モラハラを理由に夫(妻)に慰謝料請求できるケース・できないケース

夫(妻)のモラハラが限界になり、「慰謝料をもらって離婚したい」と考えている方もいるかもしれません。
モラハラが理由で慰謝料請求や離婚を検討しているなら、モラハラが認められるケース・認められないケースなどを把握することをおすすめします。
このページでは、夫婦トラブルのご相談を数多くお受けしている弁護士が、モラハラで慰謝料請求できるケース・できないケースなどを解説しています。
目次
モラハラは夫(妻)に慰謝料請求できる可能性がある
モラハラを受けている場合、「モラハラがあったことを証明できる」「モラハラが原因で離婚をする」という2つの条件をクリアしていれば、夫(妻)に慰謝料請求できる可能性があります。
理由としては、モラハラが法定離婚事由に該当する可能性があるからです。
※法定離婚事由とは…法律が定めている離婚の理由
通常、夫婦双方が協議して合意しないと離婚は成立しませんが、法定離婚事由に該当するケースでは、夫婦の一方が離婚を望んでいれば、訴訟上で離婚が認められる可能性があります。
そして、法定離婚事由によって離婚が認められる場合、配偶者(ここではモラハラ夫(妻))に専ら離婚の原因となった有責行為(離婚の原因となる行為)があった場合には、被害を受けた側が損害賠償請求できる場合があります。
つまり、「夫(妻)のモラハラが大きな苦痛なので離婚をしたい。モラハラが離婚の原因なので夫(妻)には慰謝料を支払ってほしい」と訴えることができるというわけです。
モラハラになる行為・発言
続いて、どのような行為・発言がモラハラになるのか確認しておきましょう。
・配偶者を言葉で攻撃をする
・問いかけに対する無視や無反応
・お金の使い方や行動を必要以上に干渉する
・人前で意図的に辱める
・配偶者を脅したり、怖がらせたりする言動
・子育てなどで配偶者を否定するような言動
上記のような行為・発言はモラハラと認められる可能性があります。
この他にも、様々な行為・発言がモラハラに該当する可能性があるでしょう。
より詳細にモラハラの内容について知りたい方は、こちらの記事をおすすめします。
モラハラの証明、慰謝料の獲得は簡単ではない
上記のような行為・発言が事実で、それに耐えられず離婚をする場合でも、モラハラを証明することや、モラハラで慰謝料を獲得することは簡単ではありません。
モラハラは、DVでケガをした場合のように、被害が見た目・形には残ることがほとんどありません。モラハラの証明は、目に見えない被害を証明しなければいけないのです。
さらに、ちょっとした言い方の違いや発言の回数などでモラハラになる・ならないの判断が変わります。そして、判断が変わる明確な基準はありません。
そのため、モラハラの証明はハードルが高く、不倫やDVと比べてモラハラの証明や慰謝料請求が難しいことが多いです。
もし、ご自身が夫(妻)から受けている行為・発言がモラハラに認められるか確認したいのであれば、一度、弁護士などの専門家に聞くことをおすすめします。
モラハラで慰謝料請求が認められるために必要なこと
モラハラで夫(妻)から慰謝料を獲得することは簡単ではありませんが、モラハラが認められて慰謝料を獲得できるケースも、もちろんあります。
ここでは、慰謝料請求に成功する確率を少しでも高めるため、必要なことを確認していきたいと思います。
モラハラの証拠を用意する
慰謝料請求には、モラハラがあったことを証明できる以下のような証拠が必要です。
一つだけでは証拠能力が弱いこともありますので、少しでも多くの証拠を用意できることが望ましいです。
医師の診断書
モラハラを受けたことで不眠や過呼吸などの症状が出てしまったり、うつ病などの精神疾患になってしまったりして病院を受診した場合、その際の医師の診断書が証拠になります。
診断書は、病院に依頼することで入手することが可能です。
専門家や自治体への相談記録
カウンセラーに相談していた場合はカウンセラーの意見書も証拠になります。
役所の無料相談窓口などに相談していた場合、その記録も証拠になり得るでしょう。
家族や知人などの証言
親族や知人に夫(妻)のモラハラを相談していた場合、相談していたことを証言してもらいましょう。
裁判で証人として出廷してもらったり、証言を音声や映像などのデータとして残したりすることで証拠になる可能性があります。
夫(妻)とのやり取りの音声・データ
夫(妻)とのやり取りを録音・録画し、会話等の中にモラハラに該当する行為があれば、それが証拠になります。
また、メッセージのやり取りでモラハラ被害を受けた場合は、そのやり取りをスクリーンショットして手元に残しておいてください。
日記などの記録
夫(妻)とのやり取りを記載した日記も証拠になる可能性があります。
どのようなモラハラがあったかを詳細に記載しておくこと、1日だけでなく継続的に日記を書いて日常的にモラハラがあることを証明できるようにすることが望ましいです。
弁護士に相談して慰謝料請求を行う
モラハラの慰謝料請求を考えているなら、弁護士に相談して進めることをおすすめいたします。
お伝えしているように、モラハラの慰謝料請求は難しく、「こうすれば確実に成功する」ということはありません。
法律や夫婦問題に関する専門知識、交渉術を活かしつつ状況に応じた準備や対応が求められますので、夫婦問題で豊富な経験を持つ弁護士のサポートを受けることが、慰謝料獲得には必要不可欠です。
モラハラの慰謝料は50万円〜300万円
モラハラで慰謝料の支払いが認められる場合、その金額は50万円〜300万円程のことが多いです。
夫婦問題の慰謝料の金額はケースバイケースで、事案によって慰謝料の金額は大きく変わるからです。
モラハラの場合、モラハラの期間が長い、回数が多いこと、行為・発言の悪質さ、モラハラで受けた精神的ダメージの大きさなどを証明できれば、慰謝料の金額が高くなる可能性があります。
また、モラハラ以外にDVも受けていたような場合は、DVの慰謝料も合わせて請求するできる可能性があります。
モラハラで慰謝料請求が難しいケース
続いては、モラハラは事実でも慰謝料請求が認められないケースを紹介します。
ご自身の慰謝料請求を失敗に終わらせないためにも、どのようなケースで慰謝料請求が失敗に終わってしまうのかを把握しておくことも大切です。
モラハラ以外に離婚理由がある
モラハラが事実で証拠が揃っていても、離婚理由がモラハラ以外の場合、慰謝料の支払いが認められない可能性があります。
モラハラ被害を受ける前から、性格の不一致があったり、夫婦関係が破綻していたりする場合は、「モラハラは事実だとしても直接的な離婚原因ではない」となることが考えられます。
離婚理由がモラハラではないのであれば慰謝料はもらえない可能性が高いでしょう。
モラハラの証拠を用意できない
前の章で紹介したようなモラハラの証拠を用意できない場合は、慰謝料請求がかなり難しくなると言わざるを得ません
証拠がなくても相手方が支払いを認める可能性はゼロではありませんが、「モラハラがあったなら証拠を出せ」と相手方に言われた際にどうすることもできず、そのまま慰謝料請求が失敗に終わるでしょう。
用意した証拠ではモラハラがあったと言い切れない
証拠を用意できたとしても、慰謝料請求に必ず成功するとは限りません。
夫(妻)から「その発言はモラハラではない」と否定されてしまう可能性や、裁判で「モラハラが存在した可能性はあるけれども、提出された証拠だけでモラハラがあったとは言い切れない」と判断されてしまう可能性があります。
モラハラで慰謝料の支払いを認めてもらうには、ただ証拠を用意すれば良いだけでなく、証拠の質も量も重要となってきます。
夫(妻)がモラハラの事実を認めない
夫(妻)がモラハラを一貫して否定するため、慰謝料を請求する側が諦めてしまうケースがあります。
慰謝料請求は、まずは裁判外での交渉を行い、交渉では解決できない時に裁判を検討します。
不倫で慰謝料請求する場合であれば、交渉の際に不倫の証拠を提示すれば相手方が不倫を謝罪して慰謝料の支払いを認めることが多いですが、モラハラは加害者側に「モラハラをしている」という意識がないため、「モラハラはしていない」と否定されてしまうことがあるのです。
しかも、モラハラは裁判をしても慰謝料請求が認められるとは限りません。
そのため、交渉で夫(妻)が否定し、裁判でも勝てるかわからず、「そこまで時間や労力、お金をかけられない」として、慰謝料請求を諦めてしまう方もいます。
まとめ
モラハラの慰謝料請求について解説いたしました。
モラハラ被害を理由に離婚する場合、夫(妻)に対して慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、モラハラは見た目・形に残らない被害のため、立証することが難しく、モラハラが事実でも、証拠を用意できたとしても慰謝料を獲得することは簡単ではありません。
それでも、モラハラ夫(妻)に慰謝料を支払わせたいという強い気持ちがあるなら、夫婦問題に精通した弁護士に相談して慰謝料請求を進めましょう。
弁護士であれば、一人一人のご事情をお伺いした上で、用意できそうな証拠をアドバイスしたり、相手方との交渉や裁判で慰謝料の支払いを強く求めていくことが可能です。弁護士とともに戦い、最善を尽くすことをおすすめいたします。
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