【親権の決め方】子供の幸せのために考慮すべきポイントを解説!

未成年の子供(18歳未満)がいる場合、離婚する際には夫婦のどちらが親権を持つかを決めなければいけません。言い換えると、親権をどちらにするかが決まらないうちは離婚ができないということになります。

これまで成長を見守ってきた可愛い我が子を近くで見られなくなるなんて、考えたくもありませんよね。この気持ちは互いになかなか譲ることができないものであり、親権争いが裁判にまで発展することも少なくありません。

今回は親権について、お互いが納得したうえで子供にとって最良な選択ができるように、親権獲得までの流れと親権を決定する際に考慮すべきことを弁護士がご紹介します。

親権は子供の幸せを最優先に考えよう!


親権を決める際に考慮すべきことには「子供の面倒をどのくらい見てきたか」「これから子供の面倒をどのくらい見ていけるか」など様々ありますが、そのどれもが「子供の幸せのため」に考慮すべきものです。どれだけ子供と一緒に暮らしたいと思っていたとしても、親側の事情だけで決めてしまうなどの身勝手な判断はしないよう意識しましょう。

これから親権を決めるという方は「どの選択が子供にとって1番良い選択か」ということを常に頭に入れながら進めてください。

親権獲得までの流れ

夫婦間での話し合い(協議)>調停での話し合い>裁判での話し合い

親権を決める場合、まずは夫婦間での話し合い(協議)を行います。夫婦間での話し合いで決めることができない場合、次のステップである調停や裁判へと進んでいきます。
正直、調停や裁判まで発展してしまうと膨大な時間とお金がかかってしまいますので、できるだけ夫婦間での話し合いで決めたいです。

話し合いで早く円満に解決するためには、常にお互いが冷静に話し合えるようにすることが大切です。特に離婚を控えているということは、財産分与や年金など親権以外についても話し合わなければいけない状況が考えられますので、以下のような対策を行うことをおすすめします。

・同居の場合、日常生活と話し合いの時間を切り分ける
・人目につく場所で話し合う
・前もって話したいことを考え、まとめておく

調停や裁判に進むと、裁判官が様々な観点から父母どちらが親権を持つべきかを決定します。
それではどのようなことに考慮すべきなのでしょうか?ご紹介します。

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親権を決める際、考慮すべき4つのこと


ここでは、主に裁判所で裁判官が親権を決める際に判断基準とすることについてご紹介します。
しかし、裁判所に限らず、夫婦間での話し合いで親権を決める際にも役立ちますので、是非参考にしてください。

ポイント(1)母親が有利になりやすい

親権の獲得においては、やはり母親が有利になりやすいです。
「子供には母親(の役割を持つ者)からのきめ細やかな愛情が不可欠」とする考えがあり、もっとも、この原則は、近年裁判所ではあまり重視されていないと言われています。

しかし、実際に政府統計の2020年のデータを見ると、子供が1人の場合、母親が親権を獲得した割合は約87%でした。同時に、父親が親権を獲得した割合は約13%と低く、父親が親権を獲得することが難しいということもわかります。

2020年の親権獲得の割合(子供1人の場合)の円グラフ

参考:「親権を行う子をもつ夫妻の親権を行う子の数・親権者(夫-妻)別にみた年次別離婚件数及び百分率」

母親が有利になりやすい理由は、以下の事項が重視されているからといわれます。

・子供と一緒に過ごす時間が長い
・乳幼児の場合、授乳などの問題がある
・子供が母親を選ぶことが多い

・子供と一緒に過ごす時間が長い

これまで子供と過ごした時間が長いことは、養育実績になります。
母親には専業主婦が多いことや仕事などの事情から子供と過ごす時間が長いため、有利になりやすいです。

・乳幼児の場合、授乳などの問題がある

子供が乳幼児である場合、授乳をしなければいけないなどの理由から母親が有利になりやすいです。
また、年齢が小さければ小さいほど、特別な事情(DVやモラハラ、子供への悪影響など)がない限りは母親が親権を持つことが優先されます。

妊娠中に離婚する場合も、原則として母親が親権を持ちます。

・子供が母親を選ぶことが多い

これまで一緒に過ごした時間が長いことから、子供自身が母親と暮らすことを望む場合が多いです。
親権は子供の幸せを優先して決めるべきものですので、子供が母親と暮らすことを望んでいる場合、母親が有利になりやすいです。

ポイント(2)生活環境が維持できそうかどうか

子供にとって生活環境を維持できる方が良いという考えがあり、これを「継続性の原則」と言います。
例えば、著しく生活水準が下がる、再婚によって再婚相手との同居が始まる、など子供にとってストレスになってしまう可能性がある場合、現在の生活環境を維持して子供が安心して暮らすことができる方が親権を獲得しやすいです。

また、別居している場合、子供が現在一緒に暮らしている方とそのまま暮らした方が良いという考えになりやすいです。

ポイント(3)子供がどちらと暮らしたいかどうか

親権は子供の幸せが第一であり、親側の事情だけでなく子供の意思も尊重されるべきです。
子供が「どちらかと暮らしたい」と主張した場合、年齢にもよりますが、基本的には子供の意思が尊重されます。

また、子供が15歳以上である場合は、必ず子供の意思も聞かなければいけないと定められています(家事事件手続法169条2項)。

更に、2022年6月に成年年齢が18歳に引き上げられました。
これにより、親権は18歳の誕生日で消滅します。

離婚を考えているが、子供がもう少しで15歳または18歳になるという場合、そのタイミングを待ち、子供の意思を尊重することも視野に入れましょう。

ポイント(4)兄弟姉妹が一緒に暮らせるかどうか

兄弟姉妹は離れ離れに暮らすのではなく、一緒に暮らした方が良いという考えがあり、これを「兄弟姉妹不分離の原則」と言います。つまり、兄弟姉妹全員の親権を持てる環境や財力がある方が有利になりやすいです。

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親権獲得の可能性を高めるためにできること


ここまでで、あなたが親権を獲得するにあたってどんな部分が有利でありどんな部分が不利であるかが見えてきたのではないでしょうか?親権獲得の可能性を高めるためには、まずは自身のアピールポイントとマイナスポイントを理解することが大切です。

自分が不利な部分を改善する

まずは親権獲得において、あなたが不利な部分を改善しましょう。
不利になりやすい要素には、主に以下があります。

【不利になりやすい要素と改善例】
・専業主婦または無職である
 >職を見つける
・仕事が忙しく、子供の面倒を見る時間がない
 >時間に余裕のある職場に転職する、祖父母に見てもらう
・育児や家事に自信がない
 >1人でもできるようにする
・再婚の予定がある
 >子供と再婚相手の関係が良好である

・離婚原因や経済面で不利になることはない

夫婦の問題と親権(親子の問題)は切り離して考えるべきとされているため、離婚の原因や経済力が直接的に親権に影響するわけではありません。

例えば、母親の不倫が離婚の原因だったとしても親権に直接的には影響しません。母親が育児において何の問題もなく子供との関係も良好であれば、母親が親権を獲得できる可能性は大いにあります。

また、専業主婦や無職であっても親権に直接的には影響しません。離婚までに仕事を見つければ良いですし、養育費を請求することもできます。更に、母子家庭には様々な手当てがあります。

いずれの場合も子供の幸せを最優先に考えるべきであることから、DVや浪費癖・心身的な不調などのように子供に悪影響のある原因がない限り、親権において不利になることはありません。

子供に悪影響な原因が相手に見られる場合、証拠を集める

子供にとって悪影響な原因が相手にある場合には、相手の非を証明するためにも証拠を集めましょう。
例をあげますと、DVやモラハラがある場合には録音や周囲の証言、浪費癖がある場合には領収書やレシート、浮気を繰り返すという場合には浮気していることがわかるLINEのやりとりなど、相手の非を証明できるものを集めましょう。

証拠を集めることであなたの親権獲得の可能性を高めるだけでなく、子供の未来を守ることもできます。

別居する場合、子供も連れて行く

離婚や親権について争っている間、別居を選択する夫婦は多いですが、親権を獲得したいのであれば必ず子供も連れて行き、一緒に暮らしてください。別居中に子供と一緒に暮らしたことは監護実績となり、あなたが子育てに積極的であることの証明になるからです。

ただし、DVやモラハラなどにより身の危険がある場合を除き、連絡もなしに突然子供を連れ出してしまうことは避けてください。無断で連れ出すことは身勝手な連れ去り行為とみなされて、離婚や親権争いにおいて不利になってしまう可能性があります。

様々な事情で仕方なく子供を連れて出るという場合には、最低でも一報を入れるか置手紙を置くなどの対処をしましょう。不安な場合は弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談する

親権を獲得できるかどうかが不安な場合、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、あなたの立場ならどうするべきかをアドバイスしてくれる他、書類などの手続きも代わりに行ってくれるため、時間と心に余裕が生まれます。

また、親権争いが長引いてしまいそうな場合には弁護士に相談することで早く解決することが見込めます。
裁判まで発展してしまったとしてもあなたの状況を把握していることでスムーズに対処することができますし、強い味方となってくれます。

まとめ

親権は子供の幸せを最優先に、様々な要素を考慮して決定します。
様々な要素とは、主に以下です。

・子供の面倒をどのくらい見てきたか
・これから子供の面倒をどのくらい見ていけるか
・子供がどちらと暮らしたいか
・子供の年齢はどうか
・現在の生活環境を保てそうか
・兄弟姉妹全員分の親権を持てそうか
・子供にとって悪影響なことがないか

親権獲得のためには、不利な点をできるだけ改善し、あなたが子供と暮らすことでどのような利益があるかをアピールできるようにしましょう。

また、たとえ親権を獲得できなかったとしても、あなたが親であることには変わりありません。
一生会えなくなることはありませんし、近くで成長を見守ることは難しくなるとしても、これからもあなたが育児に参加していくこともできます。
どうしても一緒に暮らしたいからといって無理な行動はせず、子供の幸せを最優先に、あなたが置かれている状況でできることと一番良い選択を行っていきましょう。

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