浪費を原因に離婚したい方へ|離婚する方法やポイントを解説!

浪費が原因で離婚はできる?

「夫(妻)の浪費が酷くて、将来が不安…」

このままこの人と一生を共にして大丈夫なのだろうか?と、頭を悩ませてはいませんか?
浪費が原因で離婚を考える場合、貯金の配分やこれから先の生活費についてなど、金銭面の心配が多く、なかなか離婚に踏み出せない方も多いと思います。

浪費癖というものはなかなか直るものではありません。

離婚を悩んでいるうちに借金を抱えてしまった…などの更に悪化した状況になるかもしれないため、今のうちに離婚についての知識を深め、真剣に考え始めましょう。

そこで、今回は浪費によって離婚ができるのかどうかを始めとして、金銭面のお悩みを解決するための対処法についてもご紹介しますので、是非参考にしながらお読みください。

浪費で離婚することは可能!

結論から言いますと、浪費を原因に離婚をすることは可能です。
実際に、令和2年度の離婚動機を見てみると、離婚に至った夫婦の10%が浪費を理由に離婚していることがわかります。

ただし、「浪費する」といっても、「生活はできるが、貯金ができない」という場合もあれば、「多額の借金を抱えている」という場合もありますよね。この場合、貯金ができない場合よりも借金を抱えている場合の方が離婚は成立しやすいと言えます。

このように、ご家庭によって浪費の状況は様々であるため、状況によって離婚のしやすさに差があります。
浪費のレベルを表にまとめましたので、ご自分がどのレベルに値するかを確認し、適した離婚方法を探っていきましょう。

【浪費のレベル】
重度 生活ができない
多額の借金を抱えている
借金を滞納している
中度 生活はできるが、借金を抱えている
借金はないが、生活ができない
軽度 生活はできるが、貯金ができない

参考:司法統計「令和2年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」

https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf

離婚を切り出す前に準備すべきこと

浪費を原因に離婚ができるとわかっても、すぐに離婚を切り出してはいけません。
離婚後にも浪費による問題に悩まされ続けてしまうことがないように、離婚を切り出す前に事前に準備すべきことがあります。

これから紹介することをしっかりと行い、損をすることがない離婚を目指しましょう。

浪費の証拠を集める

浪費をしていたとわかる証拠を集めましょう

どのような方でも、浪費の証拠をできる限り集めておきましょう。
離婚をするにしても、慰謝料請求をするにしても、証拠が必要になるからです。
浪費の証拠には、以下のようなものがあります。

【浪費の証拠】

  • いくら浪費をしたかわかるもの(現物、レシート、領収書、明細やネットの履歴など)
  • 現在の家庭の金銭状況がわかるもの(預金残高、月々の請求など)
  • 借金の有無や借用書
  • ローンの有無や契約書、残債など

借金やローンがないか確認する

あなたに隠しているだけで、実は借金やローンが残っていたり、高価なものを分割払いで購入している可能性があります。必ず、本当に借金やローンはないのかを確認しましょう。

離婚前に確認しておくことで、次のような事態を回避することができます。

  • 借金はないと思って離婚したが、実はあり、慰謝料や養育費の支払いが滞った
  • 知らないうちに借金の保証人になっており、離婚後、身に覚えのない請求がきた
  • 本当であればもっと財産分与の取り分が多くなるはずだった

配偶者には借金を返済する義務はありません。

◎配偶者の借金に原則として返済義務はない

配偶者が借金を抱えていた場合、「離婚ができたとしても自分が借金返済する必要があるのではないか」と心配ですよね。実は、配偶者の借金は、原則としてあなたが支払う必要はありません。
ただし、あなたが保証人になっていた場合には返済義務が発生する可能性があります。特に、日常生活の費用として借金をしていた場合や、住宅ローンなどは返済義務が発生します。契約書を確認し、今一度あなたにも支払い義務があるのかどうかを確認してください。
※知らず知らずのうちに勝手に保証人にされていた場合には、借金を支払う必要はありません。問題が生じた場合には、弁護士に相談して適切な対応を行ってください。

離婚後のために貯金や引っ越しの準備をする

離婚をするということは、新しい生活が始まるということです。新しい生活を始めるには、引っ越し代や初期費用、家具家電など、お金が必要になりますよね。浪費によって貯金がないという方もいらっしゃると思いますので、離婚を決めたらまずはお金の確保から始めましょう。配偶者にお金を使われてしまわないように隠しておいたり、主婦であればパートを始めるという選択肢もあります。

また、物件を探したり、子供がいる場合には転校についても考える必要があります。 離婚の手続きと同時に行うことは困難であるため、ある程度どのようにしたいか決めておいて、準備が整ってから離婚へと動き出すことをおすすめします。

浪費を原因に離婚する方法

事前準備が整ったら、いよいよ離婚を切り出します。
浪費を原因に離婚することは可能だとわかりましたが、どのような方法で離婚ができるのでしょうか?
前述した表【浪費レベル】の程度それぞれに適した離婚方法がありますので、ご紹介します。

まずは話し合いでの離婚を目指す

どんな浪費レベルの方でも、まずは話し合い(協議離婚)での離婚を目指しましょう。
話し合いで離婚が成立できれば、離婚届を提出するだけで済むため、原因に関係なく離婚をすることができるからです。

また、軽度の浪費である方は、特に力を入れてください。
軽度の浪費は、調停や裁判では「浪費に値しない」と判断されてしまい、離婚が認められない可能性も考えられます。そのため、できるだけ夫婦間での話し合いで離婚を成立させてしまうことが、離婚するならば最も確実な方法と言えます。

話し合う内容は「離婚をするかどうか」だけではありません。
財産分与や慰謝料、子供がいる場合には親権や養育費などについても話し合い、決定する必要があります。

浪費癖がある人の場合、離婚後も浪費をやめられず、途中で慰謝料や養育費を支払ってもらえなくなってしまう可能性がありますので、話し合いで決まったことについては示談書や誓約書を作成し、形に残しておきましょう。

話し合いで揉めてしまい、なかなか進展しないという場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

調停や裁判で離婚する

話し合いでの離婚が成立しない場合、調停や裁判で話し合っていくことになります。
浪費の状況や証拠の提示、話し合いなどを基に、裁判官が離婚の成立・不成立を判断します。

浪費レベルが中度~重度の方は、調停や裁判などのような法的な離婚方法の方が適している場合があります。
話し合いが長引いている場合には、調停員や裁判官の判断で離婚が成立する可能性が高まりますし、借金についても併せて確認や相談することができます。

他の離婚原因で離婚する

軽度の浪費は、前述したように調停や裁判では離婚が認められない可能性があります。そのような場合、他にも離婚の原因となり得ることがないか今一度確認してみましょう。

例として、以下のようなものがあります。

  • 家事や育児を放棄して外で浪費していないか
  • 借金はないと思っていたが、隠れて借金をしていないか
  • お金を不倫に使っている可能性はないか
  • 浪費が原因で、あなたがうつ病などを発症していないか
  • 配偶者にモラハラ気質なところはないか
  • 暴力を振るわれることはないか

小さな事情でも、浪費に加えて相手の非を示すことができれば、離婚が認められる可能性が高まります。

別居をし、離婚を目指す

どの方法でも離婚が難しいという場合は、別居を経て離婚を目指します。
また、浪費に悩まされている場合、離婚を決断した時点で別居を始めてもよいでしょう。
理由としては、以下のようなメリットがあるからです。

  • 主に5年以上の別居で、離婚が認められやすくなる
  • 家計を別にすることで、相手の浪費に影響を受けずに済む
  • ストレスから解放される
  • 離れることで、相手が離婚を受け入れてくれる可能性がある

浪費だけが原因で慰謝料請求をすることは難しい

浪費に対して慰謝料請求をすることは、正直に申し上げると難しいです。

浪費癖はすぐに改善するものではないため、分割払いにしたとしても離婚後に支払い続けてくれる確証が持てませんし、そもそも貯金のない人には支払いを期待できませんよね。また、法的にも「浪費をしていた」ことは離婚や慰謝料請求をするほどの理由にはならないこともあり、難しいとされています。

しかし、自分だけ損をしたまま離婚をして、相手は何の不利も背負わずに過ごしていくことになるというのは納得ができません。そこで、慰謝料請求が難しい場合の対処法をご紹介します。

他にも離婚原因があれば請求できる可能性がある

浪費に対して慰謝料請求をすることができなかったとしても、他の非に対してであれば慰謝料請求ができる可能性があります。「他の離婚原因で離婚する」でご紹介したような、家事と育児の放棄、DVやモラハラなどがないか、考えてみましょう。

義父母に支払ってもらう

浪費した本人に支払い能力がないならば、義父母に支払ってもらう方向で話し合いを進めてみましょう。
「バレたくないから」と断ってくるかもしれませんが、今後のあなたの生活の方が大事ですので、強気な態度で交渉しましょう。
また、子供がいる場合には養育費などについても支払ってもらえそうかどうか、確認しましょう。

◎支払うと決まったら書類の作成を!

慰謝料請求や示談では、支払うと言ったものの後々支払いが滞るというのがよくあります。
よって、必ず公正証書などを作成しておきましょう。
法的なものであるため、弁護士に相談し、正式な書類を作成してもらうことをおすすめします。

財産分与の割合で調整する

どの方法でも請求することが難しかった場合、離婚の際の財産分与の取り分をこちらの方が多くなるように交渉しましょう。

今までいくら浪費してきたか、ローンがいくら残っているかによって、取り分を決定します。この際、弁護士に相談することで、あなたの取り分が多くなるように交渉してくれる他、状況に合わせて、どの程度の取り分が良いのかなどを判断してくれます。

まとめ

浪費を原因に離婚することは可能です。
ただし、浪費の状況は人によって様々であり、軽度の浪費であればあるほど離婚はしづらく、重度の浪費であればあるほど離婚はしやすいといえます。 よって、できるだけ協議離婚での離婚を目指しましょう。

浪費に対して慰謝料請求をすることは基本的に難しいです。
浪費癖のある人に請求したとしても、支払いが期待できないので、離婚時の財産分与の取り分で調整しましょう。

離婚や慰謝料請求で困ったときや心配な場合、弁護士に相談しましょう。
浪費の状況によって借金やローンについても考慮する必要がある場合もあります。
夫婦間だけで決めてしまっては、あなたが損をしてしまう可能性もあるため、プロである弁護士に相談してあなたが不利のない離婚ができるようにしましょう。

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