民法710条とは?不倫で慰謝料請求ができる法的根拠を解説!

「配偶者の不倫やDVなどがあったら慰謝料を請求できる」

このことは多くの方がご存じだと思います。
では、なぜ慰謝料を請求できるか理由をご存知でしょうか?
それは、不倫やDVなどで損害賠償請求できるのは民法710条が法的根拠になるからです。

この記事では、民法710条の概要や民法710条によって慰謝料請求できるケースなどを解説しています。

民法710条とは?

民法710条は、不法行為があった際の損害賠償に関する法律です。
「財産以外の損害に対する賠償」について定められており、条文では以下のように記載されています。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

出典:e-Gov法令検索「民法」

財産以外の損害とは、目には見えない精神的な損害を指します。

例えば「他人の行為によって物が壊れた」「ケガをして病院に行った」などは被害があったことが目に見える形でわかり、代金の弁償や治療費の支払いを請求することができます。
一方で他人の行為で精神的に傷つけられた場合は、財産を失ったなどの目に見える被害がありません。
このような際に「弁償する物がないから何も請求できない」とならず、精神的な損害を受けたことに対して賠償請求できると定められた法律が民法710条です。
そして、財産以外の損害で請求する金銭のことを慰謝料と言います。

慰謝料請求は民法709条と710条が法的根拠になる


民法709条は不法行為による損害賠償請求に関して定められた法律で、条文には以下のように記載されています。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

出典:e-Gov法令検索「民法」

条文は専門的に言葉で書かれていますので、上記を噛み砕くと「相手の権利や利益を侵害する不法行為をした人は、与えた損害を償わなければいけない」といった内容となり、「相手の権利や利益を侵害する不法行為」には他人の物を壊してしまうこと、ケガをさせてしまうことなど目に見える損害だけでなく、不倫やモラハラも該当します。

そして、不倫やモラハラのような精神的なダメージを受ける不法行為があった場合は、不法行為で賠償請求できることを定めた民法709条と、精神的なダメージで賠償請求できることを定めた民法710条の2つを法的根拠にして慰謝料請求を行います。

故意と過失について

民法709条の中に「故意又は過失」という一文があります。
民法709条と民法710条を法的根拠に慰謝料請求をする場合、「故意又は過失」に該当するかが争点となるケースも多いです。
それぞれの意味を把握しておきましょう。

故意 他人に損害をあたえるとわかっているのにやること
過失 他人に損害を与えることが予想できた、損害を回避できたにもかかわらずやってしまったこと

故意と過失に該当するのであれば、精神的なダメージを受けたことに対して慰謝料請求することができるでしょう。

一方で、どちらにも該当しないケースの場合は、例え民法710条に該当するような精神的なダメージを受けたとしても、慰謝料請求が認められない可能性があります。
配偶者の不倫を例にご説明すると、既婚者であることを隠して不倫をしていた場合、不倫相手は自分の恋人が既婚者だと知りません。

この状況で不倫が発覚し、不倫相手に慰謝料請求をしても、恋人が既婚者だと知らず、かつ、知ることが出来なかった不倫相手の行動は故意でも過失にもならず、慰謝料請求が認められない可能性があります。
もっとも、故意にも過失にも該当しないと簡単に判断できるものではなく、「本当は気付くことが出来たため過失に該当するのではないか」などを交渉や裁判で争うことになります。

夫婦間のトラブルで民法710条に該当するケース


民法710条の「財産以外の損害」に該当する夫婦間のトラブルは以下の3つなどがあります。

・浮気・不倫
・DVやモラハラ
・悪意の遺棄

浮気や不倫や不貞行為という不法行為に当てはまり、浮気をした配偶者や浮気相手に対して慰謝料を請求することができます。
DVやモラハラも同様で、配偶者からの暴力や心無い言葉を受けた際に慰謝料請求が可能となる場合があります。

悪意の遺棄とは、配偶者が夫婦生活を放棄する行為のことで、「勝手に家を出て行った」「生活費を一切入れない」などが当てはまります。

まとめ

民法710条の概要や損害賠償できるケースの解説をしてきました。
不倫やDVなどで慰謝料を請求することは、民法710条が法的根拠になる認められた権利ですので、「自分が慰謝料を請求することは間違っていない」と信じて行動してください。

一方で、「民法を法的根拠に損害賠償請求をする」と聞くと難しいことと感じるかもしれませんが、被害者の方が自分で慰謝料請求をする際に、民法を根拠に交渉するケースは滅多にありませんので、慰謝料請求の法的根拠について細かく調べたり深く考えたりする必要はありません。
もし、民法710条や慰謝料請求について知りたいことがあれば、弁護士の無料相談でご回答できますので、お気軽にお問い合わせください。

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