プラトニック不倫とは?肉体関係がなくても慰謝料を獲得できる3つのケース

肉体関係がない不倫のことをプラトニック不倫と言いますが、肉体関係がないと、慰謝料を請求しても支払いは認められないケースが多いです。

ただし、「絶対に慰謝料請求できない」というわけでもなく、プラトニック不倫によって婚姻関係が破綻したことを証明できる場合や、配偶者や不倫相手が支払いに同意した場合は慰謝料請求が認められることもあります。

このページでは、プラトニック不倫で慰謝料の請求をしたい方に向けて、慰謝料請求が認められるケースや、慰謝料請求を進めるポイントを弁護士法人AOの弁護士がご説明します。

プラトニック不倫とは、肉体関係を伴わない不倫のこと


一般的に、プラトニック不倫とは、既婚者が配偶者以外の人と、肉体関係がない恋愛関係にあることを言います。
「肉体関係を持たないこと」が通常の不倫との大きな違いです。しかし、既婚者が他の異性と親密な関係にあるなら、不倫に違いはないのでは?と思うかもしれません。

しかし、不倫の慰謝料請求をする場合、通常の不倫とプラトニック不倫では大きく異なります。なぜなら、プラトニックな関係は、不倫であっても「不貞行為」には当てはまらないからです。
どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

プラトニック不倫は原則として「不貞行為」にはならない

結論からお伝えすると、プラトニック不倫は原則として「不貞行為」には当たりません。
なぜなら、「不貞行為」は、不倫相手と性的関係を持つことを言うからです。

そのため、例えば二人きりで何度も食事をしていたとしても、キスやハグをしていたとしても、性行為がなければ不貞があったとは言えないのです。

裁判でプラトニック不倫を「不貞行為」と認めてもらうのは、とても難易度が高い

プラトニックな関係は、原則として不貞行為に当たらないため、不貞行為の慰謝料を請求しても、認めてもらえない可能性が高くなります。

プラトニックな恋愛は精神的な面が強く、その気持ちに対して法律が介入することはとても難しいからです。後述しますが、実際に似たケースでも裁判によって判断が分かれることがあり、画一的な判断基準はありません。

また、プラトニック不倫は通常の不倫よりも証拠を揃えづらく、不倫関係を証明することが難しいのも、裁判で認めてもらう難易度が高くなる要因の一つです。
例えば、頻繁に二人きりで食事をしたりデートをしたりしていることが分かっても、その行為が、恋愛感情があってそうしているのか、それとも昔から仲が良く、あなたと出会う前から頻繁に遊ぶ仲だったのか、といった事情や背景は第三者から見たらまったく見分けがつかず、判断ができません。

こう言った理由から、プラトニック不倫の慰謝料請求は、難易度が高くなるのです。

プラトニック不倫でも慰謝料を獲得できるケースはある!

しかし、肉体関係がなければどうあっても慰謝料を獲得できないということではありません。不倫の内容によっては、不貞行為にあたるとみなされることも十分にあります。
ですので、不倫を疑ったとき、相手の言い分で「プラトニックな関係だから不倫ではない」と言われたとしても、相手の言葉を鵜呑みにして、諦めてはいけません。
たしかに、肉体関係がないプラトニック不倫で慰謝料請求を行う場合、交渉、裁判のどちら手段でも慰謝料の支払いが認められるケースは少ないのは事実です。

そのため、弁護士の中にはプラトニック不倫での慰謝料請求の相談を受けた際に、交渉や裁判を行うことをおすすめしない人もいます。
慰謝料請求しても認められず、請求をした方の弁護士費用や裁判費用の負担だけが発生する結果になる可能性が高いからです。

ですが、不倫の慰謝料というのはそもそも、パートナーの不倫によって、夫婦関係が破綻させられたことに対して請求するものです。実際に裁判でも肉体関係がない不倫の慰謝料が認められた例は実際にあります。肉体関係がなかったとしても、慰謝料が認められる可能性はあるのです。

次の章では、実際に裁判で慰謝料が認められた事例を交えながら、プラトニック不倫でも慰謝料が獲得できる可能性のあるケースにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

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裁判例から見る、プラトニック不倫でも慰謝料が認められた3つのケース

まずプラトニック不倫で慰謝料を獲得するには、客観的にみて「不倫によって夫婦関係が破綻した」と判断できる状況であることが大前提です。
これは、通常の不倫でも同様ですが、不倫の慰謝料は、パートナーの不倫によって夫婦関係が破綻してしまった場合や、不倫された側が精神的なダメージを受けたことに対して支払われる賠償金です。

次のようなケースでは、裁判で慰謝料が認められた事例があり、プラトニック不倫であっても慰謝料を獲得できる可能性が高くなります。

●高額なプレゼントを送りあったり、旅行したりしている
●「大好き」「会いたい」や「次はいつ会える?」といった内容のメールのやり取りをしている
●不倫相手と結婚したいから離婚をしてほしいと要求された

これらはどれも、肉体関係があったとまでは判断できないものの、夫婦関係を破綻させたとして慰謝料が認められています。ここからは具体的に、それぞれのケースでどんな行動があったのかを見ていきましょう。

ケース1:高額なプレゼントを送りあったり、旅行したりしている

肉体関係を証明するまでには至っていなくても、高額なプレゼントを送りあったり、二人きりで旅行に行くなどしている場合、夫婦関係を乱す要因になるとして、慰謝料が認められた事例があります。

東京地裁H15.03.25判決
お互いに数万円のプレゼントを送りあったり、ふたりで一緒に旅行に行ったりしていたことについて、肉体関係があったことがはっきりとわかるほどの証拠はなかったものの「思慮分別の十分であるべき年齢及び社会的地位にある男女の交際としては、明らかに社会的妥当性の範囲で逸脱すると言わざるを得ず」と判断しています。
こういった行動を踏まえて、裁判所は「夫婦生活の平穏を害し原告に苦痛を与えたことは明白」だとして、慰謝料を認めました。

貴金属品やハイブランドのものなど、知人同士で送りあうプレゼントとしてはやりすぎだと思われるものを購入していたり、二人きりで旅行をしたりしていることが発覚した場合、レシートや領収書は有力な証拠になり得ますので、画像を取っておくか、原本を保管しておくようにすると良いでしょう。

ケース2:「大好き」「会いたい」や、「次はいつ会える?」といった内容のメールのやり取りをしている

実際に肉体関係を持っていたと断定できなくても、肉体関係があったと思われても不思議ではないような内容や、「会いたい」「大好き」「ちゅっ」といった愛情表現、「今度の休みは会える?」など、あなたの知らないところで配偶者が不倫相手と合っていることがうかがえる内容のメールをやり取りしている場合、慰謝料が認められる可能性があります。
最近では、LINEなどのトークアプリやSNSのダイレクトメッセージなどでやり取りをしているケースが一般的でしょう。これらのやり取りを保存する場合、スクリーンショットではなく、相手のスマートフォンごと写るように画像にとっておくと、証拠としての有力度が増しますので、より慰謝料を獲得しやすくなります。

東京地裁H24.11.28判決
不倫をしていた二人のメールのやり取りについて裁判所は、性交渉の存在自体を直接推認するものではないとしながらも、不倫相手が配偶者に好意を抱いていること、知らないところで配偶者と不倫相手が会っていること、二人が身体的な接触を持っているような印象を与えることから、「これを原告が読んだ場合、原告らの婚姻生活の平穏を害するようなものというべきである」と判断し、慰謝料の支払いを認めています。

ケース3:不倫相手と結婚したいから離婚をしてほしいと要求された

配偶者があなたに「不倫相手と結婚をしたいから離婚をしてほしい」と要求をしてきた場合、慰謝料が認められる可能性があります。
紹介する裁判例では、不貞行為があったとは認められていませんが、不倫が「婚姻を継続し難い重大な事由」を発生させる原因になり、それが不法行為にあたるとして慰謝料が認められています。
また、離婚に応じるべきかどうかについては、基本的にあなたが決めることができます。不倫をしている側は有責配偶者といい、原則として離婚の要求は認められないからです。

慰謝料額は離婚をするか、夫婦関係を継続するかによって異なりますが、この裁判では、肉体関係は認められないとしながらも、250万円の高額な慰謝料を認めています。

東京地裁H20.12.05判決
配偶者と不倫相手が結婚を前提に交際し、キスをしたり、離婚を要求したりしたことは、離婚原因となる「「婚姻を継続し難い重大な事由」の発生に加担したと言うことができ、原告に対する不法行為を構成するというべき」だと判断し、肉体関係は認められないが不法行為にあたるとして、「慰謝料の支払いを認めました。

配偶者から離婚を要求された場合、まずは落ち着いて相手の話を聞きましょう。そしてその際は会話を録音しておくようにすると、証拠として残りますので、慰謝料請求をする際により有利に進めることができます。

プラトニック不倫 でより高額な慰謝料を獲得するための2つの方法

ここまでご紹介した通り、プラトニック不倫は法的には不貞行為にあたらないため、慰謝料獲得の難易度が高くなりますが、まったく慰謝料を払ってもらうことができないということではありません。

そして、より高い慰謝料を払ってもらうようにするには、2つの方法があります。まずは、「話し合いで解決すること」です。そしてもうひとつは「弁護士に依頼すること」です。それぞれ詳しくご紹介します。

話し合いで解決する

ここまでご説明してきたプラトニック不倫での慰謝料請求は、裁判した場合の話です。
ですが、実は、当事者間で話し合い、配偶者や不倫相手が罪悪感などから慰謝料の支払いを認めれば、肉体関係の有無・証拠の有無に関係なく慰謝料を受け取ることはできます。
しかも、慰謝料の金額も当事者の間で合意ができればいくらでも構いません。
慰謝料の支払いだけでなく、離婚の申し出も同様です。

プラトニック不倫の場合の通常の不倫と比較すると、慰謝料額は少なくなるのが一般的です。できる限り期待通りの金額をもらいたいと考えるなら、裁判せずに話し合いで解決できることが望ましいでしょう。
ただし、相手方が慰謝料の支払いに素直に応じてくれるケースは限られ、多くのケースでは「不倫に当たることはしていないし、慰謝料の支払いに応じない」と拒否されます。

相手が拒否しているのにしつこく慰謝料を求めると、相手が警戒心を強めるだけですし、口調が強くなると「脅された」など言われてしまいあなたが不利になってしまう可能性もあります。その場合は無理に進めようとせず、次に紹介する「弁護士に依頼する」など、違う方法を考えましょう。

弁護士へ依頼する

もう一つの方法は、弁護士へ依頼することです。
ただ感情に任せて相手を問い詰めても、不倫ではないと言われたり、慰謝料の支払を拒否されたりしたら、それ以上の追及ができなくなってしまいます。それだけでなく、実は不貞行為があった場合、その証拠を隠されてしまうなど、どんどんあなたが不利になってしまう可能性もあります。
またすでにご紹介している通り、プラトニック不倫の慰謝料請求は難易度が高く、裁判官ですら判断が分かれるほど難しい問題です。
そのため、プラトニック不倫の慰謝料請求は、証拠集めだけでなく、いかにして相手が不倫という重大な裏切りを犯してしまったことを認め、反省させるように諭していくのかがとても重要です。

弁護士は、裁判をする人というイメージがあるかもしれませんが、「相手と交渉をすること」のプロなのが弁護士です。
慰謝料を請求すること自体は、あなた自身でもすることができるのですが、より確実で、より高い慰謝料を獲得したいと考えるなら、交渉のプロである弁護士へ依頼することを強くお勧めします。

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プラトニック不倫での慰謝料請求を弁護士に依頼した方がいい理由


「慰謝料請求が認められる可能性があるならできる限りのことはしたい」という方は弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

ここまでご説明してきたように、プラトニック不倫の慰謝料請求は簡単なことではありませんので、相談できる相手がいた方が心強いです。
また、弁護士への相談をおすすめするのには以下の理由もあります。

当事者間での話し合いをすると証拠が掴みにくくなる

肉体関係がないため、当事者間の話し合いで慰謝料の支払いを求めても、拒否されることがほとんどです。
さらに、当事者間で話し合ったことで、配偶者や不倫相手はあなたのことを警戒するようになり、メッセージのやり取りや2人の写真といった証拠になり得るデータを、あなたに見られる前に削除することや、人に見られるような場所で2人きりで会わないようになることが考えられます。
その結果、証拠を入手できなくなり、慰謝料請求のハードルがさらに上がってしまうおそれがあります。

そのような状況になってから弁護士に相談しても、どうすることもできない可能性が高いです。
改善できない状況になる前に弁護士に相談し、戦略を練る方が良いでしょう。

弁護士であれば一人一人に合わせた戦略を立てることが可能

弁護士に相談することで、あなたのケースで慰謝料請求が認められる可能性や、どのような証拠を用意し、そのように請求していけば良いかといったアドバイスを受けることができます。

浮気・不倫・離婚トラブルに精通した弁護士であれば、数多くのご相談に対応してきた経験がありますので、状況をお伺いし、一人一人に合ったアドバイスをすることが可能です。
寄せられるご相談の中には、現在の状況では慰謝料請求が難しい場合もあり、そのような時に無理に請求を進めるよりも、少し様子を見続けた方が良いことをお伝えすることもあります。
「肉体関係はない」とウソをついているだけで、本当は肉体関係を持っている可能性がある時は、探偵に浮気調査を依頼してみることを進める場合もあるでしょう。
慰謝料請求が可能か不可能かといったことだけでなく、このような広い視野を持ってアドバイスをすることが可能です。
プラトニック不倫で慰謝料請求が認められることは簡単ではないからこそ、慰謝料トラブルに精通した弁護士に相談しながら進め、成功の可能性を一緒に探っていきましょう。

まとめ

肉体関係がないプラトニック不倫での慰謝料請求についてご説明しました。

・肉体関係がないと、慰謝料請求は認められないことが多い
・長く続いていて婚姻関係が破綻した場合はプラトニック不倫で慰謝料が認められることも
・配偶者や不倫相手が認めれば、肉体関係がなくても慰謝料請求は可能
・慰謝料トラブルに詳しい弁護士に相談して行うのがおすすめ

不倫が発覚した際、婚姻関係が修復できる状態で、あなたもそれを望んでいるなら、慰謝料請求にこだわるよりも婚姻関係の修復を大切にした方が良い可能性があります。
一方で、婚姻関係が修復できない状態であるなら、慰謝料を請求することにこだわるのも、あなたが受けた精神的苦痛に対する対応として正しい方法でしょう。
プラトニック不倫は、肉体関係が明らかな場合と比べてとても難しい交渉となりますので、信頼できる弁護士に相談しながら慰謝料請求を行いましょう。
弁護士法人AOでは、浮気・不倫・離婚に関する相談に対応しており、プラトニック不倫でのご相談も可能です。
依頼するまで費用は無料ですので、一人で悩まず当事務所までお気軽にご相談ください。

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