不倫の証拠を夫・妻に提示すべきタイミングとは?

不倫の証拠を掴んだものの、「どのタイミングで相手に提示すれば効果的になのかわからない…」、といったお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

掴んだ証拠がどの程度の証拠力があるのかによっても、現実の対応は異なってきますが、中途半端に証拠を出したところで、「言い逃れされてしまうのでは?」と感じるのは無理もありません。また、最悪のケースでは、せっかく掴んだ証拠を破棄されてしまう恐れもあります。それだけ、相手に不倫の証拠を提示するというのはリスクがあるのです。

では、不倫の証拠はどのタイミングで提示すべきなのでしょうか?今回は、不倫の証拠を出すタイミングと、掴んだ証拠をより有効に使うための方法について解説していきます。

不倫の証拠は最後まで隠し持つべし!相手に提示してはダメ

不倫の証拠というのは、基本的には相手に提示するものではありません。
なぜなら、不倫の証拠は「慰謝料請求」や「離婚」といった本来の目的を達成するための、いわば切り札です。仮に、本来の目的を達成できる見込みのない段階で証拠を提示してしまえば、相手に隠ぺいや言い逃れの猶予を与えることになり、下手をすれば証拠が意味をなさなくなる危険があります。

よって、不倫の証拠というのは原則、相手に提示することはせず、証拠を持っているという事実だけを相手に伝えましょう。こうすることで、証拠は本来の目的を達成させるための切り札になってくれます。相手はどんな証拠を持っているのか不安に感じ、「いっそ不倫を認めたほうが…」といった心理状態に誘導することもできます。

ただし、後述するように、相手にあえて不倫の証拠を提示することでより効果的になる場面も存在します。その前に、次章で不倫の証拠を安易に提示してしまったばっかりに起きてしまった3つの失敗ケースについて紹介しましょう。

不倫の証拠を出して失敗。取り返しがつかなくなるケース

証拠を隠蔽されたケース

配偶者のスマホから浮気相手とのメッセージのやり取りや、ツーショット写真を見つけた場合、いつでも消去される恐れのある相手のスマホではなく、自身のスマホの写真機能を使って証拠を保存するのが効果的です。

しかし、不倫の証拠を掴んだとばかりに相手に提示したところ、スマホを取り上げられてデータを削除されてしまったり、スマホそのものを壊されたりしてしまえば、せっかく入手した証拠が水の泡です。もちろん、相手は自分のスマホのデータは自分で消すでしょうし、何一つ証拠が手元に残らなくなってしまいます。

言い逃れされたケース

浮気の証拠を見せることで、配偶者に浮気を認めさせることに成功しました。しかし、後日、慰謝料額の交渉の場で、突如「不倫などしていない」と主張されます。再び証拠を見せたところ、証拠の矛盾をつかれるなど、結果として言い逃れをされてしまいました。法的にも有効である完璧な不倫の証拠というのは、なかなか入手できるものではないため、中途半端な証拠を提示し、時間の猶予を与えることで容易に言い逃れされてしまいます。

配偶者が出て行ってしまったケース

本来の目的が復縁にある場合、不倫の証拠をつきつけたことで配偶者が開き直って、家から出てしまうといった事態も想定されます。不倫の事実だけは証明できたものの、本来の目的は達成できず、そのまま離婚となってしまうケースもめずらしくはありません。

相手に証拠を出すべき唯一のタイミングは「より強力な証拠を手に入れたとき」

不倫の証拠というのは、上述したとおり基本的には相手に出すものではありません。
しかし、有力と言える証拠を手に入れた際は、戦略的にしっかりとした手順で提示することで、本来の目的をスムーズに達成するための、より強力な証拠を手に入れることが可能な場合があります。具体的には以下のような手順で、より強力な証拠を入手しましょう。

相手との話し合いの場でボイスレコーダーやカメラをセットし録音・録画

まずは、相手との話し合いの場でボイスレコーダーやカメラをセットし、録音・録画の準備をしましょう。相手に伝えずに話し合いを録音・録画する行為は、基本的に違法になることはありません。もちろん、相手の同意を取って録音・録画をするに越したことはないですが、難しい場合は秘して録音・録画しましょう。

浮気を問いただし、否定や言い訳、嘘をつくように会話をリードする

話し合いの場では、こちらがなんの証拠も持っていないかのように振る舞い、その上でその日の行動などについて問いただし、相手が嘘をつくように会話をリードしましょう。
たとえば、相手が1日の行動を説明している際、あえてなんの指摘もせずにそのまま発言を続けさせることで、後に証拠を提示する際の嘘がどんどん増えていくことになります。

相手が嘘の主張をしたところで、それを覆す証拠を提示する

相手が嘘をつき、不倫を明確に否定したところで、それを覆す証拠を提示しましょう。そうすることで、相手は自身の嘘を認めざるを得なくなります。
たとえば、「この日は会社の打ち上げだった」といった主張をしたところで、「二人で飲みにいったことがわかる領収書」を提示することで、発言の矛盾を指摘することができます。
その後、これは「会社の後輩と行っただけ」といった主張をされたタイミングで、「異性と二人で店に入る写真」を提示すれば、相手の嘘はもはや明確となります。

言い逃れできない相手は不倫の事実を認め、自白や謝罪をする

言い逃れができなくなった相手は、不倫の事実を認めるしかありません。
自白や謝罪をされれば、それがそのままさらに強力な証拠となってくれますし、自身の本来の目的を達成させる上で、もっとも強力な武器となってくれます。
もし可能であれば、自白や謝罪だけでなく、不倫の事実を認める書面も作成しておくと良いでしょう。書面に記名捺印したという事実は、相手にプレッシャーとして大きくのしかかってきます。その後の慰謝料額や離婚条件についての話し合いの際、非常に有効です。

もし、不倫の自白が取れなくても裁判では相手の嘘を裏付ける証拠になる

もし、それでも相手が不倫を否定し、自白が取れなかったとしても、裁判では録音・録画データとの矛盾が、相手の嘘を裏付ける証拠になってくれます。まず間違いなく有利に裁判を進めることができるので、ここまでくれば安心して大丈夫です。
また、その日のうちに自白が取れなかったとしても、ここまで追い詰めていれば言い逃れは困難と冷静になると感じるものです。となれば、裁判にまで発展せずとも、慰謝料や離婚といった本来の目的を達成するのはもう間もなくと言えるでしょう。

段階別!相手に提示する不倫の証拠一覧

では、より強力な証拠が欲しい際に使える、有力な証拠についてもご紹介します。
以下の証拠を入手することで、前章で解説した手順を実行するための武器になります。

不倫の事実が疑わしい段階

まだ不倫をしているかどうか疑わしい段階で、不倫の事実を確かめたい場合は、以下のような証拠が有効です。

・親密な様子がわかるメールやSNS等のやりとり
相手との親密な様子がわかるメールやSNS等のやりとりは、相手からより強力な証拠を引き出す上で有効に使うことができます。

・デート費用やプレゼントといった領収書、クレジットカードの明細書
明らかにデートに行っていたり、プレゼントをしていたりといった領収書、クレジットカードの明細書というのは、「これはなに?」と提示するだけで、相手の嘘を引き出す武器になってくれます。入手した際は、必ず手元に保管しておくようにしてください。
ただし、この段階ではいくらでも言い逃れされてしまう恐れがあるため、不倫の事実が疑わしいだけで行動に移すのは、あまり推奨することはできません。

不倫が確定している段階

すでに不倫が確定している段階であるものの、肉体関係があったことを証明できないといった場合は、以下のような証拠が有効です。

・肉体関係があったことが推測できるメッセージのやりとり
不倫相手とのメッセージの内容によっては、肉体関係が推測できるものもあります。こうした証拠は、肉体関係を裏付ける1つの有効な証拠となるばかりか、相手からの自白を引き出す武器にもなってくれます。

・ラブホテル近辺にいたことがわかるGPSによる追跡やICカードの履歴
相手の行動と発言の矛盾を裏付ける証拠となってくれる、GPSによる追跡やICカードの履歴は非常に有効な証拠となってくれます。
とはいえ、この段階でも本来の目的が慰謝料であるのであれば、まだ行動に移すのは早いといえます。なぜなら、慰謝料を請求するためには肉体関係が確実にあった証拠が必要です。相手に言い逃れされるリスクがある以上、行動に移すにしても慎重に判断しましょう。

なお、GPSによる追跡は、いくら夫婦といえどもグレーな部分があるため、知識を身に着けた上、もしくは探偵といった専門家の立ち合いのもとで行いましょう。

相手と交渉する段階

不倫による肉体関係が長期間・複数回に及ぶ悪質なものであった場合や、慰謝料の金額や離婚の条件など、相手と具体的な交渉に及ぶ場合に有効な証拠は以下のとおりです。

・ホテルに出入りするところが移った写真
ホテルに出入りするところが移った写真は、肉体関係を裏付ける強力な証拠である上に、法的にも有効となっていますので、裁判においてもそのまま提出することができます。相手も言い逃れは困難と観念するしかありません。もし、仮に反論してきたとしても、相手の発言の信ぴょう性を著しく下げてくれるため、非常に強力な証拠です。

・探偵の調査報告書
探偵の調査が入った事実を知ったというだけで、相手はこれまでの行動を振り返らざるを得なくなります。その中で、少しでも不注意な行動があったとしたら、すでに探偵の調査報告書に不倫の事実はまとめられていると想像するしかありません。
また、探偵の調査報告書も、そのまま裁判に提出できる強力な証拠です。たとえ、相手の自白や謝罪を得られなかったとしても、間違いなくあなたの助けになってくれる証拠です。

証拠を使った難しい交渉はプロに任せてしまうのも手!

証拠を使った難しい交渉は、いっそのことプロに任せてしまうのも良い方法です。
交渉のプロである弁護士であれば、あなたが持っている証拠の有効性だけでなく、それぞれの証拠をどのタイミングで提示すべきか、的確なタイミングを知っています。

証拠を使って相手と交渉するというのは、一般の方にとって非常に難しいことです。交渉の技術はもちろん、相手の心理を見抜く話術といったスキルも必要となってくるため、どうしても不安な場合は、すべて弁護士に任せてしまうというのも良い選択肢と言えるでしょう。

まとめ

不倫の証拠というのは、本来の目的に直結するための重要な武器です。あなたの希望する慰謝料額や離婚条件などに深く関わってくることからも、証拠は戦略的に使うべきです。
安易に相手に証拠を提示してしまうと、時間の猶予を与えてしまったり、外で知恵をつけたりなどして、言い逃れをする隙を作ってしまうので注意してくださいね。証拠というのは、ここぞというときのためにとっておき、話し合いに臨むのが良いでしょう。
とはいえ、どうしても不安に感じるという方は、弁護士に相談するのがもっともおすすめです。弁護士であれば、あなたの代わりに交渉の席についてくれますし、証拠を提示するタイミング、相手の言質を引き出す技術について熟知しています。

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