恋人と別れて同棲を解消した時、慰謝料を請求できる?


 

「長年同棲していた恋人と別れることになった」
同棲を解消するともなるとショックは大きいですし、引っ越しでお金もかかります。
この際、場合によっては恋人に対して慰謝料を請求したいと考える方もいるかもしれません。

同棲していた場合、同棲していないカップルに比べて、別れることによる影響が大きくなりがちですが慰謝料を請求できるのでしょうか?

この記事では、同棲を解消する際の慰謝料請求の可否について、慰謝料トラブルに詳しい弁護士が解説いたします。

同棲していただけでは慰謝料を請求できないことが多い

結論からお伝えすると、恋人と破局して同棲を解消したことを理由に慰謝料を請求することはできないことがほとんどです。
慰謝料請求は、離婚する場合又は不倫のような離婚を考えるほど夫婦関係に大きな亀裂が入る出来事があった場合にできるのであり、単に恋人同士が別れたことは自由恋愛の範囲内であり、基本的に慰謝料請求は認められておらず、カップルの同棲解消や破局では、法律上慰謝料の請求はできないでしょう。

ただし、同棲していた2人の関係性や同棲解消に至った理由によっては、慰謝料請求できる可能性も残されています。
次の章で詳しく解説します。

同棲解消で慰謝料を請求できる可能性があるケース

ここでは、同棲を解消した恋人に対して慰謝料請求できる可能性があるケースを3つ紹介します。

婚約をしていたのに恋人が浮気などをした

同棲していただけではなく、既に婚約をしていたようなケースでは、慰謝料請求できる可能性があります。
請求できる可能性があるのは、婚約者の浮気が原因で婚約破棄となって同棲を解消するなど、婚約者側に婚約破棄と同棲解消の原因があるケースです。

この際は、婚約していたことの証拠、浮気の証拠などを用意することで、婚約破棄の慰謝料として、慰謝料請求できる可能性があります。

事実婚状態で恋人が浮気などをした

事実婚状態の場合は結婚していた場合と同じです。
結婚はしていなくても事実婚の状態で長く一緒に暮らしていて、パートナーの浮気によって事実婚関係を解消、同棲も解消するというケースでは、パートナーもしくは浮気相手に慰謝料請求できる可能性があります。

この際は、事実婚状態である証拠、浮気の証拠が必要となります。

恋人から暴力を受けている

婚約や事実婚といった事情がない場合でも、同棲していた恋人から暴力などを受けている場合、DVの慰謝料を請求できる可能性があります。
この際は、病院の診断書や警察への被害の相談記録、被害届など、DVを受けていたことの証拠が必要となります。

慰謝料請求が認められるか、認められる場合の慰謝料の金額は証拠によって変わりますので、証拠になり得るものは1つでも多く用意することをおすすめします。

同棲していたことが慰謝料請求の際に証拠になる


慰謝料請求できる可能性があるケースのうち、婚約と事実婚は、同棲していた事実が慰謝料請求の際の証拠の一つになり得ます。
婚約破棄については、婚約指輪など証拠を用意できることが多いです。一方で事実婚の解消は、事実婚状態であったことを示す証拠として同棲していた事実は一つの証拠となるでしょう。
その際は、一緒に住んでいたという事実だけでなく、夫婦と同様な態様で生活していたことがわかる証拠、同棲していて家計を同一にしていた証拠などがあることが望ましいです。

なお、同棲していた証拠だけではなく、浮気の証拠も必要です。
浮気相手とホテルに出入りする瞬間の写真や、浮気がわかるメッセージのやり取り、恋人の自白など、浮気の証拠も合わせて用意をしましょう。
浮気の証拠について詳しくは下記の記事をご確認ください。

同棲解消でもらえる慰謝料は50万円から200万円が相場

同棲解消によって慰謝料を獲得できる場合、その金額は50万円〜200万円が相場です。
金額幅が広い理由は、あくまでケースバイケースであり、浮気による婚約解消や事実婚の解消であれば、交際期間や同棲期間、浮気の期間やお互いの収入など、様々な事情によって金額が変わるからです。

また、暴力を受けていた場合は、暴力の頻度や回数、ケガの詳細になどによって金額が変わります。
もし、同棲解消する恋人への慰謝料請求を考えているなら、自分のケースで慰謝料請求はできるのか、慰謝料の金額はいくらが目安になるのを弁護士に相談して聞くことをおすすめします。

恋人が慰謝料の支払いを拒否したら弁護士に

未婚カップルの破局に関連する慰謝料請求は、相手方が「結婚をしていないから慰謝料を支払う義務はない」と慰謝料の支払いを拒否してくるケースも多いです。
相手が一貫して慰謝料の支払いを拒否してくると、ご自身ではどう進めて良いかわからなくなってしまうでしょう。
そのような際も、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士であれば、慰謝料の支払いを拒否する相手に対し、支払いが認められるべき根拠を示しながら交渉することが可能ですし、ご自身で交渉する場合よりも慰謝料を獲得できる可能性は高くなるはずです。
相手に慰謝料請求をする前に弁護士に相談することが理想ですが、請求をした後でも遅くはありませんので、相手から支払いを拒否されたらすぐ弁護士にご相談ください。

同棲解消の際は、慰謝料以外の金銭を請求できる可能性がある

相手の都合で一方的に同棲を解消された際は、慰謝料以外の金銭を請求できることがあります。
ここでは請求できる可能性がある金銭を紹介します。

引っ越し費用

相手の都合で同棲を解消することになり、あなたが引っ越しをすることになったケースでは引っ越し費用を請求できる可能性があります。

恋人に貸していたお金

同棲期間中に恋人にお金を貸していた場合、同棲解消のタイミングで、お金を返してもらうように求めることが可能となる場合があります。
ただし、お金を貸していたことや返済期限等の証明が必要で、メッセージのやり取りなどで、いつ、いくら貸したなどがわかる場合に限られます。

また、お金をあげた場合は贈与となり、返してもらうのは難しいでしょう。プレゼントも同様です。
貸した・借りてない、もらった・もらっていないで意見が食い違い、難しい争いになることも多いです。

婚約指輪(婚約していた場合)

婚約破棄で同棲を解消する場合、婚約指輪を返してもらえる可能性があります。
お伝えしたように、本来、贈与したものは返してもらうことはできません。ただし、婚約指輪を贈るという行為は、「婚約して結婚をすることを目的・条件とする贈与」ということができ、婚約解消(破棄)になったことにより、結婚という結婚指輪を贈った目的・条件が達成されなくなったため、受け取った相手が結婚指輪を所持することについて「法律上の原因がない」ことになります。それにより、指輪を贈った側が指輪を返すように求めることができる(不当利得返還請求といいます)ことがあるのです。

結婚式などの費用

結婚式等の準備を進めている状況で相手の都合によって婚約を解消し、同居も解消したのであれば、式場のキャンセル代や結婚準備のための準備のための費用などを相手に請求できる可能性があります。

財産分与(事実婚状態の場合)

事実婚状態の場合は、事実婚であった期間中の財産分与ができる可能性があります。
財産分与とは、本来夫婦が婚姻期間中に共同で得た財産を清算するというもので、婚姻関係と実態が同じ事実婚の場合には財産分与が行い、共有財産を清算するのが通常です。

財産分与の対象となるのは、事実婚状態になって以降に得た預貯金や現金、不動産、株式、自動車、貴金属などで、どちらが購入したかに関係なく財産分与の対象となる可能性があります。
事実婚状態であれば慰謝料請求できないケースでも財産分与はできる可能性があります。

まとめ

同棲解消した際の慰謝料請求について解説してきました。
最後に、この記事でお伝えしたことを復習しましょう。

・同棲を解消しただけでは基本的に慰謝料請求はできない
・婚約中で婚約相手が浮気をしたなら請求できる可能性がある
・事実婚状態でパートナーが浮気をしたなら請求できる可能性がある
・恋人から暴力を受けていたら請求できる可能性がある
・請求できる場合の慰謝料の相場は50万円〜200万円
・慰謝料以外の金銭を請求できる可能性がある

お伝えしたように、同棲中のカップルが破局して同棲解消するだけだと、慰謝料請求はできないでしょう。
一方で、浮気による婚約破棄や事実婚の解消、恋人からのDV被害など、同棲解消以外にも事情があると、慰謝料請求できる可能性があります。

自分のケースでも慰謝料を請求できるかもしれないと感じている方は、一度弁護士に相談して詳しく話を聞いてみることをおすすめいたします。

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