事実婚でも不倫になる?事実婚の証明から慰謝料請求の方法まで解説!


 

近年、入籍することなく、事実婚を選択する方が増えています。

男女共同参画白書によると、成人の2〜3%が事実婚を選んでいるようです。事実婚を選ぶことのメリットもありますが、一方で結婚している夫婦と同じようにいかないこともあります。そのひとつが不倫トラブルです。事実婚のパートナーが他の異性と関係を持っていたことがわかった場合、事実婚でも不倫は認められるのでしょうか?

このページでは、不倫トラブルの解決で豊富な経験を持つ弁護士法人AOの弁護士が、事実婚の不倫トラブルと慰謝料請求について解説していきます。

参考:男女共同参画局「事実婚の実態について」

事実婚でも不倫は認められるのか?

まずは、事実婚のパートナーが他の異性と肉体関係を持っていたことが判明した場合、不倫に該当するかを解説していきます。
不倫は、法律の専門用語では不貞行為と言い、裁判例では、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」が不貞行為に該当すると判断されています(最高裁判決 昭和48年11月15日)
そのため、この裁判例だけを見ると「事実婚で既婚者ではないから不貞行為には該当しない」とも考えられます。

結婚している夫婦同然であると判断できれば不倫になる

しかし、事実婚でも不貞行為が認められる可能性はあります。
事実婚と同じような意味を持つ内縁関係という言葉がありますが、この内縁関係に関して、昭和33年に最高裁で「いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。」という判決が出ています(最高裁判決 昭和33年4月11日)

そのため、事実婚のパートナーが他の異性と肉体関係を持ったとすれば、その時は既婚者と同じように不貞行為が認められる(不倫が認められる)可能性があります。

事実婚の関係を証明する必要がある

事実婚でも不倫が認められますが、すべてのケースで当てはまるわけではありません。
パートナーと事実婚の関係であることを証明する必要があります。
事実婚であることを証明できなければ、同棲しているだけ、付き合いが長いだけの恋人同士と判断されてしまい、この場合は不倫が認められない可能性があるでしょう。

事実婚を証明する方法については、次の章で詳しく解説いたします。

事実婚を証明する方法


事実婚の証明は、同棲や親族との付き合いなどの生活状況から証明する方法と、住民票などの書面で証明する方法があります。

夫婦同然の生活であることを証明する

入籍していなくとも「結婚している意思がある」及び「結婚しているのと客観的に同じ」とわかる事実があれば、事実婚と判断されやすいでしょう。
以下のようなことがあれば、事実婚を証明できると考えられます。

・長く同棲をしている
・生計を共にしている
・入籍はしていないが、結婚式を挙げている、または予約している
・お互いの両親や友人への挨拶を済ませている
・お互いの家の行事に参加している
・周囲から夫婦同然であると認知されている

書面で事実婚を証明する

夫婦同然と判断できる書面があれば、その書面を提示することで事実婚を証明できる可能性が高いでしょう。
たとえば、自治体によっては事実婚でもパートナーシップ制度を利用でき、その際に発行される書面は事実婚の証明に大いに役立つでしょう。
また、世帯変更届を提出しているなら住民票、事実婚に関する公正証書を作成しているなら公正証書でも事実婚を証明できるでしょう。

事実婚のパートナーが不倫をしていた際にできること

事実婚のパートナーの不倫が発覚した際には「事実婚を解消する」「パートナー又は不倫相手に慰謝料を請求する」といったことが可能です。

事実婚を解消する

不倫がきっかけで離婚をする夫婦と同じように、不倫がきっかけで事実婚を解消するケースも少なくありません。
事実婚を証明することができる場合は、夫婦が離婚する際と同じように、財産分与などの取り決めを行うことができます。

慰謝料を請求する

事実婚と不倫を証明することができる場合、パートナーや不倫相手に慰謝料請求をすることが可能です。
事実婚の関係を続ける場合は不倫相手に慰謝料請求をします。
事実婚を解消する場合は、パートナーと不倫相手のどちらに対しても請求できます。

◎慰謝料の相場は50万円〜200万円程度

事実婚の不倫における慰謝料請求の相場は50万円〜200万円程度と言われており、パートナーとの関係性や不倫の期間・回数などによって金額が変わります。
以下のような事情があると、相場の範囲内で慰謝料は高くなりやすいです。

・不倫をきっかけに事実婚を解消する
・不倫期間が長い、回数が多い
・パートナーまたは不倫相手が妊娠をした
・悪質な行為(事実婚を解消させようと仕向けるなど)があった
・事実婚の期間が長い

ご自身のケースでの慰謝料の目安が知りたい場合は、一度弁護士に相談して確認することをおすすめします。

慰謝料請求には不倫の証拠が必要

事実婚で不倫の慰謝料請求をする際は、事実婚の証拠以外に不倫の証拠も用意する必要があります。
不倫は、パートナーが他の異性と肉体関係を持っていた場合に認められるため、不倫の証拠とは、肉体関係を持っていたことがわかる証拠を指します。

パートナーのスマホから、ホテルの中でパートナーと不倫相手が一緒に撮った写真などが出てくれば、決定的な証拠になるでしょう。
しかし、肉体関係が直接的にわかる証拠を入手できるケースは限られます。
そのため、以下のような証拠を集めて不倫を立証していくことが多いです。

・ホテルや不倫相手の家に出入りする瞬間の写真や動画
・肉体関係があったことを連想させるメッセージのやり取り
・ホテルの備品や領収書、クレジットカードの支払い明細など
・パートナーや不倫相手が自白した際の音声や動画

不倫の証拠については、下記の記事で詳しく解説しております。

まとめ

事実婚での不倫や慰謝料請求について解説いたしました。

事実婚でも不倫が認められる可能性があり、不倫が認められると慰謝料請求などが可能で、そのためには事実婚であることと、不倫があったことを証明する必要があります。
不倫に加えて事実婚の証明も必要なため、既婚者の慰謝料請求よりもやることが多く、また、結婚していないことを理由に相手方が慰謝料の支払いを拒否してくることもあるため、事実婚の慰謝料請求をご自身で対応するのは難しいケースも多いです。

そのため、事実婚で慰謝料請求をお考えの際は、弁護士にご相談されることをおすすめします。

弁護士であれば、状況をお伺いした上で事実婚の証明、不倫の証明にそれぞれ必要な物をアドバイスすることが可能です。弁護士のサポートを受けながら、事実婚を証明し、パートナーや不倫相手から慰謝料を獲得しましょう。

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