不倫の慰謝料と賠償金|どのようなものが請求できる?

長年連れ添った配偶者の裏切り…。
あなたは、配偶者に不倫されていたとしたら許すことができるでしょうか?
おそらく多くの方が許せないと回答するのではないでしょうか。

中には、謝罪してくれれば許せるといった方もいるかもしれません。しかし、配偶者の裏切りに心を痛めることに変わりはありませんよね。そういった場合、法律の世界では「慰謝料」という形で、相手に賠償金を請求することが可能となっています。不倫の場合は、配偶者と不倫相手の両方に慰謝料請求することが可能ですし、どちらか片方に対して請求しても問題ありません。被害を被ったのはあなた自身であるため、どちらに対しても自由に請求することが認められています。

とはいえ、不倫の慰謝料といっても、どういった費用まで請求できるのか疑問に感じている方は多いのではないでしょうか?たとえば、不倫の証拠を掴むために依頼した探偵の費用、慰謝料請求するために依頼した弁護士の費用、こういった費用は不倫の慰謝料、賠償金に含まれるのでしょうか?

以下にて詳しく解説していこうと思います。

不倫の慰謝料は、精神的苦痛による賠償金のこと

まず、慰謝料というのは、精神的苦痛に対する賠償金を指します。

あなたは不倫をした配偶者とその相手から、多大な精神的苦痛を受けることになります。あなたの、本来であれば平穏であるべき婚姻生活は、相手の不倫によって侵害されたわけです。この精神的苦痛に対する賠償金として支払われるのが、「不倫慰謝料」になります。

また、不倫というのは、相手があって初めて成立するものです。配偶者だけが悪いわけではありません。もちろん不倫相手だけが悪いわけでもありません。よって、不倫慰謝料は両者に対して請求することが可能となっていて、請求先を自由に選択することも可能です。

慰謝料と賠償金の違い

ところで、慰謝料と賠償金という言葉が出てきましたが、この2つの違いについてあまり明確に理解できている方は少ないのではないでしょうか?
慰謝料というのは、精神的苦痛に対する賠償金であることは上述しました。よって、慰謝料は賠償金の一部であると理解することができますね。
では、賠償金とはどういったものなのでしょうか?

賠償金とは、被害者が被った「損害」に対して、加害者が支払わなければならない金銭です。ここでいう損害の1つが、精神的苦痛というわけですね。よく「損害賠償請求」といった言葉を耳にしますが、これは損害に対する賠償金を請求することを指します。よって、不倫によってその他にも損害が生じているのであれば、慰謝料とは別に、さらに損害賠償金を請求することも可能というわけです。
たとえば、あなたが不倫を知ったショックが理由で精神科に通うことになったのであれば、その治療費は損害の1つと言える可能性があります。

このように、あらゆる損害の中の1つに、慰謝料が含まれているイメージを持っていただけるとわかりやすいと思います。ただし、慰謝料以外の請求については、認められるケースは少ないと言わざるを得ません。

不倫の慰謝料の他に請求したい損害賠償の費用項目9つ

では、不倫慰謝料の他に請求できる損害項目にはどのようなものがあるでしょう?
個々の事情によっても異なりますし、請求して回収できる可能性は低いですが、請求費用の項目としてよく見受けられるのは下記の9項目になります。

①不倫の調査費用
②慰謝料請求にかかる弁護士費用
③別居期間中の生活費
④不倫が原因による入通院費
⑤名誉棄損に対する賠償金
⑥調査や請求・裁判のためにかかった交通費
⑦調査や請求・裁判のために仕事を休んだ休業損害
⑧その他、特別な損害

不倫の調査費用

不倫の証拠を入手するためにかかった探偵費用などがこちらに該当します。
ただし、探偵費用は相手から必ず回収できるとは限らないため、際限なく探偵費用に費やすのは避けましょう。回収できる可能性もある、くらいの気持ちでいてください。

慰謝料請求の弁護士費用

弁護士に慰謝料請求を依頼した場合、当然ながら弁護士費用がかかってくることになります。弁護士費用の中には、相談料や書類作成費用なども含まれます。
とはいえ、弁護士に慰謝料請求を依頼した際は、回収できた慰謝料の中で清算されることがほとんどであるため、基本的には手出しする心配はありません。

別居期間中の生活費

不倫が原因で別居期間があった場合、その間の生活費を請求することが考えられます。
これは「婚姻費用」といって、別居中であったとしても、家族(夫婦や子ども)が通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。法律上、婚姻費用は、夫婦それぞれが収入の大小に応じて、負担する義務を負っています。たとえば、あなたが無収入であるならば、別居期間中の生活費はすべて相手側が負担しなければなりません。

不倫が原因による入通院費

不倫が原因でうつ病などを発症した際は、入通院費用を請求することが考えられます。
入通院したことがわかる領収書などはしっかり残しておきましょう。また、不倫慰謝料問題が裁判にまで発展してしまった場合、診断書の提出を求められることもあります。

名誉棄損に対する慰謝料

不倫相手から公の場で具体的に侮辱などをされた際は、名誉棄損を理由に慰謝料請求が可能となります。たとえば、不倫相手が家族や職場に虚偽の情報をSNS上や電話などで発信し、家庭やキャリアに損害を被ったといった事態が起きると、名誉棄損に該当する場合も考えられます。

調査や請求・裁判のためにかかった交通費

不倫の調査や慰謝料請求・裁判のためにかかった交通費についても請求することが考えられます。

たとえば、探偵事務所や弁護士事務所・裁判所などに出向いた際の交通費については、領収書をしっかりと残しておくと良いでしょう。細かいようですが、不倫問題さえ起きなければ発生しなかった費用の1つのため、請求が認められることはあり得ます。

調査や請求・裁判のために仕事を休んだ休業損害

不倫の調査や慰謝料請求・裁判のために仕事を休まざるを得なくなった場合は、休業損害を請求できる場合があります。休業損害とは、その名のとおり、仕事を休業してしまったことに対する損害です。不倫の示談や裁判のために仕事を休んでしまったとなれば、当然、収入が減ることになってしまうため、減額部分については請求できる余地があります。

その他、特別な損害

その他にも、不倫が原因で特別な損害が生じた場合は、損害賠償請求が可能です。
たとえば、夫婦の共有財産が不倫に使われていたのであれば、その費用分を回収すべく、配偶者に請求することが可能となる場合もあります。

損害賠償は基本的には慰謝料と別々に考慮される


不倫慰謝料以外の損害賠償請求をする場合は、基本的には慰謝料とは別々に考慮されるのが一般的です。不倫慰謝料は、あくまでも精神的苦痛に対する損害賠償であるため、その他の実際にかかった費用(治療費や調査費用、弁護士費用)などについては、別途請求することが多くなっています。

慰謝料以外についても請求を検討しているのであれば、弁護士への相談を強くおすすめします。

なお、それぞれの費用については、基本的には証拠を提出して請求するのが一般的です。相手が支払うと言えば証拠を提出する必要まではありませんが、そうでない場合は最終的に裁判にまで発展する可能性があります。裁判では、証拠がない請求について認められることはほとんどありません。裁判を有利に進めるためにも、かかった費用が正確にわかる領収書などの証拠品については、しっかりと保管しておくよう心掛けてくださいね。

まとめ

慰謝料というのは、精神的苦痛に対する賠償金のことで、損害賠償金の1つです。その他にも、不倫の慰謝料を算定する際には、さまざまな事情が考慮されることになりますが、弁護士費用や探偵の調査費用、治療費や入通院費など、その他の損害賠償については別途請求するのが一般的です。

また、例外的に、すべての事情を考慮した上で慰謝料請求をすることもありますが、その際は「他の支払いは発生しない」という意味の「債権債務がないことを確認する」条項を含むケースがほとんどです。後になって請求できなくなってしまうおそれがあるため、慰謝料請求の際はその他の損害が発生していないか、しっかりと確認してから行うようにしてください。

といっても、専門知識のない方がすべての損害項目について網羅するのは簡単ではありません。
そこで、慰謝料以外の損害賠償について請求が可能かどうか、実際に裁判で認められそうか、等については弁護士に相談するようにしてくださいね。

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