給付金額

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の額は以下のとおりです。

病態等 金額
死亡・肝がん・肝硬変(重度) 3,600万円
20年の除斥期間が経過した死亡・肝がん・肝硬変(重度) 900万円
肝硬変(軽度) 2,500万円
20年の除斥期間が経過した肝硬変(軽度)  
現在、肝硬変(軽度)にり患している方など 600万円
上記以外の方 300万円
慢性B型肝炎 1,250万円
20年の除斥期間が経過した慢性B型肝炎  
現在、慢性B型肝炎にり患している方 など 300万円
上記以外の方 150万円
無症候性キャリア 600万円
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア
(特定無症候性持続感染者)
50万円

このほか、上記給付金に加え、訴訟手当金として、以下が支払われます。

  • 訴訟等に係る弁護士費用(上記給付金額の4%に相当する額)
  • 特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための定期検査費用

また、特定無症候性持続感染者に対しては、以下も支払われます。

  • 慢性肝炎等の発症を確認するための定期検査費
  • 母子感染防止のための医療費
  • 世帯内感染防止のための医療費
  • 定期検査手当 

除斥期間について

 ⺠法において定められている「除斥期間」という制度により、「不法⾏為の時」から20年間を経過すると、損害賠償請求権が消滅することとされています。

B型肝炎の給付金請求訴訟では、除斥期間の起算点(「不法⾏為の時」)については、以下のようになります。

  1. 無症候性キャリアの方については集団予防接種等を受けた日(二次感染者については出生時等)
  2. 慢性肝炎などを発症した方についてはその症状が発症した日(※)
  3. 亡くなられた方については死亡日

※再発肝がんの場合は起算日が再発した時点となる場合があります。

なお、⺠法724条「不法⾏為による損害賠償の請求権」では、被害者⼜はその法定代理⼈が損害及び加害者を知った時から3年間⾏使しないときは、時効によって消滅する。不法⾏為の時から20年を経過したときも、同様とするとされています。 

除斥期間を経過した軽度の肝硬変患者の取り扱いについて

除斥期間を経過した慢性肝炎患者の方については、①「現に治療を受けている⽅等」と② 「①に該当しない方」で給付⾦の⾦額が異なるので、留意が必要です。 「現に治療を受けている方等」は、以下のいずれかの要件を満たしている場合に対象となります

  1. 訴訟提起の日から1年前の日以降において、病理組織検査により肝硬変と認められ、当該肝硬変がB型肝炎ウイルスの持続感染と相当因果関係があると認められること
  2. 訴訟提起の日から1年前の⽇以降において、医師の診断書に加え、診断を裏付ける 診療録、画像検査報告書及び⾎液検査結果等により、総合的に肝硬変と認められ、 当該肝硬変がB型肝炎ウイルスの持続感染と相当因果関係があると認められること
  3. インターフェロン製剤、核酸アナログ製剤、ステロイドリバウンド療法またはプロ パゲルマニウムのいずれかの治療歴が医療記録等から認められること。上記②の「①に該当しない方」は、上記(1)から(3)までのいずれにも該当しない場 合に対象となります。 

除斥期間を経過した慢性肝炎患者の取扱いについて

除斥期間を経過した慢性肝炎患者の方については、①「現に治療を受けている⽅等」と② 「①に該当しない方」で給付⾦の⾦額が異なるので、留意が必要です。具体的には以下の通りに区分されます。

「現に治療を受けている方等」は、以下のいずれかの要件を満たしている場合に対象となります

  1. 訴訟提起の⽇から1年前の⽇以降にALT(GPT)値の異常(基準値との⽐ 較)があること かつ その日から6か月以上の間隔をあけた別の時点において、連続して、ALT(GPT)値 の異常(基準値との比較)が認められる状態であること
  2. インターフェロン製剤、核酸アナログ製剤、ステロイドリバウンド療法または プロパゲルマニウムのいずれかの治療歴が医療記録等から認められること

除斥期間を経過した無症候性キャリアの政策対応について

除斥期間を経過した無症候性キャリアの⽅については、給付⾦50万円に加え、特措法等に基づき以下の政策対応が実施されます。

政策対応の内容

  1. 定期検査および定期検査に付随する診療⾏為等に要する費⽤
  2. HBVの⺟⼦感染を防⽌するためにかかる費⽤(ワクチン・グロブリン投与費⽤、 検査費⽤およびこれらに付随する診療⾏為等に要する費⽤)
  3. 同居家族に対するHBVの水平感染を防止するためにかかる費用(ワクチン投与費用、 検査費用)
  4. 定期検査手当1.の定期検査1回につき1万5千円(定額)(年2回まで)

政策対応の詳しい内容は以下の通りです。

1.定期検査および定期検査に付随する診療⾏為等に要する費⽤

支給の対象となる費用

本人が慢性肝炎または肝がんの発症を確認するため、「対象検査項目及び上限回数」の範囲内で定期検査を受けた際の検査費用ならびに、下記の「⽀給対象となる⾎液検査及び画像検査に付随する診療⾏為等」の支給対象となる血液検査および画像検査に付随する診療⾏為等に要する費⽤(自己負担分)。

※ 他制度により公費助成がされた場合は、その助成⾦額を除いた額が対象となります。

対象検査項目及び上限回数
定期検査 検査項目 回数
血液検査

血液学的検査

赤血球数、白血球数、血色素(ヘモグロビン)測定、ヘマトクリット値、血小板数、末梢血液像、プロトロンビン時間測定、活性化トロンボプラスチン時間測定

年4回まで

生化学的検査(Ⅰ)

AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP(γ-GT)、総ビリルビン、直接ビリルビン、総蛋白、アルブミン、ChE、総コレステロール

生化学的検査(Ⅱ)

AFP、PIVKA-Ⅱ、AFP-L3%

免疫学的検査

HBe抗原、HBe抗体

微生物学的検査

HBV-DNA

画像検査

腹部エコー(腹部超音波検査)

年4回まで

造影CTもしくは造影MRI

または単純CTもしくは単純MRI

年2回まで

※ 回数の数え⽅は、暦年単位(毎年1〜12月の間に4回または2回までの受診)となります。

⽀給対象となる⾎液検査及び画像検査に付随する診療⾏為等
診療料 検査実施に伴う初診料または再診料(外来診療料)、外来管理加算、時間外対応加算、明細書発行体制等加算
検査料 検査実施に伴う検体検査判断料、検体検査管理加算、外来迅速検体検査加算、血液採取料
画像診断料 画像診断管理加算、造影剤使用加算、電子画像管理加算、コンピューター断層診断料、造影CTまたは造影MRIを行った場合に付随する薬剤
その他 療養担当手当(入院外)

2.HBVの⺟⼦感染を防⽌するためにかかる費⽤(⺟⼦感染防⽌医療費)

支給の対象となる費用

国との和解成⽴後に対象者が出産した時に、その子に対するB型肝炎ウイルスの⺟子感染を防止するため、下記の上限回数の範囲内でワクチンの投与等および これに附帯する検査が⾏われた場合、その投与等の費用、検査費用およびこれらに 付随する診療⾏為等に要する費⽤(自己負担分)

※ 他制度により公費助成がされた場合は、その助成⾦額を除いた額が対象となります。

上限回数 
  • ⺟親の⾎液検査 :子1人につき1回
  • 子の血液検査(HBS抗原) :子1人につき2回
  • 子の血液検査(HBS抗体) :子1人につき1回
  • 子に対するワクチン投与 :子1人につき3回
  • 子に対するグロブリン投与 :子1人につき2回

3.同居家族に対するHBVの水平感染を防止するためにかかる費⽤(世帯内感染防⽌医療費)

支給の対象となる費用

国との和解成⽴後に新たに当該原告の同居家族になった者(前記2の「⺟⼦感染防止のための医療費」の支給対象となる子を除く)に対するB型肝炎ウイルス感染防止のため、下記の上限回数の範囲内でワクチンの投与およびこれに附帯する検査が⾏われた場合、その投与および検査の費用 ※ 原則、⾃由診療となりますが、全額請求できます。 ただし、他制度により公費助成がされた場合は、その助成⾦額を除いた額が対象となります。

上限回数

血液検査:同居家族1人につき、ワクチン投与前、投与後それぞれ1回まで

ワクチン投与:同居家族1人につき3回まで(ただし、3回接種後にHBs抗体が獲得されていないことが確認できた場合には、4回目の追加接種分も対象とする)

4.定期検査手当

1.の定期検査を受けた方について、定期検査手当として、定期検査1回につき1万5千円(定額)を請求することができます。 ※ 歴年単位(毎年1〜12⽉の間に2回、合計3万円が限度)となります。

B型肝炎訴訟の手引きと訴訟に必要な書類

B型肝炎ウイルスの感染経路は、集団予防接種等における注射器の連続使用以外にもさまざまなものが考えられるため、集団予防接種等における注射器の連続使用が原因でB型肝炎に感染したことの確認が必要です。

この確認は、裁判所における司法手続(裁判所の仲介の下での和解協議)の中で、「基本合意書」に定めた救済要件に合致するかどうか、証拠に基づき判断されることになります。

この認定を受け、給付金を受け取るためには、国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起して、裁判所の仲介の下で和解協議を経て国と和解した場合に社会保険診療報酬支払基金に申請書を提出することになります。

詳細は、厚生労働省が公表する以下の手引きに記載されています。

B型肝炎訴訟に係る手続きB型肝炎訴訟の手引き 全体版[PDF形式:1,217KB]