社内不倫されているかもと思っても、すぐに行動してはいけません|法的観点からの完全ガイド

男女の恋愛というのは、いつどんなタイミングで始まるかはわかりません。
それがたとえ仕事上の付き合いである社内の人間同士であっても、恋愛へと発展するケースもあります。そして、その恋愛が不倫関係を伴うケースも現実には起こり得るのです。

ある日、配偶者の行動に不審を感じたとしましょう。
仕事から帰宅するのが遅い、休日出勤が増えた、仕事の連絡だと携帯ばかりいじっている等々、いずれも社内不倫をしている際によく見受けられる行動でもあります。しかし、本当に仕事が忙しい可能性だってありますし、きちんとした証拠があるわけでもないのにすぐに行動をすべきではありません。不倫問題をはじめとする法律上の問題というのは、衝動的・感情的な行動をしてしまうと後々自身の首を絞めかねないのです。

そこで今回は、社内不倫について知っておきたい基本的な知識と、仮に不倫が事実であった場合にどのように行動すべきか、そして解決策についても詳しくご説明していきます。

社内不倫はどうやって起こるの


そもそもなぜ社内不倫は起こるのでしょうか?
結論を言えば、職場というのは「男女が恋愛感情を抱きやすい条件が揃っているから」です。

たとえば、仕事上の悩みや苦労などを共有できる親近感、チームとして一つの目標に向かっていく連帯感もあります。それに加え、多くの方は家で過ごす時間よりも職場で過ごす時間のほうが長いことも多く、単純に相手と接している時間が長いことで恋愛への発展を助長します。これを「単純接触効果」と言います。相手と繰り返し接することで好印象を抱いてしまうというわけですね。こうした理由からも、社内恋愛がきっかけで結婚したという方もたくさんいらっしゃるのが実際のところです。

とはいえ、不倫そのものは法律上許されざる行為です。
では、どのようなきっかけで社内不倫が始まるのか、そのシチュエーションについてと、なにをしたら社内不倫と言えるのかについて、以下にて詳しく見ていきましょう。

社内不倫が始まるシチュエーション

社内不倫が始まるシチュエーションは、主に以下の3つと言えます。

会社の飲み会
会社の飲み会は、社内不倫のきっかけになりやすい傾向があります。
仕事中というのは誰もが真面目ですし、表情も真剣そのものです。しかし、飲み会の場ともなると表情は緩み、普段見られない姿を見せることから、そのギャップに異性としての魅力を感じてしまうことがあります。

さらに、会社での飲み会というのは、配偶者に対しても言い訳が付きやすく、多少遅くなっても「仕事だから仕方ない」と納得せざるを得ないという条件も揃っています。会社での飲み会後にそのままホテルへ、といったケースは、現実によくある社内不倫のシチュエーションと言えるでしょう。

会社の社員旅行
会社の社員旅行についても飲み会と同様、仕事中とのギャップが生じやすいという理由から社内不倫のきっかけになりやすいものです。さらに、旅行というのはどうしても開放的な気分になりやすいことから、飲み会以上に社内不倫が始まるシチュエーションに適しているといっても過言ではありません。

旅行となれば配偶者の目が届きにくいですし、ハメを外しやすい条件が整っています。社員旅行の後から配偶者の行動に不審点が見られる場合、社内不倫をしている可能性が高くなったと言えます。

二人きりでの残業や外回り
二人きりでの残業、外回りの仕事や出張なども社内不倫のきっかけとして十分に考えられます。
特に、同じプロジェクトチームになるなど、二人きりでの作業を必要とする状況は、社内不倫が始まる典型的なシチュエーションと言えるでしょう。残業後に一緒にお酒を飲む機会があったり、外回りや出張時に一緒に食事をする機会があったりを繰り返すことで、単純接触効果等により恋愛感情を抱いてしまうわけです。

また、同期であれば仕事について不満や愚痴を語る機会も増えるでしょうし、先輩・後輩、上司・部下の関係であれば悩みを相談する機会があってもおかしくはありません。そしてその内容は、プライベートな話題にまで及び、より親密な関係性へと発展していく可能性が十分にあり得るのです。

何をしたら社内不倫になるか

では、具体的に何をしたら社内不倫と言えるのでしょうか?
こちらは「肉体関係があったかどうか」に集約されます。

肉体関係があると社内不倫と言える

たとえば、二人きりで食事にいったり、手をつないだりといった行為を、浮気だ!不倫だ!と感じる方がいてもおかしくはありません。価値観は人によって異なるものです。しかし、気持ちは十二分にわかるのですが、法律上は肉体関係があったかどうかで不貞行為、いわゆる不倫の有無を判断しています。仮に配偶者の不審な行動を発見したとしても、実際に行動に出るのは肉体関係があった証拠をつかんでからが理想です。

社内不倫がバレてしまうきっかけ


社内不倫というのは、「仕事後に二人きりでいるところを目撃される」、「出勤スケジュールが嚙み合うように調整されている」などといったきっかけでバレてしまうことが多くなっています。
特に、当人同士はバレていないと思っていても、職場の人間にはバレてるといったケースが多く見受けられるのです。さらには、社内不倫が原因となり、社内秩序に障害が生じた場合には、職場から懲戒処分を受ける可能性も否定はできません。
それぞれ以下にて詳しく見ていきましょう。

仕事後に二人でいるところを目撃される

既婚者の方が仕事後に職場の異性と二人きりでいるとなれば、社内不倫を疑われる可能性が十分にあります。
また、一見、職場では時間差で退勤しているように見せていても、その後に合流し、毎日のように一緒に帰宅しているというのは、まさに社内不倫の典型的なパターンと言えるでしょう。こうした現場に出くわしたことから、社内不倫がバレてしまうケースは多く存在しています。

出勤スケジュールなどが調整されている

出勤スケジュールが噛み合うように調整する行為は、社内不倫がバレるきっかけになりやすいです。
特に有給休暇の取得日が一緒といったような場合、休みを合わせて社内不倫をしている可能性がぐっと高くなると言えます。もちろん一度や二度であれば偶然そうなったとも捉えられますが、それが何度も続くとなれば、社内不倫を怪しむ方が出てきても不思議ではありませんね。

社内不倫は処分を受ける可能性がある

では、社内不倫がバレてしまったとして、会社側ではどういった対応が出来るものなのでしょうか。
結論を言えば、「当人同士が処分を受ける可能性はある」が、「会社側も慎重にならざるを得ない」となります。というのも、不倫というのは当人同士の私生活上の行為であることから、そもそも会社側で規制を加えたり、干渉したりできる範疇を超えています。しかし、社内不倫が理由で会社運営そのものに多大なトラブルが生じるなど、社内秩序を乱すような場合に限り、就業規則上の懲戒事由が適用されることがあります。

とはいえ、解雇にまで処分が重くなるケースはあまりなく、実際は口頭による指導くらいで、あったとしても減給や一時的な自宅待機命令、配属替え程度に止められる場合がほとんどと言えるでしょう。

社内不倫発覚で会社には連絡してはダメな3つの理由


配偶者の社内不倫が発覚したとなれば、今すぐにでも会社に連絡したいと感じる方がいてもおかしなことではありませんね。相手との不倫の証拠まで掴んでいるのであれば尚の事です。
しかし、会社に直接連絡するのは避けたほうが賢明と言わざるを得ない理由が3つあります。

まずは、「配偶者も処分を受けてしまう可能性がある点」、そして「不当な要求をすると業務妨害になってしまう危険がある点」、最後に「社内不倫を公にすることで相手のプライバシーを侵害してしまう恐れがある点」となります。衝動的・感情的な行動を避け、以下を参考にし、冷静に判断するようにしてくださいね。

配偶者も処分を受けてしまう可能性がある

上述したように、社内不倫トラブルに対する会社側の対応は慎重であるものの、不倫相手だけでなく、配偶者も処分を受けてしまう可能性が十分にあります。もし離婚までを考えていないのであれば、配偶者が解雇や減給といった処分を受ける危険がある行為は避けるのが賢明です。解雇や減給となれば、金銭面においても夫婦生活に悪影響が出る恐れがあります。

また、仮に離婚を視野に入れているのだとしても、財産分与の面、子どもがいるのであれば養育費の面から見ても、配偶者が会社から処分を受けるのは、とても自身にメリットがあるとは言えません。

不当な要求(異動や解雇)をすると業務妨害になってしまう

会社に対して、配偶者への処分は求めないものの、不倫相手の異動や解雇を要求するというのも行動に移すべきではありません。こうした要求は法的な根拠に基づくものではなく、いわば不当な要求と言わざるを得ないのです。そして、こうした行為は威力業務妨害に当たるとして、警察に被害届を出される恐れがあります。
また、異動や解雇を要求しないまでも、会社に嫌がらせの電話をかけたり、社内に不倫相手を中傷するような内容のビラを撒いたりといった行為は、偽計業務妨害罪に該当する恐れがあるのです。

もちろん会社だけでなく、不倫相手に対しても同様のことが言えます。会社を辞めるように迫る行為は強要罪、会社に不倫をバラすと脅す行為は脅迫罪に該当する恐れがあり、決して行動に移すべきではありません。

社内不倫を公にしてプライバシーを侵害してしまう

社内不倫を会社に公にする行為は、名誉棄損やプライバシーの侵害に該当する場合があります。もちろん、匿名をいいことにインターネットを利用して不倫の事実を公開する行為も同様にアウトです。また、こうした行為は当事者の社会的信用を下げるとして、侮辱罪に問われる恐れもあります。

社内不倫が発覚し、相手を許せない気持ちはごもっともですが、会社やインターネット上に不倫の事実を公にするのは得策ではありません。一時の感情で自身が刑事罰に問われてしまっては身も蓋もないのです。

社内不倫を解決する方法

では、社内不倫が発覚した場合は、どのように解決すべきでしょうか?
まずは冷静さを失わないことです。そして、社内不倫を冷静な目線で解決するためには、「配偶者と話し合いをする」、「弁護士に相談をする」、「お金(慰謝料)で折り合いをつける」といった3つの方法があります。

配偶者と話し合う 弁護士に相談する 不倫が事実であったら慰謝料を請求して区切りをつける

それぞれ詳しく見てみましょう。

配偶者と話し合おう

社内不倫が発覚した場合、配偶者と話し合いの場を設けることが大切です。
その結果、不倫関係を解消してもらえる可能性は十分にあります。その際は口約束だけでなく、もう不倫はしない旨の誓約書や示談書を作成するなど、書面化することで相手により念を押すというのも効果的です。
具体的には、再度の不倫をしないこと、不倫相手との仕事以外での私的な接触をしないこと、違反があった際は慰謝料の金額を記載しておくなど、配偶者にしっかりと釘を刺しておくのが良いでしょう。

特に、離婚までを視野に入れていないのであれば、話し合いで解決するというのは今後の夫婦生活を円満にするためにも非常に重要です。感情的になるのをぐっと堪えて、冷静な話し合いを求めてみましょう。

弁護士に相談しよう

夫婦による話し合いでの解決が難しい場合や、後述するように配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求までを視野にいれているのであれば、弁護士に相談するのがもっとも賢明です。
弁護士であれば誓約書や示談書といった書面作成を任せることができますし、不倫相手との直接交渉にも応じてもらえます。不倫相手と顔を合わせるというのはどうしても苦痛が伴うものです。それを弁護士にすべて任せられる点から、精神的な負担は大幅に軽減されます。

不倫が事実であったら慰謝料を請求して区切りをつけよう

もし不倫が事実であったら、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求することで区切りをつけるようにしましょう。そもそも慰謝料というのは、精神的な損害に対する賠償金といった意味合いがあります。金銭を支払ってもらうことで、自らの気持ちを清算するというのも解決策の1つです。

なお、不倫の慰謝料というのは「不真正連帯債務」といって、配偶者と不倫相手どちらに対しても全額請求することが可能となっています。半分ずつ請求しても良いですし、配偶者から全額支払ってもらい、それを夫婦の共有財産としてではなく、自身の固有財産とすることもできます。もちろん、不倫相手に全額請求するのもすべて自由です。自身が納得できる形で請求するのが良いでしょう。

しかし、請求と回収は別問題で、相手が素直に支払ってくれない場合もあります。そういった場合は、弁護士を交えるのが良いでしょう。弁護士であれば、最終的には強制執行といった強硬手段にて慰謝料を回収することも容易です。今回のように社内不倫であれば、相手の職場がわかっていることからも給与の差し押さえによって回収することも可能となっています。
慰謝料を支払ってもらうことで不倫問題に区切りをつけ、自身の気持ちを落ち着かせましょう。

まとめ

配偶者の社内不倫が疑える場合、まずは事実かどうかの確認が大切です。
事実かどうかの確認をする前に相手を問い詰めたり、会社に連絡したりといった行動に出るのは、その後の夫婦関係はもちろん、自身が不利になる恐れがある危険な行為です。

確認をした結果、社内不倫が事実であれば、まずは自分の気持ちを考え、どのように解決したいのかを決めましょう。配偶者との話し合いの場を設けるのか、慰謝料請求をするのか、離婚を視野に入れるのか等々、しっかりと考えてみましょう。

しかしながら、実際そういった状況に自身が陥った場合、冷静な判断をするのは難しいのが現実です。自身の気持ちの整理、今後どうすべきかについて、弁護士に相談するのは非常に賢明です。
冷静さを欠き、感情のまま行動すると逆に不利な立場になりかねません。そういった行動に出てしまう前に、弁護士に相談をし、今後どのように行動すべきか一緒に考えてもらうのが良いでしょう。

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