慰謝料請求は離婚後でも可能!時効と証拠の準備に気を付けよう
配偶者の不倫が原因で離婚する場合、配偶者または不倫相手に対して慰謝料請求が可能です。
この慰謝料請求は、離婚した後に行っても問題ありません。
何かしらの事情があり、不倫の発覚直後や離婚の際に慰謝料請求できないのであれば、離婚をした後、時効を迎えるまでに慰謝料請求を行いましょう。
この記事では、離婚後に元配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求をするのが向いているケース、時効や証拠について解説していきます。
離婚後の慰謝料請求が向いているケース
不倫の慰謝料は時効にならない限り、離婚後も請求可能です。
不倫が発覚した直後、離婚するタイミング、離婚後など、いつ慰謝料を請求するかは請求者であるあなたの自由です。
離婚後だからといって慰謝料の金額が減ることは基本的にありませんし、事前に証拠を入手していれば何かしらで不利になることもありません。
もちろん、不倫の発覚直後や離婚時に請求できるのであれば、わざわざ離婚後に慰謝料請求をする必要はありませんが、以下のようなケースでは離婚に慰謝料請求をした方が良いと考えます。
慰謝料請求をする時間がない
離婚時には財産分与や引っ越しのことなど、考えることや手続きが沢山ありますし、毎日の仕事、家事、子育てなどもあります。場合によっては妊娠中で出産を控えている方もいるでしょう。
毎日の生活に加えて離婚のこと、慰謝料請求のことを全て対応するのはとても大変で、心身ともに大きな負担となります。
よって、このような時は先に離婚を進め、慰謝料請求は離婚後に落ち着いてからすることをおすすめします。
配偶者と不倫相手のどちらに請求するか迷っている
不倫の慰謝料は配偶者または不倫相手に請求できますが、基本的にはどちらか一方にまとめて請求することが多いです。
不倫の発覚から離婚までの期間が短く、配偶者も不倫相手のどちらに請求するか決めかねているなら、慌てて請求せず、離婚後に決めて慰謝料請求することができます。
離婚時に不倫相手がわからない
不倫相手に慰謝料請求をしたいけれど、不倫相手の名前や住所などがわからないこともあります。
その場合、離婚時には慰謝料請求せず、離婚後に不倫相手のことがわかったタイミングで請求するほかありません。
もし、不倫相手の素性がわからないままだったら、時効前に請求相手を元配偶者に切り替えれば大丈夫です。
請求しないつもりだったけど気が変わった
特別な理由はなくても大丈夫です。
元々は慰謝料請求をしないつもりだったけど、離婚後、思った以上に生活が苦しくなったため慰謝料を受け取りたいというだけでも問題ありません。
離婚から3年または不倫から20年で時効になる
離婚後に慰謝料請求をするなら、必ず把握しておきたい時効について解説します。
不倫の慰謝料請求では以下のように時効が定められています。
不倫の慰謝料請求の時効は、不倫が発覚してから3年、または不倫関係が始まった日から20年が時効です。
3年の時効と20年の時効があるので少しわかりづらいかもしれませんが、主に影響するのは3年の時効です。
不倫を知って3年以上が経過すると、不倫が始まった日から20年以内でも慰謝料請求できないことがありますのでご注意ください。
また、極端な例ですが、不倫を知って3年以内でも、不倫関係が始まった日から20年以上が経過していたら、この場合も慰謝料請求ができません。
一方で、不倫を知って3年以内、不倫関係が始まって20年以内であれば慰謝料請求が可能です。
例えば、不倫を知った半年後に離婚し、その1年後に慰謝料請求するなら、時効が問題になることはないでしょう。
慰謝料請求の時効について下記の記事もご参考ください。
不倫相手がわからない場合は特定できてから3年
離婚までに不倫相手を特定できず慰謝料請求を後からする場合、時効は不倫相手が特定できてから3年になります。
不倫を知った時から3年が経過していても、不倫相手を特定して3年以内なら、慰謝料請求が可能です。
離婚後に不倫を知った場合は知った日から3年
時効の「不倫を知った日から3年」は、離婚以前に不倫していたことを離婚後に知った場合も当てはまり、慰謝料請求が可能です。
ただし、このケースでは他の原因で離婚しているため、不倫で離婚する場合より慰謝料の金額は低くなる可能性があります。
離婚後に不倫が発覚した際の対応については、下記で詳しく解説しています。
時効直前の時は時効延長して慰謝料請求
諸事情があって慰謝料請求が時効ギリギリになってしまうこともあるでしょう。
その際は慰謝料を請求する配達記録付きの内容証明郵便を送付すると、時効を6ヶ月延長することができます。
時効直前だからといって焦る必要はありませんのでご安心ください。
また、裁判所を通じて慰謝料請求をする場合は、時効の進行を停止させることが可能です。
慰謝料請求に必要な証拠は事前に持っておくのがおすすめ
慰謝料請求を成功させるには不倫の証拠が必要です。
離婚する前から離婚後の慰謝料請求を考えているなら、証拠は離婚前に入手しておくことをおすすめします。
例えば、ホテルに出入りする瞬間の写真は不倫の決定的な証拠になりますが、離婚後に入手しても「離婚をしてから交際を始めたから不倫ではない」という反論が成立するため、証拠として役立たない可能性がありますので、離婚前に入手しておくべきでしょう。
また、離婚前であれば、配偶者に自白させる、ホテルのアメニティやプレゼント、領収書などの物的な証拠、LINEのやり取りなどを入手できる可能性があります。
しかし、離婚をして別々に暮らすようになると、これらの入手も難しくなりますのでご注意ください。
慰謝料請求の際に不倫が離婚原因であることを明確にするためにも、慰謝料請求に必要な証拠はできるだけ離婚前に集めておきましょう。
離婚後に慰謝料請求ができないケース
ここまで離婚後の慰謝料請求について解説していきましたが、以下のケースでは、離婚後の慰謝料請求ができない可能性がありますのでご注意ください。
既に時効になっている
既に時効を迎えていると、証拠が揃っていても慰謝料請求できない可能性があります。
気をつけたいのは不倫の発覚から離婚までに時間がかかったケースです。
不倫が発覚し、同時に不倫相手も明らかになり、たくさん悩んだり、家庭の事情があったりしてなかなか離婚を決断できず、数年後に離婚した場合、離婚した時には既に不倫慰謝料の請求が時効の可能性もあります。
ただし、この場合でも離婚後半年以内であれば、配偶者に離婚慰謝料の請求が可能となる場合はあります。
離婚までに一方から慰謝料を受け取っている
不倫慰謝料は配偶者、不倫相手のどちらにも請求可能ですが、両方に請求して倍の慰謝料を受け取るような慰謝料の両取りはできません。
そのため、離婚までに配偶者、不倫相手の一方から十分な金額の慰謝料を受け取っていたら、離婚後にもう一方への請求はできない可能性が高いでしょう。
例えば、不倫相手が誰かわからない状態で離婚し、離婚時に配偶者から十分な金額の慰謝料を受け取った場合が当てはまります。
離婚後に不倫相手がわかり、相手への怒りから慰謝料請求をしたいと考えても、既に配偶者から十分な金額の慰謝料を受け取っているため慰謝料請求が認められない可能性があります。
一切の金銭を請求しないと書面に残してしまった
離婚時に配偶者との間に作成した書面に「今後、一切の金銭を請求しない」と記載していたら、時効前でも離婚後の慰謝料請求ができない可能性があります。
離婚後に慰謝料請求をする可能性がある方は、このような記載をしないようにご注意ください。
なお、離婚後に婚姻中の不倫が発覚した場合など、離婚時には知らなかった事情による慰謝料請求であれば、書面に記載していても認められる可能性があります。
まとめ
離婚後の慰謝料請求について、向いているケースや時効、証拠などを解説しました。
最後に、この記事でお伝えしたことを復習しましょう。
・不倫の慰謝料は離婚後も請求可能
・離婚後でも離婚前でも慰謝料は変わらない
・離婚前は負担が大きい時は離婚後の請求でも良い
・時効には注意。不倫を知った日、不倫相手を知った日から3年
・慰謝料請求の証拠はできるだけ離婚前に集める
離婚後は今までのことを忘れて新しい人生を歩みたいのであれば、離婚前に慰謝料請求した方が良いかもしれません。
しかし、負担が大きすぎたり、不倫相手がわからないなどの事情がある場合は慰謝料請求を離婚後に回しても問題ありません。
慰謝料請求を行い、支払いを拒否されたり、請求をどのように進めて良いかわからなかったりした場合は、お気軽に弁護士をご活用ください。
弁護士法人AOでは、不倫の慰謝料や離婚問題に関するご相談を無料で受け付けており、離婚後の慰謝料請求に関するご相談も可能です。
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