求のみで相手が素直に支払ってくれれば問題はないのですが、そう簡単にはいかないのが慰謝料請求の難しいところです。場合によっては、法的手段が必要になりますし、示談書もリーガルチェックを挟むのであれば、弁護士といった専門家の介入がどうしても必要になってきます。②で前述しました通り、弁護士費用は最低でも30~40万円かかるので、数十~50万円を請求するために同等の金額、もしくはそれ以上の金額の費用がかかる可能性が十分にあるのです。

泣き寝入りというのは本来すべきではありませんが、かえって損をする可能性が高い場合、あまり執着して請求しないよう注意しなければなりません。

④自分の配偶者に非がある場合

不倫というのは、配偶者はもちろん不倫相手にも非があります。しかし、配偶者が不倫相手に対して既婚である事実を隠していたり、無理やり性交渉へと及んでいたような、自分の配偶者側にのみ非がある場合、不倫相手に対しては慰謝料請求することができません。
こういった場合、不倫相手も被害者であることに変わりはないのです。

もし、不倫をきっかけに離婚するのであれば、不倫相手には請求できないものの、配偶者に対して慰謝料請求することは可能です。しかし、離婚を視野に入れていないのであれば、不倫相手からは慰謝料と取れず、配偶者から慰謝料を取ったところで、結局のところ同一家計で今後も過ごしていくことから、あまり意味があることではありません。ただし、正確に言えば、配偶者から支払ってもらった慰謝料は「固有財産」と考えることができるため、意味がないとまでは言えませんが、どう捉えるかは個々の価値観が大きいでしょう。

⑤不倫以前から夫婦関係が悪化していた場合

不倫以前から夫婦関係が悪化していた場合、慰謝料請求自体が認められない場合があります。というのも、婚姻関係破綻後というのは、夫婦生活については法的保護の対象外と考えられるため、異性と肉体関係を持ったとしても法的に保護される法律上の利益がないとか、又は破綻したと信じていたとして過失がなかったと判断される可能性があります。

何を持って婚姻関係が破綻しているかについては、素人目で判断できることではないため、専門家に判断してもらうようにしてください。たとえば、一般に、セックスレスが数か月続いているだけでは婚姻関係は破綻しているとは言えません。極端な例を出せば、仮に仮面夫婦であったとしても、同一家計で生計を共にしている以上、婚姻関係が破綻しているとまでは言い切れないなど、個々の価値観で判断できることではありません。婚姻関係の破綻については、慰謝料請求における争点になりやすいため、専門家の意見を求めるようにしてください。

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諦めてはダメ!実は慰謝料請求できるかもしれないケース4つ


上述したとおり、慰謝料請求というのは必ずしたほうが良いというわけではありませんし、請求したからといって必ず支払いが補償されるものでもありません。どうしても慎重な判断が求められます。
特に、以下の4つのケースの場合、一見すると慰謝料請求を諦めるしかないように感じますが、実は慰謝料請求できる可能性はまだ残されています。

不倫相手が無職のケース

不倫相手が無職の場合、一見するとお金の出どころがなく、慰謝料の回収自体が困難なケースに見えます。しかし、たとえ無職であったとしても、十分な資産を保有している可能性はありますし、不動産収入といった不労所得を得ている可能性もあります。
また、状況次第では不倫相手からの回収が難しくても、不倫相手の配偶者や両親、友人・知人が立て替えてくれるといったケースはめずらしくはありません。ただ相手が無職であるというだけで、慰謝料請求を諦めることがないよう、しっかりと調査してみましょう。

不倫が時効になっていたケース

慰謝料請求には、3年間という時効期間が定められています。いつから3年を数えるかというと、配偶者に請求する場合、既に離婚しているときには離婚成立日から3年。配偶者の不倫相手に請求する場合、不倫の事実を知ったとき(相手の氏名や住所といった素性を知ったとき)から3年とされています。

しかし、仮に時効期間が経過していたとしても、相手が消滅時効を主張しておらず、請求した結果支払ってくれるか、支払うことを約束してもらえば問題ないというわけです。とはいえ、支払う義務のない慰謝料をあえて支払う人は少数派ですので、3年経過前の請求が理想であるのは言うまでもありません。

離婚したあとに不倫に気づいたケース

離婚した後に不倫があったと気付いた場合、すでに離婚しているのだから慰謝料請求はできないと感じる方が多いのではないでしょうか。しかし、不倫慰謝料の請求権は上述したとおり不倫の事実を知ったとき(相手の氏名や住所といった素性を知ったとき)から3年間請求することができます。よって、離婚後であっても、不倫の事実を知ったときから3年以内であれば不倫慰謝料の請求は可能です。

請求するか迷ったら信頼できる人に相談しよう


慰謝料請求について迷っているのであれば、信頼できる人に相談するのが良いでしょう。

友人に相談する

友人に相談することで、慰謝料請求について客観的な目線で意見をもらうことができます。また、冷静さを取り戻すきっかけとなってくれることも多いため、信頼できる友人がいるのであれば相談してみるのが良いでしょう。

家族に相談する

友人に相談するといっても、夫婦間の問題について他人が口出しするのは簡単なことではありません。友人に相談することで、かえって困らせてしまうと感じるのであれば、家族に相談するのが良いでしょう。家族であれば、配偶者についても当然把握していることですし、的確なアドバイスをしてもらえる期待も十分です。ただし、不倫した配偶者は不倫相手の肩を持つ可能性があるので相談するのは危険です。

専門家に相談する

友人・家族、共に相談できるというのは素晴らしいことです。しかし、一般の方には法的知識があるわけではありません。また、中には中途半端な知識だけを持っている方も多くいらっしゃいますので、法的なアドバイスが欲しいのであれば、必ず専門家に相談しましょう。

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請求するかしないか自分で考える際のポイント9つ


下記は不倫慰謝料が高額になる条件リストです。
もし、3つ以上当てはまるのであれば、慰謝料請求を諦める必要はありません。

□不倫が原因で離婚することになった
□これまでの婚姻期間が長い
□子供がまだ小さい
□不倫されてうつ病になった
□不倫の末同棲したり女性が妊娠した
□相手は配偶者が既婚者であると知っていた
□相手の収入が高い(資産がある)
□相手が社会的な制裁を受けていない
□相手が反省していない

不倫が原因で離婚することになった

不倫慰謝料は、不倫が原因で離婚になった場合と離婚しない場合とでは金額に大きな差が出てきます。一般的には、離婚する場合は最低でも100万円~、と考えて問題ありません。

これまでの婚姻期間が長い

婚姻期間が長ければ長いほど、不倫を理由に受ける心の傷は深くなるものです。当然ながら、不倫慰謝料も高額になるポイントとなっています。

子どもがまだ小さい

子どもがまだ小さいとなれば、不倫によるショックは大きくて当然です。こちらも不倫慰謝料が高額になりやすいポイントとなっています。

不倫されてうつ病になった

不倫がきっかけとなってうつ病といった精神病を患ってしまった場合、慰謝料も高額になるケースが多くなっています。

不倫の末に同棲したり女性が妊娠した

不倫だけに止まらず、配偶者が不倫相手と同棲したり、不倫相手の女性が妊娠したような場合は、慰謝料が増額して認められるポイントの1つです。

相手は配偶者が既婚者であると知っていた

不倫相手が既婚の事実を知りながら、配偶者と不倫していた場合、不倫相手が反省するなどして支払うと約束する不倫慰謝料は高額になりやすいです。ただし、既婚の事実を知らなかった場合は、不倫慰謝料の請求自体が困難になる点に注意しましょう。

相手の収入が高い(資産がある)

不倫相手の収入が高い場合や、高額な資産を持っている場合、過去に裁判所が高額の慰謝料を認めたケースもありますので、不倫相手が高額な慰謝料を支払うケースもあります。

相手が社会的な制裁を受けていない

不倫相手や配偶者が、十分な社会的制裁を受けていない場合、慰謝料請求は高額になる場合があります。しかし、不倫が周囲にバレたことをきっかけに仕事を退職していたり、引っ越しをしていたりと、すでに社会的な制裁を受けている場合、慰謝料は低くなってしまうこともあります。

相手が反省していない

相手が不倫をしたことに反省をしていない場合、不倫慰謝料は高額になる場合があります。しかし、しっかりと反省した態度を見せている場合、慰謝料は低くなることもあります。

まとめ

慰謝料請求しないほうが良い場合に当てはまっていても、相手との交渉次第では十分な支払いを受けられる可能性は十分あります。相手のすべての金銭事情を把握することは困難であるため、慰謝料請求できるかわからない場合は、すぐに諦めるのではなく弁護士といった専門家に相談するのが良いでしょう。また、慰謝料請求するかどうかの基準は、自分が損をするか得をするかだけではありませんよね。たとえどれだけお金を負担することになっても(慰謝料請求が費用倒れになってしまっても)、相手に謝罪をさせたい、反省をさせたいと感じているのであれば、慰謝料請求をすることには十分な意味があります。しかし、慰謝料請求には時効期間が定められているため、どうか後悔のない選択をしてくださいね。

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