B型肝炎の基礎知識

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B型肝炎とは

肝臓は体で一番大きな臓器です。

代謝貯蔵解毒胆汁の生成などたくさんの大事な働きをもっています。

機能が低下しても再生能力が高いので重い病気になるまで気づかないことも多く「沈黙の臓器」と言われています。

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液を介して感染して起きる肝臓の病気です。

HBVは感染した時期、感染したときの健康状態によって、一過性の感染に終わるもの(一過性感染)とほぼ生涯にわたり感染が継続するもの(持続感染)とに大別されます。

持続感染になりやすい状況というのは、出産時あるいは3歳未満の乳幼児期の感染です。

HBVの感染経路は垂直感染と水平感染に分けられます。

垂直感染というのは、お産の時に母体から生まれた子供に感染が起きることを言います。

水平感染というのは垂直感染以外の経路による感染です。

2016年4月1日以降に生まれた全ての0歳児にHBVのワクチンが接種されるようになりました。

ワクチンを打って抗体が陽性になればHBVに感染することはありません。

また、HBVにはジェノタイプ(genotype)という、少しずつ違うタイプのウイルスがあります。

日本に多いのはジェノタイプC、次いでジェノタイプBでしたが、最近欧米で多いジェノタイプAの感染が増えてきています。このジェノタイプAのHBVは成人が感染しても持続感染になる率が少し高いことが知られています。

B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎の大きく2つに分けられます。

B型急性肝炎

感染して1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。

典型的な症状の症例では、尿の色は 濃いウーロン茶様であり、黄疸はまず眼球結膜(目の白目の部分)が黄色くなり、その後皮膚も黄色みを帯びてきます。

症例の中には、肝炎の程度が軽くて、自分では気が付かないうちに治ってしまう例もあります。

しかし、中には、激しい肝炎を起こして生命を維持できない状態(肝不全)となる、いわゆる劇症肝炎になることもあります。

一般に、劇症化に至らない場合には、数週間で肝炎は極期を過ぎ、回復過程に入ります。

発症時には後述のHBc抗体、HBs抗原、HBe抗原が陽性となりますが、1~2ヶ月でHBs抗原、HBe抗原は陰性化し、その後HBe抗体、HBs抗体が順次出現します。

しかし、HBe抗体やHBs抗体が陽性にならない症例も時々みられます。

B型慢性肝炎

出産時ないし乳幼児期にHBVが感染すると、幼い体の免疫系はウイルスを病原体と判断できず、持続的にウイルスが存在し続ける状態(持続感染)に移行します。

生後数年~数十年間は肝炎は起きないで、感染したHBVは排除されずに体内で共存しており、この状態を無症候性キャリアと言います。

このころのウイルス量は血清1mlに10の7乗から9乗と高い場合が多くなります。

思春期を過ぎると自己の免疫力が発達し、HBVを異物(病原体)であると認識できるようになり、白血球(リンパ球)がHBVを体内から排除しようと攻撃を始めます。この時リンパ球がHBVの感染した肝細胞を壊すことにより肝炎が起こり始めます。一般に10~30歳代に一過性に強い肝炎を起こし、HBe抗原陽性のウイルス増殖の高い状態からHBe抗体陽性の比較的ウイルスが少ない状態に変化します(HBe抗原からHBe抗体へのセロコンバージョン)。HBe抗体が陽性になるということは、体がウイルスに対してある程度抵抗力を備えたということを意味します。

HBe抗体陽性となった後は、多くの場合肝炎はおさまっていきます(非活動性キャリアと言います)。

このように思春期以降に一過性の肝炎を起こした後は、そのまま肝機能が一生安定する人がおよそ80~90%ですが、残りの10~20%の人は肝炎の状態が持続します(慢性肝炎)。

肝臓は再生能力の高い臓器で、肝移植に健康な肝臓を半分提供しても、数週間後には肝臓の大きさは提供前の8割以上のサイズに戻ります。しかし、ドナーとして1度きり提供するのと違って、慢性的に細胞が壊れ続けると、傷跡のような線維化という状態が生じるようになります。

線維化が進行して固くなってしまったのが肝硬変で、再生した肝細胞の集団が再生結節という細胞の塊を作ります。再生の勢いが強すぎてブレーキが効かなくなると肝細胞癌になる人も出てきます。

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